第8話「夢の残滓」
「がは! はぁ、はぁ、強いのね人形さん」
クライの炎で消し炭になったペルザであったが、まだ息があるようだ。
地面に倒れるペルザの横に膝を付きながらクライは問い掛けた。
「アンタ、なんで人間や殺戮人形達を自分の城に飾ってたの? あの人達には戦闘の痕跡はあったけど、拷問を受けた様子は無かった。アンタは何がしたかったの?」
「はぁ、はぁ、そうね。人形さん、私に勝った、ご褒美として、教えてあげる……殺戮人形の正体を私は知っている」
「!?」
ドクンッと、無いはずの心臓が飛び跳ねたような感覚を感じた。
それはクライだけじゃない。魔術を無効にする結界石のお陰でほぼ無傷なメライや、新しい喉を交換しているワルツ、そして戦闘に参加できなかったクルミも同じ感覚になった。
「な、何を知ってるの?」
「聞きたい? ふふ、じゃあ、これに答えたら教えてあげる」
「勿体ぶらないで、教えてよ!」
急かすクライは、思わず消し炭になってるペルザの体に触れたら、触れた箇所がボロボロに崩れた。
「っ!」
それだけペルザは重症で、もう助からない事を暗示していた。
それでもペルザは息を整えて問い掛けた。
「……最後まで人間の味方ができると、私と約束できる?」
「どう言う意味?」
「時間がない、私はもう時期消える、だから、はやく、こたえて……」
ペルザの
「私は、何があっても人類を裏切らない!!」
「……真っ直ぐなのね、人形さん……約束破ったら、地獄の底から説教するから……あぁ、もう時間みたい」
すると、ペルザの体が徐々に崩壊し始めたのを見て、クライは思わず先程のペルザの発言に対して言及した。
「待って! 私達、殺戮人形の正体を教えてくれる約束でしょ!?」
「でも、時間、そうね、じゃあ、ヒント……『子供』……後は、アナタ達に託すわ」
そう言い切ると同時にペルザは消滅した。
血の一滴も残さずに
残された四人は、何分経ったのか分からないが、ペルザの残したヒントについて四人とも考察していた。
「子供って、何の子供? 人間? 魔族?」
メライが震える声で言う中、喉が戻ったワルツは声を出した。
「あーあー、よし、声は出るな。子供ねぇ、それだけで私達、殺戮人形の正体を突き止めろとか意味が分からない」
ずっと膝を抱えていたクルミも、ようやく立ち上がって自分の意見を述べた。
「仮に、私達が魔族の子供だとしたら……それって、本当に人類の味方をする価値があるのかな?」
「ある!!」
三人が暗い顔をする中、一人だけ絶望に打ちひしがれてない人形が居た。
そう、クライである。
「私達の正体が人間か魔族かよりも、今は人類の味方でありたい! この気持ちに素直になれば良い! 私の魂がそう叫んでいる!」
ペルザとの約束を思い出したクライは、新たな決意に燃えていた。
「まずは、ペルザに捕まってた人間と殺戮人形達を助けよう! あの人達からも情報を聞き出そう!」
そう言ってクライは城の壁に飾られてる人間と殺戮人形達を助ける為に屋上から玄関まで続く螺旋階段を降り始めた。
それを見て、他の三人も後に続くようにクライと共に螺旋階段を降り始めた。
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