切なる願い。その言葉の意味を考えず、行き着く先に思い至らないことの代償をまざまざと突き付けて来る短編。
人はあくまで自分の良い、自分の基準で「丁度良い」望みを口にする。
そんなはずじゃなかった。そりゃそうでしょうよ、でも願いを託す相手と自分は違うのです。それが困難な願いであればあるほど、願いを託す相手と自分たちの乖離は激しい。
自分たちでは不可能な願いを叶えてくれる存在と、自分たちとの基準はずれているのではないか。
そんな想像も働かない。
……などと厳しいことを言いますが、これは普通の人間なら当然なのかもしれません。
それほど近代、現代だって枚挙にいとまがない。
ファンタジーという形をとって、そして希望を託される側の視点ではありますが、同時に希望を都合よく託す側もまた、その責任から逃れられない。
そんな当たり前のはずの事実を、敢えて突き付けて来る容赦のない物語でした。