「待つ人」を含む小説

終電の車内で、浩一はないはずの駅のホームで待つ人を見る。

誰でもないあなたの物語を切り取りました。 仕事に疲れたそこのあなたへ。

　人が化生に恋をした、化生は恋を受け入れた。化生にとっては余命の百年、人にとっては永き百年。緩やかに生き、いずれ来る別れの日。身を寄せ合って静かにその日を待つ、人の子と化生の交わ…

　秋野紅葉は木々の紅葉する秋の公園で大好きな人を待っていた。

捜し人と間違えられた「私」は、相手の女性を放っておけず、こっそり後を付ける。待ち続けて捜す女と、ひたすら待つ男の武蔵野慕情。

　人の手で作られた自然の地武蔵野に、人の手で作られた町「萱原キャンパスタウン」。 　文教都市と名高いその町に、祖母の経営するブックカフェがある。 　いいバイトになるというので、そ…

ほっこり心が温まるような話を書いていきます。

私たちの間にある関係は、水を用意し、選び、飲むだけ。

『元気？　こっちはまあまあ、元気よ。まあ、いっかい死んだのに元気って言うのも、ちょっとあれだけどさ――』 　雨降りの九月。死んだ姉のまりあから届いたダイレクト・メッセージには、…

私はIT企業に勤める人間だ。 大きくもないが、小さくもない中堅どころの会社だ。 ここには、不思議な部署がある。 部署の正式名称は誰も知らない。BBと呼ばれている。ブルーバード…

クリスマスに待つ人がいない二人が話をするだけの話。

明らかに傾いている世界の上で全てを捨てて飛び出す勇気もなく、妬みと苦しみの中焦りながらゲームの終わりを待つ人たち。

ある村に、おばあさんと二人で暮らしている美少女がいた。大人たちは、村の外にはこわいものがいるから、決して村の外へ出てはいけないと言っていた。 ナルシストで傲慢な少女は、盲目の美少…

遊牧民の少女は夢を見る。 「ベルタが空高く上る夜、お前を迎えに行く」 蒼き狼が紡ぐ、ただのその言葉だけを信じて。