第25話「試練の果て」
「おー、メライとクライも自分の闇に勝ったかー」
クライとメライがヘルラの館に戻ると、ヘルラとワルツがトランプゲームで遊んでいた。
「おいおい、待ちくたびれたぞ?」
「えへへ、ごめんねワルツ、私が居なくて寂しかった?」
「はぁ!? そんなんじゃねーし!」
クライとワルツとのやり取りを見て、隣でメライがクスクス笑う中、クライ達は一つの扉を見ていた。
「残るはクルミかぁ、クルミはどんな試練を受けてんだろう?」
「まー安心しろよ。別に負けても死にはしないし、負けたら負けたで再チャレンジOKだぜワタシは」
「ふーん、ねぇ、そろそろ本心を聞かせてよヘルラ」
クライは、ヘルラに対して問い詰めるような視線を向けた。
「なんで私達に試練を与えたの?」
「そうだなぁ、最初はアダージョとの契約だった。が、これだけだと納得いかないよな。お前達はすでにレベル90になってる。が、身体的なレベルとは違って心のレベルは上がってない。魔王と残りの魔王軍四天王と戦うには、お前達の心のレベルを上げないと、この先の戦いで勝てないと判断した」
「そこまでして魔王を倒してほしいの? ヘルラは人間と魔族の混血児だと言ってたけど、ヘルラはどんな生き方をしたの?」
「ん? お前達が人間だった頃に近いかもしれないが……さて、ワタシが言うのもなんだが、罪子ってなんだ? ワタシはお前達の記憶を読んだのではない、魂に刻まれた情報を読んだだけだ。この罪子と言うワードを解明しないと、お前達は再び闇に飲まれるぞ?」
罪子、それはクライ、メライ、ワルツにも共通してる事だ。
人間だった頃の扱い、社会のゴミ、謎が多すぎる。
「やっぱ人類代表のバルエンド陛下に聞いた方が早くないか?」
と、ワルツが提案した。確かに、この後クルミが試練を終えてヘルラが消滅したら再び謁見できるかもしれない。
そんな事を考えていると、クルミが入っている扉がボロボロに崩れて、中からクルミが出てきた。
どうやら、クルミも試練を乗り越えたらしい。
「良かったー! これでブレイクキラー全員無事に生還だね!」
クライが喜ぶ中、ヘルラの様子がおかしかった。彼女はブレイクキラーの四人が試練を乗り越えると消滅すると言ってたのに消える気配がない。
いや、それどころか、彼女の表情が険しくなっていた。
「まずいことになったかもしれん」
「え?」
キョトンとするクライの近くで、クルミは光を失った目でクライ達を見ながら呟くように言った。
「みんな死んじゃえ」
「クルミ?」
「みんな死んじゃえ、みんな死んじゃえ、みんなみんなみんな死んで死んで死んで死んでしまぇぇぇ!!」
クルミが絶叫すると、クルミの周囲に魔法陣が出現した。
その魔法陣を見て驚いたのはヘルラ本人だった。
「バカな、なんでお前が、その魔術を使える!?」
「みんな死んじゃえ『
クルミの魔法陣からドス黒い闇のようなものが溢れ出したかと思うと、ヘルラはクライ達に向けて叫んだ。
「クライ、メライ、ワルツ、悪い事は言わないから、今すぐクルミを見捨てて逃げろ!」
「何を言って!?」
すると、景色が館から一変して監獄のような場所になり、そこには牢屋とギロチンが大量にある異常空間だった。
「断罪処刑監獄ワルプルギス起動。みんな死んじゃえ」
「クルミ? ねぇ、クルミ! 聞こえないのか! クルミ!!」
最早、クライの声すら聞こえないレベルで、クルミは暴走していた。
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