戦い、競い合う男たちってかっこいい! キャラが立った男たちが暴れ回り、困難に立ち向かい、笑い合う、そんな小説を募集します!
702 作品
本コンテストへの応募、皆様誠にありがとうございました。
コミックやアニメ、ゲームだけではなく、ちゃんといるではないですか、小説で戦うイケメン。小説ならではのかっこよさ、堪能させていただきました。
中編という使いまわしにくい縛りがありながら、素晴らしい戦うイケメンが多数寄せられただけではなく、コンテストとしても優れた小説同士が争うハイレベルな戦いとなりました。
一般論として、我々は他の編集部に先んじて一人でも多くの新しい才能を見出したいですし、選考中、名前も知らない作家さんに驚かされることはコンテストの喜びでもあります。
さらに、今回は、本屋さんのどの棚にあるかもよく分からないようなジャンルを募ったのですから、書き慣れている人はどこにもいない、そもそもコンセプトが伝わるかもわからない、したがって、磨けば光る、そういう作品と作家さんを探すことになるだろう、というつもりだったのです。
しかし、蓋を開けてみれば、コンセプトをバッチリ受け止めてくれた作家さんと作品が揃い、超ハイレベルな選考になりました。超ハイレベルの戦いだと、初手のアイディア、パッションに加えて、中編の中で少しでも多くを見せる技術力や、まだ見えていないマーケット内でどう読者を惹きつけるかという仮説の具体性でも差がついてしまいます。かくして受賞者4名のうち2名はプロ、1名はデビュー決定済み、1名のみが未デビューというある種過酷な結果となりました。
激戦の様子をお伝えするため、記事下に受賞作以外の、編集部内の最終選考作品を改めてリストアップしております。いずれも素晴らしい作品ばかりですので、ぜひお読みいただきたいです。今後も皆様と編集部とご縁があるよう祈っております。
我々はお預かりしたこれらのイケメンを、今度は、カクヨムの外にいる、書店の読者の皆様に紹介して参ります。そのときまで「戦うイケメン」のことをぜひ覚えていて、お引き立てくだされば幸いです。たった4作では満たされない、大きな需要があるのではないか、と思えるだけのご応募をいただけたわけで、書店での好評を経て、また次の機会へとつなげる好循環が作れればと思っております。
エゼリア帝国には、『存在しない』部隊がある。
第三十一番イライザ特殊部隊。
『はみ出し者』のみで構成された部隊が請け負うのは、『存在してはならない』事件ばかり。そんなイライザ特殊部隊に今回落ちてきた任務は『悪魔の書』に関わる事件で……
甘味大好きショタっ子隊長(※省エネのための仮の姿)と苦労性の生真面目副官(※地味に振る舞っているのは特殊事情を隠すため)、自称魔女(※生物学的には男)、悪ぶってるお兄さん(※いや、本当にワルだって俺)、目付の軍人兼神父(※本業は神父でありたい)etc,etc……な癖アリな軍人達が事件解決に挑む!
