第16話

1940年第2回陸海共同大規模演習が行われた。演習はすべて映像で記録され、戦術の研究に使用された。またこの大規模演習では多くの新兵器がお披露目された。代表的なものは「生駒」型重巡洋艦、「北上」型防空巡洋艦と「秋月」型防空駆逐艦、「陽炎」型汎用駆逐艦と九九式対空噴進弾である。


この演習後に艦隊の編成が見直され、各艦隊に空母を3、対潜能力を向上させ対潜巡洋艦となった重巡洋艦を2、防空巡洋艦を2、そして防空駆逐艦を6隻、汎用駆逐艦を4隻の計18隻を一個機動部隊とした。(防空駆逐艦の数が汎用駆逐艦より多いのは防空駆逐艦は艦隊より早期警戒機が使えない洋上で早期警戒を行うためである)

一方戦艦は艦載機を戦闘機と偵察機のみにした護衛空母2隻と戦艦2、重巡2、防空巡2、防空駆逐艦4、汎用駆逐艦4からなる打撃部隊に組み込まれた。

艦隊の大半を占める巡洋艦と駆逐艦は日本全国に建設されたドックで組み立てられ1940年時点で駆逐艦が防空・汎用合わせて200隻を超え巡洋艦は防空巡、対戦用に改造された重巡合わせ100隻になっていた。


「生駒」型の説明や諸元はこちら

https://kakuyomu.jp/my/works/16818093086201913730/episodes/16818093086214512518

「北上」型の説明や諸元はこちら

https://kakuyomu.jp/my/works/16818093086201913730/episodes/16818093086892300416

「秋月」型の説明や諸元はこちら

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「陽炎」型の説明や諸元はこちら

https://kakuyomu.jp/my/works/16818093086201913730/episodes/16818093087787926944


九九式対空噴進弾は戦略共同研究所が開発したいわば対空ロケットで搭載された信管により敵機の近くで爆発し敵機を撃墜する代物だ。戦闘機にはこれの小型版が九九式小型対空噴進弾として装備された。さらに陸上攻撃機および爆撃機用に空対艦誘導弾が開発され実際にこの演習で使用された。現在はこれを戦艦や重巡から発射出来るように改良中だ。また九九式対空噴進弾の開発中にVT信管の開発にも成功したため防空能力の向上に一役買っている。


九九式艦上電探はドップラー効果を利用した対空捜索レーダーであり、敵味方識別装置と電算機を搭載した初の高性能電探である。見た目は戦後に開発されたOPS-14に近い。中身だが戦略共同研究所が開発に成功したトランジスタを使用しているため従来の電探に比べ探知精度が大幅に向上している。

零式艦上電探は艦艇および低空を飛行する目標を探知するために開発されたパルス・ドップラーレーダーである。こちらも敵味方識別装置と電算機を搭載している。見た目は戦後に開発されたOPS-28そのものである。開発はかなり難航したようだが、それでも何とか1940年に実用化にこぎつけた。

また高度測定用に零式艦上対空電探も開発された。このレーダーは九九式艦上電探と組み合わせて使用される電探で主に不明機の高度測定に使用される。


また電探の小型高性能化に成功したためこれを航空機に搭載し、早期警戒を行うことが計画された。このためメーカー各社に対して電探を搭載した早期警戒機の試作要求が共同航空本部より出された。

十五試早期警戒機

速度:高度6,000mで300kt

航続距離:8,000km

防御機銃:12.7mm連装機銃を搭載すること

防弾装備:主翼は12.7mmに耐えられること

     胴体は25mmに耐えられること

消火装備を搭載すること

以上である。

九州飛行機は十三試局地戦闘機の開発で余裕がないため辞退した。中島は新型戦闘機の開発に集中するために参加を見送った。最終的に開発が終了したばかりの零式陸上攻撃機をベースに4発機化した機体を開発することを三菱が提案し、その案が認められた。こうして開発がすすめられ1941年に一式早期警戒機11型として制式化された。航続距離は8,000kmを目指したが、最終的に私が研究するように指示し戦略共同研究所が開発した空中給油を使用すれば良いということになり緩和された。

諸元

全長:20.0m

全幅:32.0m

航続距離:6,000km

エンジン:嵐12型(離昇馬力1.800馬力)

防御機銃:12.7mm連装機銃

防弾装備:主翼は12.7mm機銃に対応

     胴体は25mm機関砲に対応

消火装備:主翼燃料タンク及び胴体燃料タンクに装備

電探:零式機上電探一型


また一式早期警戒機をベースに爆弾槽を大型化し兵器搭載量を増やした新型の爆撃機も開発された。この機体は一式爆撃機「深山」と命名された。

深山11型

諸元

全長:22.0m

全幅:32.0m

航続距離:偵察時6,000km

     爆撃時2,800km

     最大爆装時2,200km

兵装:最大で5.5tの兵器を搭載可能

エンジン:嵐21型(離昇馬力1,900馬力)

防御機銃:12.7mm連装機銃

     20mm連装機関砲

防弾装備:主翼は12.7mm機銃に対応

     胴体は25mm機関砲に対応

消火装備:主翼燃料タンク及び胴体燃料タンクに装備



1939年に実用化に成功した半導体については国内の各所に半導体の製造工場が建設され稼働していた。それに伴い半導体の製造に使用される純水の開発も進んでいた。特に国内で最も多くの半導体を製造しているのが佐賀県や滋賀県といった陶器の名所で特産品の陶器に使用されるセラミックスなどの生産が盛んなため半導体が開発されると一気に発展した。電子機器に関しても発展を続けさせているため次々と高性能な半導体が開発され、電算機や産業ロボットの制御に使用された。このため電子機器関連予算が1939年には国家予算の2割を占めるようになったためか軍の電子機器関連予算が減らされ、電子機器開発は軍が主導する形から政府が主導する形に変わった。(これに伴いは政府が設立したに統合された。)

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あとがき

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