オールドマップ～空に響く歌声～

　面白かったです！
　とても私の好みに合う作品でした。良い出会いに感謝！

「オールドマップ（古地図）」というノスタルジーを感じるタイトルの響きの通り、古き良きライトノベルを彷彿とさせる内容です。
　かつてライトノベルを楽しんでいた世代には懐かしく感じるものがあるのでは。

　主人公のリリアは元気いっぱいの少女。
　歌声が魔法の詠唱のかわりになるという不思議な能力の持ち主です。
　彼女は幼馴染のユウタや他の仲間たちとパーティを組み、ダンジョンに行くことになります。

　そこで出会った『黒い影』が、すべての始まりとなります。

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　軽い文章で、物語がテンポよく進んでいきます。
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「良質なファンタジーは、現実の世界を映し出す」といいますが。
この物語も、絵空事ではない17歳の想いが、丁寧に描かれています。

それぞれの過去を抱えた彼ら。
仲間と笑い、闘い、たぶんそれぞれに悩みながら、旅を続けていく。
思えば私たちもまた、そうして生きている冒険者なのでしょう。

どんな時も、主人公リリアと、ユウタの歌声が響き渡る。
彼らに優しく寄り添う歌は、私たちの旅にも、そっと寄り添ってくれるようです。

「オールドマップ 挿入歌」と共に、お楽しみください。

ちょっと特殊な種族の女の子。
その幼馴染であり友達以上オカン未満の男の子。
そして様々な仲間と共に成長し、ちょっとだけ使える魔法の歌。

静かで切ない歌詞と共に物語が進み、いつしか自分もそこに居るように感じてしまいます。

きっとこの歌は世界を、いや人々を癒してくれます。

牧畜と歌を生業にするリリアはシリアー族の17歳。
強くもなければカッコいいわけでもなく、本当は里から出たくなかったのに、健気に現実を受け入れ冒険者として頑張るところから始まります。

と書くとなんだか暗〜く…ありません！明るくちょっとワガママなリリアと仲間たちの日常がすぐそこに感じられ、いつの間にか一緒に冒険している気分になります。

派手な魔法でズバッとバトル！ではなくて、ともすれば単調になりがちと思いきや、作者様は卓越した文章力でどんどん連れて行ってくれます。

美しい歌詞と重なり合う歌声がじんわり響き、読んだ後に優しい気持ちになれる作品。人間関係に疲れた人にこそオススメです。

歌うことで魔法を使う力を持つ主人公と、その仲間達との絆と友情の物語です。
ハートフルな会話や心情描写、テンポの良い展開が読む人を物語の中に惹き込みます。
そして何より、作中に登場する歌に心が癒され、温かい気持ちにさせてくれます。
ひと味違うファンタジーで心を温めたい方にとてもオススメの作品です！