第4話「ピクニック」
「あ、そうだ。ピクニックに行こう」
メライ、クルミ、ワルツ、オークの生き血スープを飲む三人の手が止まった。
発言者であるクライが唐突に言い出したので、何の事なのか理解できない三人に向かってクライが発言した。
「ほら、人類の代理である殺戮人形のカシャが言ってたけど、私が倒したゴブリン大将って、魔王軍の八大将最後の将軍だったらしいよ? んで、残るは雑兵と四天王と魔王だけだし、そろそろ四天王狩りに家族一緒に行かない?」
「はぁ? 四天王を倒すって、まさか四天王全員相手にするわけじゃないだろうな?」
ワルツは
「あははは! そんなの無理じゃん! だから最初は四天王の一人である魔天『ペルザ』あたりでも落とそうと思ってさ。最近ようやくレベル70になったし、そろそろ良いかなぁとか考えてたわけでさー。それに伝説の勇者ってパーティー組んでたんでしょ? 私達は家族と言うパーティーを組んでるわけだし、みんなでペルザ殺してペルザの生き血で祝杯を上げよう!」
クライの発言を聞いて、クルミは穏やかに笑った。
「ふふ、良いわねそれ。正直オークとかゴブリンの血は飽きてきたし、そろそろ上物の血が欲しいかも」
クルミに続いて、自称クライの妹であるメライも賛成した。
「わ、私も賛成、メライは、もう豚さんや猿さんの血は飽きてきた」
「待て待て! お前ら気が早すぎ!」
ペルザ退治に納得する三人だったが、青髪の少女ワルツだけは納得してなかった。
それを見てクライは懐疑的な眼差しをワルツに向けた。
「ははーん、さては怖いなワルツちゃん?」
「違うわ! あのなぁ、ペルザは四天王の中で殺戮人形を多く殺害して、殺しきれなかった殺戮人形を回収してオモチャにしてる奴だぞ? なんでいきなりそんな嫌な奴を狙うんだよ?」
「え? 面白そうだから」
それを聞いてワルツは
五日後の朝。
「よーし、お前ら、相手は魔天ペルザだ。各自装備は充分か?」
ワルツがリーダー的な感じで全員の荷物チェックをした。
クライの装備。炎が出る魔剣、損傷した場合の予備の手足合計15本。
メライの装備。回復用のオークの生き血。
クルミの装備。編み物で作った衣服の代え数着。
ワルツの装備。氷が出る魔法の杖、結界を作る石。
「……こんな装備で良いのかなぁ?」
「あはは! 細かい事は良いの良いの! どうせ殺されるかオモチャにされるかの二択だし!」
「はぁ、まぁ特攻バカのクライを主軸にして、私は後方支援、メライは……いつもの手を使ってくれれば良いし。クルミは……どうせクルミの視界に映った魔族は皆殺しにできるけど、ペルザに通じるかなぁ?」
「ワルツはネガティブに考えすぎ! それじゃ、我等が一家『ブレイクキラー』! これより四天王ペルザ討伐と言う名のピクニックに出掛ける! あ、これなんか勇者のセリフっぽくない?」
「人間の勇者が何を言ってたのか知らないけど、間違いなくピクニック感覚で四天王を倒しに行ってない」
それを聞いて、クルミは顎に指を当てながら考えていた。
「うーん、私達って、人間の勇者が死んでから生まれたわけだけど。なんで四天王は健在なんだろう? そこら辺の情報が欲しいところね」
悩むクルミであったが、クライはチーム『ブレイクキラー』のメンバーを
「そんなの、ペルザ相手に直接聞けば良いじゃん! あ、ついでにペルザ倒したら拷問しようよ! メッチャ楽しそう!」
「やれやれ、拷問、戦闘、狩り、私達は殺戮人形だけど、お前ほど殺戮に向いてる人形はあんまし居ないんじゃないか?」
呆れるワルツだったが、ずっと黙っていたメライがクライの手を握って呟くように言った。
「で、でも、メライは、そんなクライお姉ちゃんが好き」
「そうかそうか、メライは甘えん坊だなぁ、可愛い妹めー、それじゃ改めて……しゅっぱーつ!!」
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