神気を纏う乙女は、無自覚のうちに助けた鬼の寵愛を受ける

神獣の愛し子と呼ばれる妹がいるなずなは、家族から召使いのように扱われ、辟易していた。

ある日、妹のひよりに退魔師の名家、蓮水家との縁談話が舞い込んだことで、よりその扱いはひどくなる。

嫌気がさしたなずなは家を捨て、帝都で職探しすることを決意！

しかし、見つけた仕事は、なんだか怪しい名家の女中。そこで幽閉されている鬼の、世話係に任命されてしまう。

始めは意思の疎通もできなかった鬼だが、なずなが世話をするうちに、なぜか態度が変化してきて……。


「なずな、僕の花嫁になって」

「い、いやです……」


やがて鬼と呼ばれる青年の寵愛を受けてしまったなずなは、不服のまま花嫁にされ、愛し子を巡る御家騒動に、巻き込まれてゆくことになる。


自分の異能に気付かない村娘と、秘密を抱えた鬼と呼ばれる青年の、大正ロマン風じれじれ恋奇譚。