「端」を含む小説

　それはたんぽぽで、白いたんぽぽなんて初めて見たしこんな寒い時期でも咲くものなんだ、と感心する私と、今はそれどころじゃなくないか？　と、目の前で燃え盛る半壊した車を呆然と眺める私…

　承平四（九三四）年、香取の海湖畔。 　それはまことに小さな争いから端を発した。 　やがて坂東全土に広がる大きな戦禍は、後に日本史上最大の叛乱としてその名を残すこととなる。 　…

擬古典創作落語です。 布売り（端布の行商人）の八五郎は、うっかりして、担いでいた六尺棒で侍の頭を小突いてしまいます。 侍は烈火のごとく怒り、ただちに八五郎の首を斬り落とすと言いま…

男は、最愛の妻を看取った際に大きな後悔を抱えていた。死にまつわる強い記憶が隙になったのだろう。そこにつけこみ自らの領域へ引きずり込もうとする異形が──口端を吊り上げた。

いわゆる雑草と呼ばれる植物が、子供の頃から好きでした。 小説を書くのが行き詰ったときに息抜きを兼ねて、思い出の植物や今日見た植物について思うままに自由に書いていきたいと思います。

「僕」は、命を落とす者の最期の瞬間の言葉を理解できる能力を持つ。人間、動物、あるいは植物までも。生きた事実のある者たちの言葉は息絶える瞬間、彼の内側へと伝播し、そして彼自身の脳内…

大陸の端にある村に住むキースは、幼馴染で親友である勇者のことを憎んでいた。 村中から大切に扱われ、贔屓される勇者に対して劣等感を感じていたからだ。 そして、その憎しみは殺したいほ…

そこには、本を抱えた少女が立っていた。 私と少女の間には、十二月の凍えるような冷たい風が吹き抜けている。 そう、ここは七階の建物の屋上であり、その端に少女は立っているのだ。 可…

この世の人間に、性別とは別の種別が加わってからおよそ100年。 ポンコツなβ(ベータ)北野直次郎と、エリートなΩ(オメガ)の滝川辰樹。 見た目も性格も生育環境もまるで違う２人が出…

この世の総ては在るべき形に在るがままに定義されて存在する。 定義されないものは存在し得ない。 定義されないものは動作し得ない。 定義されるから存在し、定義が移り変わるから動作する…

　１９歳になった小熊は、大学生活とバイト、そしてスーパーカブのおかげでそこそこ満たされた暮らしをしていた 　バイク乗りにはやや憂鬱な梅雨が始まったある日、原付デリバリーライダー就…

国と国との陰謀の中で翻弄される一人の騎士が出会ったのは、 同じく運命に翻弄されながら、運命に活路を見出す一人の少女 　栄光を失った騎士「アイン」と、その仲間たちの生きざま。敗北…

太宰治こと【タザイ】は不思議なパイプの精と共に旅立った。 かの邪智暴虐なる王芥川龍之介を倒すために…… 　以下がテンプレになります。 一行（パーティー） 【太宰治】＝【ダ…

※セブンタレンティズの続編になります。 　——父ちゃんが死んだ。 　齢十一歳になる少年の目の前で父親はトラックに轢かれて高々と飛び、大きな音を立てて地面に落ちた。 　どんどん…

マルグリット王国の端の町、ネージュに暮らすミュゼットは、パン屋の娘。父の手伝いをしながら新聞の連載小説を読むのが日課である。 父親の存在という感覚が欠落し、母の愛を疑い、パンをつ…

日の出から日没までと大きく書かれたいささかくたびれ黒ずんだ横断幕が少しの風になびきながら神社の境内の端にかけられるその横でこの日を欠かさず楽しみに待ってきたいくにんもの人々がぽつ…

遠い遠い昔から、ここまで時間がたった未来であっても、貧富の差はとても激しい。 一方で見事と言わざるを得ない都市計画はその地区の中心から広り 同じくして貧困の度合いもまたその中心部…

とある日本の端に存在する地図には載っていない島リンネ島。その隠された意味とは 三話から読者のあなたが選択するはなしがあります。 　

　小雨が降っているのだろうか。 　そう思えるほどの音が聞こえてきて目を覚ました。 　囲炉裏端へと座りお茶を入れてぼんやりとしていると、妻が自室から姿を見せて隣へと座った。 　音の…