沈黙に積雪

自殺するために、見定めたビルの屋上に上がった「私」。しかし、すでにそこには先客がいた。
生と死が交差する一瞬間を色濃く描いた現代ドラマ短編。雪が降るほどの寒さと、主人公の諦観を含めた淡々とした語りが、相乗効果を生んでいます。
死と向き合うことは、翻って生を考えることなのかもしれません。他人事だと思えないその温度が、少しずつでも温められて欲しい、そう感じました。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（316文字）

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（97文字）

生きていることは、「いいこと」。そして「死」は遠ざけるべきもの。なぜか誰もが、そうあるべきだと思っています。
けれど、「生」が「いいこと」だという感覚は、「生」が持つ前向きな意味だけに焦点を当てられる、一部の幸せな人の感情ではないかと、そんなことをふと思います。
「生」と「死」って、そんなに単純に「いいこと」「悪いこと」で片付けられるものでしょうか。

けれど、「死なずにいてほしい」という思いを周りの人が抱いてくれることは、間違いなく幸せなことだと思います。大切な人がいなくなった時に味わう悲しみや絶望は、計り知れないものがあります。自分の死をきっかけに周囲の人が塞ぎ込み、病んでしまったりとい…続きを読む

黙っていたら死んでいるようなものだ。（九乃カナ）
名言からはじまりました、レビュー。
ひとりでもずっとしゃべっているもので。

小説の中でも死人は沈黙です。
死人がシャベったらホラーですけれど。
満足そうに死んでいる死人。
死ねてよかったねと妹想いの姉のような主人公。
雪が降り始めて、ひんやり小説です。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（230文字）

雪と死。幻想的な組み合わせのストーリーです。

同題異話の作品です。お題にストレートな回答、いいです。

重い話ながら、ハートウォーミングなラストでよかったです。