塗り潰し、何物にも染まらぬ白

誰にも伝えることが出来ない問題を抱えた少女の視点で描かれる、純文学ミステリー作品です。

少女が住まう村の住人は、雪が降ると一日の記憶を失ってしまう。そして、少女のみが記憶を残したまま次の日を迎えてしまう。

冬場にもなれば毎日の様に記憶を無くしてしまう親しい人々に、年々と少女は孤独を募らせていきます。

加えて、少女の暮らす村には多くのしきたりが存在し、意図の読めないそのルールは、読者に不気味さを残していきます。

この村の住人はどうして記憶を無くしてしまうのか、どうして少女だけは記憶を失わずにいられるのか、どうしてしきたりは存在するのか。

とても考えさせられる作品です。ぜひ読んでみてください。

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雪忘花

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