「短編風」を含む小説

蒲焼きになる寸前で死に損ねた鰻の与汰郎。澪ノ町(みおのまち)の河岸寄席(かしよせ)で、困惑する聴衆に向かって自分の一生を語り始める。透明だった幼生期から、性別の定まらない青春まで…

　大陸の西、国境の半分が海に面した小国・アルカンドラ王国には、とある噂がありました。 『魔女の涙は、百薬の長　どんな病も、たちどころに治る』 　ある人にとっては、絵空事。 …

夏休みが始まってゴロゴロしていた少年は母にせっつかれて宿題を仕方なくやることにした。宿題は観察記録をつけること。何事もなく終わろうとしていた時、何かの声がきこえた。

夕暮れの公園で、いつも一緒に遊んでいた“ゆうくん”。 でも、あの子の影を踏んだ日から、何かが少しずつ変わっていった。 忘れられた名前、消えた子ども、そして——影の中に残されたもの。

この小説はひとしずく×やま△様の楽曲『魔法の鏡』『鏡の魔法』にインスピレーションを受けて執筆した二次創作作品です。 今の現実を反対にさせてくれる魔法の鏡。 不幸な人生を幸せに反…

夏休みが終わりを迎えようとしている八月中旬、夏休み明けの文化祭に向けて五人のクラス代表文化祭委員が集まっている。日も暮れ最終下校時刻のチャイムがなり、帰ろうとする五人だったが学校…

本作品はフェイクドキュメンタリー形式で進行し、リアルな描写を意図しています。 眼球を潰す場面など残酷な描写が含まれますので、閲覧の際はご注意ください。 心身に不調を感じる方や苦手…

　大人になりきれないどこかの男性が、大人になりたいと思う物語。「社会の大人」の終わりに、それでも子どものままだったから。 　生まれた街の隣の、小さな山で、大人になりたいと彼はこぼ…

ひとりぼっちのシーソーに、ありんこがのぼり、ちょうちょがとまり、ネコやこどもたちがやってくる。 ぎっこんばったん——小さな出会いがつながって、シーソーは、たのしくやさしい場所に変…

　瞬　青波（しゅん　せいは）は、大昔に滅んだ王族の末裔で、特殊な術を受け継いでいた。 　その術を使い、幼馴染みで今は皇帝となった春霞の様子を見守っていたが、突然、彼に対して術が…

記録的な猛暑が続くある夏の日。 築50年の木造アパート「月見荘」で、大学生・佐伯は異変に気づく。 天井に広がる黒い染み、そこから滴る水。漂う生臭さ。 ──誰も住んでいないはずの“…

初夏、格安の木造アパートに引っ越してきた「俺」は、毎晩隣室から聞こえる物音に徐々に違和感を覚えるようになる。 壁の向こうにいる“隣人”の存在は、日に日に近づき、ついには部屋の中へ…

何気ない日常の中に、ふと立ち止まってしまう瞬間があります。そんな“立ち止まり”を言葉にして、物語にしています。 静かに、でも確かに心が動くような作品を目指しています。

私は長い間、自分自身の姿を見たことがありません。体中が痛いのは、大きな怪我を負ってしまったから。私は一日の多くの時間を寝て過ごしますが、数時間だけ起きている間、Mr.ホワイトの助…

歴史は繰り返す。 一度目は悲劇として。 二度目も、やはり悲劇として。 魔王を倒し、英雄と讃えられたアルト・レイヴァン。 魔王の死とともに訪れたのは、清らかな平和ではなかった。

肝試しとして、廃墟になった宗教施設にやって来た4人が、怪異に挑む。 これは新クトゥルフ神話TRPGのログをもとに作成した小説です。 7割の事実と3割の改変が行われています。

掲示板にぽつりと投下された、誰のものとも知れない書き込み。 語り手の行方は、誰にもわからない。 残されたのは、いくつかの記録と、薄暗い余韻だけ──。

製氷室の奥に棲む、名もなき氷の精。 彼女は人間の男の子に恋をしていました。 でも、氷の中でしか生きられない彼女にとって、 “選ばれる”ことは終わりを意味する。 だから祈る――…

医療ITの世界で成功を収めた医師・静馬は、空虚感に苛まれ、幼少期を過ごした山奥の廃寺に舞い戻る。そこでは東雲老師が今も細々と法灯を守り、「空っぽになることの大切さ」を説いていた。…