概要
あれは、誰が殺したのだろうか? ああ、そうか。《僕》だ。
息子・青磁が死んでから三回目の夏がきた。「私が青磁を殺したのではないか」妄執にとらわれていた陶子のもとに一本の電話がかかかってくる。それは青磁の中学の同級生を名乗る女、アイカワハルカだった。「線香をあげさせてほしい」という申し出を受け入れたが、青磁の同級生にはアイカワハルカという名前はなかった。けれどもアイカワは陶子の前で、どこか青磁ににている所作で、青磁らしい話をする。真意を問うと、アイカワは目を伏せた。
「せいくんが、死んだのはあたしのせいかもしれないから」
/あたしは魔女にはなれない
《ぼく》は小学三年生のころ、クラスでメダカを飼っていた。仕事をしない生き物係にかわって、《ぼく》はそのメダカをかわいがっていたが、ある日二匹を残して死んでしまった。生き物係に引き取られることにな
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!言葉にできない
私は本作が好きです。しかし、どこがどのように好きなのか言語化することができません。あるいは、この言語化できない感情を抱かせてもらえたことにより、好きになったのかもしれません。
言語化できない感情を抱えているとき、何とか言語化したいという思いがある反面、この感情を言語化しないまま抱え続けたいという思いも存在すると思います。言語化して正体を確かめたいけれど、その言語化されたものが本当に正体なのかがわからないからです。だからこの手放しがたい感情を一切損ねないように、そのままの形で抱えておきたくなってしまうのです。
本作を読んで以上のような考えが浮かびました。
素晴らしい経験をさせていただきあり…続きを読む