間の悪さがもたらしたもの

これは、ある自殺志願者の数奇な運命を描いた物語。
全てを白に染め上げる美しい雪の描写と人生のはかなさ、そして自死を受け入れてさえ思い通りにならぬ不自由な社会への皮肉が心に刺さります。

そして読み終わった時に心を過ぎる小さな疑問。

なんで、そこでそんな死に方をしようと思った?
怖かったのか? 最後に良い景色を眺めたかったのか?
それとも……もしかして、次に来る誰かに見つけて欲しかったとか?

あるいはそれも、この世に残した優しさなのかもしれません。
もしかするとこの作品に描かれた優しさは二つなのかも。

読む人によって感じ取れるものが異なる深さを秘めています。
ただ陰気で救いのない話「ではない」所が素晴らしいと感じました。

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