概要
雪が降る日、私はひとりになる。
冬の帳村と呼ばれる小さな村で生きる十七歳の少女──新奈は、物心付いた時から孤独な日々を過ごしていた。新奈以外の、その村で生きる人たちは、雪が降ると当日の記憶を無くしてしまうからだった。自分と話したことも、一緒に過ごした時間も、雪が降ると全て忘れられる。そんな孤独な日々を過ごす内に、新奈はそこにあるはずのない白い部屋をみるようになる。
村の中には、この世に生まれてきたことすら親に忘れられてしまった子供達が集められている、妖精たちの庭と呼ばれる児童養護施設があり、新奈は物心付いた頃からその施設で暮らしていた。ある日を境に同じ施設で暮らす新奈の彼女である沙羅、そして友人である湊と共に、施設に対して違和感を抱くようになる。新奈達の胸の中でちいさな芽を出したそれが疑心へと移り変わった時、施設の本
村の中には、この世に生まれてきたことすら親に忘れられてしまった子供達が集められている、妖精たちの庭と呼ばれる児童養護施設があり、新奈は物心付いた頃からその施設で暮らしていた。ある日を境に同じ施設で暮らす新奈の彼女である沙羅、そして友人である湊と共に、施設に対して違和感を抱くようになる。新奈達の胸の中でちいさな芽を出したそれが疑心へと移り変わった時、施設の本
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