龍の死骸から生まれたとされる龍久国は、龍脈から得た力で皇帝が治世を行い、九人の皇子は龍が産み落とした九柱の大魔を従え、繁栄を続けていた。
長い統治で大魔の一柱は封印され、皇位継承権最下位の第九皇子・紅運は魔物を使役する力を持たず、倦んだ日々を送っていた。
皇位は完全無欠の第一皇子に譲られると誰もが思っていたが、崩御した皇帝の遺言は「九人の兄弟で殺し合い、全ての大魔を従えた者が次期皇帝となる」というものだった。
混乱の中、ひとりの皇子の暴走により王宮は災禍に包まれる。絶体絶命に追い込まれた紅運は伏魔殿に封じられていた赤髪の男の封印を解く。全てを焼き尽くす炎の妖魔・狻猊だった。
最下位の皇子と最悪の魔物のバディ化け物討伐中華ファンタジー。国が破れて城が燃えます。血も死人もたくさん出ます。
白藍橙紫黄青黒翠紅の9つの色になぞらえられたイケメン皇子の名前が出揃うまでわずか1400文字足らず。皇帝の死とともに告げられたのは、帝位継承権を賭けたバトルロワイヤルでした。
トップスピードで始まった物語は出落ちにもなることなく、スケールを広げていきます。皇子たちにはともに修行した時間もあり、一方で確執もありとドラマ的バックグラウンドも十分、さらには皇子はそれぞれ固有の魔を従え、ときに対人ときに対妖魔で戦闘し、と少年漫画的な見せ場もきっちり設定されています。謎解きに人外バティにといったエンタメ的な手数の多さと、連作短編的な構図の中で惜しみなく見せてくれたキャラたちの大きなポテンシャルとをぜひ長編書籍で形にしていただきたいと選出いたしました。
機械を食べるモンスターが蔓延る世界。
そんな世界で荷物を運ぶ民間企業『女王の靴(レギーナ・スカルペ)』に、元気が取り柄の見習いがやってきた。
その少年フェイの最終入職試験は、実際の配達に参加すること。
理知的だけど〈女王〉を狂愛する副局長ゼータと、「面倒っす」が口癖の局員二年目アキラと共に、フェイは謎の荷物を運ぶことになったのだが――。
これは風変わりなイケメンたちが集まる『女王の靴(レギーナ・スカルペ)』で働く男たちが、銃を片手に命がけで荷物を運ぶ物語。
そして泣くことを知らない少年が、涙を知るまでの物語。
魔物が跋扈する外界、危険を冒して荷物を届ける運び屋というヒューマンドラマを想像しそうな題材ですが、キャラクターにちりばめられた謎や、魔物自体にも謎を含ませているためミステリーとしての期待感もあり、先が気になる要素満載の作品でした。もちろん「運び屋」物で求められるスリルと感動も組み込まれており、癖はあるけれどもバックグラウンドを知りたくなる魅力的なキャラクター造形も相まって、ストーリーもキャラクターも楽しめるという点を評価し、受賞とさせていただきました。
己の願いを超常現象として発現させる者を、悪望能力者、すなわち悪役(ヴィラン)と呼ぶ。
悪役対策局セイクリッドに所属する『正義』のヴィラン、ハル・フロスト。
同じくセイクリッドに所属する新人アレックス・ショーを相棒に、ヴィランを狩るヴィランとして悪望能力による犯罪者を逮捕していくハル。
やがてある事件をきっかけに、2人はこの街に蠢く巨悪の陰謀に巻き込まれることになる。
最悪のヴィランたちが跋扈する街で、『正義』のヴィランが無双する!
悪望と悪望が激突する異能バトル現代ファンタジー!
イケメンをイケメンたらしめる要素に、「信念」があります。彼がどれだけ強い信念を持っているか――その点において、能力者を狩る『正義』の能力者である本作の主人公ハル・フロストは、もっとも強く印象に残ったキャラクターの一人です。チビで、横柄で、口が悪くて、不遜で、意地っ張りで、被害妄想が激しく、子供っぽい。しかし、彼なりの『正義』と、それを貫くに相応しい最強の力を持っています。敵・味方問わず、脇を固める能力者たちも個性豊かで、ハルたちの騒がしい活躍をもっと見たいと強く思わされた点を評価して、選出いたしました。
「「戦うイケメン」中編コンテスト」の中間選考の結果を発表させていただきます。
多数の力作を投稿してくださった皆様、並びに作品を読んでくださった皆様には、改めて深く御礼申し上げます。
※掲載の並びは作品のコンテストへの応募順となっております
講 評
一癖も二癖もある個性豊かで超有能なイケメンたちが軽口を叩いたり、ときに反目しあいながら難事件を解決する、この言うは易し書くは難しのコンセプトにまっすぐ応えてくださった作品だったのが本作です。
登場キャラを絞ったり事件の焦点を減らす作品が多い中、魔女を名乗る麗人、狼男、一癖ありそうなショタキャラ、傲慢でクールな貴族と美味しいキャラを立て続けに登場させ、世界観もきっちり把握させつつ、ポップなトーンを維持するリーダビリティ、筆力には舌を巻き、満場一致での選出となりました。