一枚のレコードから始まる恋物語

時代が進み、レコードはおろかCDショップですらも街から消えゆく昨今。
あえて恋物語の主役をレコードに託し、一曲のアリアが演奏されている間にヒロインと男性の恋物語をサクッと始めてきっちりとまとめあげる技量は実にお見事です。
衣擦れの音、レモネードやコロンの香り、お互いの身体が触れあう感触、飲み物の味、そして流れ続けるアリア。この作品は人間の五感で受け止められるもの全てを言語で表現したもの、それも詩的かつ耽美に表現しようと挑戦したものに感じられました。ここで奏でられる恋の歌はどこまでも美しく、切なく、そしてレトロなのです。

お互いに体重を預け、髪をなでるだけで通じる想いもある。
そんな素朴で純粋な恋模様をこの物語は読者に思い出させてくれる事でしょう。

レトロで耽美な恋の歌。懐かしさと素朴さを求める貴方へ、おススメです!

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