第3話

今日は、1932年6月今回は前回行われた会議の第2回目となっている。


「陸軍内での協議の結果、現在生産中の九五式

軽戦車の一部を砲塔なしで海軍に引き渡すことになった。」


「ありがたいです。ところで一つお願いがあるのですが、その我が海軍に引き渡し予定の軽戦車の前部に金属の板を取り付けていただきたい。」


「ん?なぜだ?必要ないであろう?」


「海軍としてはその軽戦車を欧米などの建築現場で採用されているブルドーザーとして利用したいのです。こうすることで工兵部隊の作業効率が上がりもし、空襲で滑走路や誘導路が破壊されても人の手でやるより早く修復が可能です。これは陸軍さんにも言えることで、射撃陣地の構築が早くなったり前線航空基地の整備能力が格段に向上します。」


「ほう?これは興味深い、我々も導入して見るのもありだな。」


「あと二つほど海軍から今回提案がございます。」


「ふむ、なんだね?」


「一つ目は陸軍と海軍で部品の共通化をしませんか?共通化した場合、補給がやりやすくなるほか壊れて部品の在庫がないとなった際に部品を余分に持っているほうから融通してもらえば良いのです。」


「良い案だと思うが、果たして可能なのか?」


「可能と言い切れます。なぜなら現在海軍で開発予定の機体を陸軍との共同開発に変更し、機体設計をできる範囲で簡素化すれば生産もやりやすくなりますし、発展型の開発もやりやすくなります。」


「うーむ、我々にもメリットがありそうだな。このことは持ち帰らせてもらう。陸軍からも提案というか要望なのだが、もう少し輸送船の数を増やしてもらえないだろうか?現在あるものでは性能と数が微妙に足りないのだ。」


「わかりました。設計を簡素化して大量生産しやすくし、さらに従来のものより大型化した輸送船を開発させます。」


「ありがたい、協力感謝する。」


「二つ目のお願いは、工業規格の制定です。なぜならヨーロッパやアメリカに駐在している士官などからヨーロッパやアメリカの冶金技術や工業力、そして技術の研究などは我々が想定しているよりはるかに進んでおりさらにその水準は我が国をはるかに上回っていることがわかりました。それにともない海軍では予算に占める研究の割合を増やし専用の研究所を創設することにしました。そのため陸軍さんにも、予算を出していただきさらに陸軍内の研究者もその創設予定の研究所に入っていただくことで、研究開発が従来より早く進み工業規格を制定することで欧米の水準に近づくことができるので、装備品の稼働率が大幅に向上し、故障率が大幅に下がります。」


「なるほど、この案であれば確かに良いな。研究に関する予算を増やせという声は聞くのだが、いざ増やそうとすると妨害に会いうまくいかないのだ。だがこの案であれば陸軍内の説得も多少は簡単になるだろうから協力させていただこう。」


「ありがとうございます。協力感謝いたします。陸軍さんにはできれば海外で使用されている実機が入る大型風洞実験施設を購入していただきたいのですが大丈夫でしょうか?海軍は石油精製施設の建造方法や石油精製のやり方をアメリカやイギリスから購入したのですが、我々が想定しているよりかなり上の価格を提示された影響で、風洞実験の施設を買う予算がなくなってしまったのです。さらに満州には石油が眠っている場所があるようです、なので共同で調査をしませんか?もし見つかったら石油事情が少しばかり解決しますしさらにその付近に鉄道を敷設その後港まで繋げその港には造船施設などの工業施設を大量に建設することで国内の生産量を少しながら賄うことができます。」


「なるほど、わかった。だが一つ条件がある。」


「なんでしょう?可能なものであれば条件をのむことができますが。」


「海軍さんが創設予定である陸戦隊の指揮権を海軍のみではなく陸軍も持たせていただきたい。」


「なぜです?」


「海軍さんが一から訓練するよりも上陸作戦を経験してきた我々陸軍との共同訓練にすれば予算を節約できますし、何より練度の向上が早くなります。」


「なるほど、わかりました。」


「あ、購入した風洞実験施設は海軍にも提供するから、海軍も購入した石油精製の技術を我々に提供してくれ。」


「反対派が多く出そうですがわかりました。提供しましょう。」


「あとその工業規格について質問があるのだがよろしいか?」


「なんでしょう?」


「その規格は具体的にどのようなものなのだ?」


「この規格では5段階の基準を作成し、その基準のうち、4以上の基準を得たメーカーに機体やパーツを発注します。こうすることで、常に高品質の製品が納入されるようになりますし、どのメーカーも4以上を目指して高品質の製品を大量生産すべく生産ラインの改良や下請けのメーカーに対しても同様のことを行うはずなので、基礎工業力が向上します。なので我々海軍はもちろん陸さんにも大きなメリットがあるはずです。」


「なるほど、これは我々には思いつくものはいても実際にはできんだろうな。陸軍はこの規格の制定に賛成であり、早急に実行することを海軍に対して要求する。」


「わかりました、直ちに制定させましょう。」


こうして1932年10月「統合型日本技術規格」ことIJTSが制定された。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき

そこし落ち着いてきたので連載を低頻度ですが再会します。

ぜひこの作品の評価もお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る