「淡い色」を含む小説

　私の知る夢の国には、美しい妖精がいた。その姿は精緻な磁器人形（ビスクドール）のようで、月明かりに照らされると、翼から煌めく光を放っていた。 　私は毎夜、妖精が舞う森を夢に見て…

　かつて戦場で負傷兵二人を助けたのは、刑事である赤野周作。周作は、本名である周(あまね)という名前を捨てて、女として生きることを拒絶している。淡い色の髪は風になびき、長い睫毛の下…

　「今日も会ってもらえなかった」 花束を抱えて部屋に帰ってきた元勇者テオドールは、婚約者シュザンヌと同じ名前の猫を抱きしめる。ふわふわの淡い色の美しい毛並みをもつ、青い瞳の猫シュ…

とある小さな王国の王子に生まれたサマードは、ある日、お忍びで訪れた町で誘拐されそうになった時、一人の少年に出会った。 軽やかな身のこなしのその少年の背には、月光にさえ溶けるかのよ…

ーーころころと肌をすべるみづまりのやうに、あなたはわたしのこころをたづねて来た。 通学のために自転車で通り過ぎる道筋の軒先には、いつも少女が座っていた。 わたしは、それを気に…

主人公の新垣 寅（あらがき とら）は、何も変哲もないただの男子高校生。 今年の春で高校３年生になった。 勉学もスポーツも、クラス全体では中の中で、特に飛び抜けた能力はなかった。…

夏の終わりに僕が好意を寄せている美紗季（みさき）と2人だけで神社の境内から覗くように見上げた花火。 それは鮮やかで儚くて、甘くて淡い色をしていた。 主人公 蒼（あおい） ※打…

キャンバスを取り替える冷徹な決断ができない心優しい人は、いずれ塗りつぶす事を覚える。 しかし淡い色を重ねてもいずれは黒ずんでいく。 だから徹底的な色を求める。 でも白は眩しす…

　短編連作です。一章ごとに完結しています。どこから読んでも解る内容ですが、一章から読めばより解り易いです。 　第一章「肥料」の梗概。　 「弟の瑞樹（みずき）は、今日も生きていた…

少女と少年の幻想譚。主人公は少女。夢で見た憂鬱な幻想譚。黄色い世界と青い世界がどこかでつながっているのだ。