第5話「ブレイクキラー」
「あれが、魔天ペルザが住む浮遊魔城かぁ、本当に空に浮いてる」
クライ達は目的地である魔王軍四天王の一人、魔天ペルザの居城を見上げていた。
はるか上空に浮かぶ巨大な大陸、その上にそびえる魔城。
クライ達は当初の予定通りワルツに道を作って貰うことにした。
「おーし、私の出番か……はぁ、めんどくさ……開け、永劫不滅の回廊よ!」
ワルツが魔法の杖を振るうと、そこからクライ達の足元から浮遊魔城まで続く一本の回廊が現れた。
「念の為言っとくが、この回廊は氷でできてるからな。くれぐれも走るんじゃ……待てや、お前ら!!」
ワルツの静止も聞かずにクライが走り出して、それに続いてメライ、クルミも回廊を駆け上がった。
全然チームワークが取れてないパーティーに呆れながらワルツも走る事にした。
「くっ、べ、別に私は殺戮人形だから、落ちたぐらいじゃ死なない……死なないのは知ってるが、やっぱり高い所は怖いんじゃぁぁぁ!!」
ワルツは半泣きになりながら駆け上がった。
「こんにちはー! ぶっ殺しに来ましたー!」
浮遊魔城の玄関を蹴破って侵入するクライに続いて、メライ、クルミ、ワルツも城の中に入ると唖然とした。
そこは屋上まで続く巨大な螺旋階段があり、壁には人間や他の殺戮人形達が飾られていた。
「あが、うぅ……」
呻き声を上げてると言う事は、壁に飾られてる人間や殺戮人形達は生きてると断定できるが、クライ達に迷いは無かった。
「わーい、悪趣味全開、でも待ってて、ペルザ殺したら全員助けるから!」
そう宣言すると同時に、城の上空から数体の魔族が降ってきた。
白い翼を生やした戦乙女ワルキューレだ。
かつては神々に仕えていた神造生物である。ペルザはかつては神の一柱だったが、天界で悪行を繰り返して下界に堕ちて魔族になったらしい。
つまり、目の前のワルキューレ達が、どれだけ神々しい存在でも魔族であるのは変わりない。
クライは、背中に差していた魔剣を引き抜いて、投げた。
「!?」
予想外の攻撃に一体のワルキューレの顔面に魔剣が突き刺さったと同時にクライが他のワルキューレの腹に蹴りをお見舞いして、魔剣の柄を握って叫んだ。
「燃えろ! 魔剣イフリート!!」
それと同時に、顔面に魔剣が刺さった状態のワルキューレの全身が燃え上がると同時に魔剣をワルキューレから引き抜いて、燃え盛る魔剣を肩に担いでクライは挑発した。
「さぁ、どんどん掛かって来い!」
ワルキューレ達の視線がクライに集中する中、別のワルキューレの腹から巨大な刃が現れて、串刺しになったワルキューレが悲鳴を上げる中、更に追い討ちで全部で6本の巨大な刃で惨殺された。
ワルキューレの背後に立っていたのは、背中から蜘蛛のような6本の自在に動く刃を生やしていたメライだった。
「さすがは我が妹! 不意打ちなら殺戮人形の中で最強だ!」
クライは魔剣でワルキューレ達と交戦し、メライは不意打ちでワルキューレを惨殺するコンビネーションを見せる中、数体のワルキューレがクルミとワルツに向かって突進して来た。
「あ、真っ直ぐ来るんだねー」
クルミが
そこには、いつ配置されたのか謎なギロチンの刃が出現していた。
これがクルミの処刑魔術。仲間にも発動条件を隠しているが、ある条件を満たした敵なら問答無用で即死させる異常な魔術である。
「たく、いつかその処刑魔術のカラクリを解き明かしてやるからな!」
そう叫ぶワルツは、魔術で作った氷の矢をワルキューレに向けて射出し、数体のワルキューレに刺さったが、それでもワルツに攻撃しようとしたワルキューレの全身は氷漬けになって床に倒れた。
「残念でしたー。私の氷は触れただけで凍結状態にするんだよ。と言っても凍結状態が解除されるのは数秒だが……その間に全員粉々にすれば良いよなぁ!!」
ワルツは棍棒のように魔法の杖で氷漬けになったワルキューレ達を次々と粉砕し、原型が無くなるまで破壊の限りを尽くした。
これが、チーム『ブレイクキラー』の戦い方である。
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