創造の憂鬱

栖嶋美月

Prologue

そこには、本を抱えた少女が立っていた。


私と少女の間には、十二月の凍えるような冷たい風が吹き抜けている。

そう、ここは七階の建物の屋上であり、その端に少女は立っているのだ。

その風貌からして、十二か十三かといったところだろう。

そんな私よりも幾分か幼い少女が、こんな殺風景な場所で何をするのか。

その可能性を察した私は少女を止めようと駆け寄った。

否、正確には

此方に気付いた少女が、笑ったのだ。驚くほど無邪気に、そして少し不気味に。

呆気に取られていると、少女は静かに足を踏みだした。

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創造の憂鬱 栖嶋美月 @Mitsuki_2852

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