第17話

また同年2月愛知航空機より一つの機体が制式化された。

      [一式艦上攻撃機天山

この機体は艦攻と艦爆を兼任した初の機体で兵装は基本的に爆弾槽に搭載するようになっており同時期に制式化された一式空対艦誘導弾ともに運用される。

機体形状は中翼形状を採用した逆ガル翼となっており主脚の長さ短縮にも一役買っている。エンジンにはマーリンⅡをライセンス生産したハ40を採用している。動翼の作動には零式艦戦で採用された電動モーターによる作動を採用している。これは採用当初は機体の高G機動が原因のモーターの不調に悩まされたもののこれを克服したモーターが開発されると駐機中の整備が油圧式よりやりやすくなりコックピットも電算機搭載スロットルの採用でかなりすっきりしたものとなった。改良型ではマーリン66をライセンス生産したハ42を搭載している。プロペラは独自開発した4枚プロペラを使用している。

以下は諸元である

一式艦上攻撃機「天山」11型

全長:10.8m

全幅:14.0m(折り畳み時8.0m)

兵装:ホ102機銃2門(装弾数各1200発)

   ホ102旋回機銃1門(装弾数各750発)

   一式空対艦誘導弾

   九九式航空魚雷

航続距離:増槽あり2,200km

     増槽なし1,800km

エンジン:川崎ハ40型(2段2速過給機搭載)

          離昇英馬力880馬力

          一速英馬力1,030馬力

          二速英馬力1,020馬力

防弾装備:主翼は燃料タンクのみ20mmそれ以外は12.7mmに対応

     胴体はパイロット防護区画のみ20mm対応それ以外は12.7mm

消火装備:胴体燃料タンク及び主翼燃料タンクに装備

電子機器:九九式射爆照準器、九九式敵味方識別装置、九九式機上無線機


ちなみに1942年にはこの機体の爆弾槽に電探を搭載した二式艦上偵察機が開発された。


4月には九州飛行機で開発されていた局地戦闘機が一式局地戦闘機「震電」として正式採用された。この機体は史実では終戦により活躍できなった「震電」の生まれ変わりである。機体形状はそのままとなっているが、細かなところで違っておりまずエアインテークが境界層対策で機体からわずかに離されていたり、インテークが大型化されていることのほかに高速性を確保するために後退翼と層流翼を採用している。コックピットは下方視界の確保のためにF4Uのようになっている。エンジンには火星の18気筒版である木星を搭載している。この機体も動翼は電動だ。ちなみに初期の11型は2段2速過給機を搭載し、最初の改良型である21型は2段3速過給機を搭載している。中期型の32型からはターボチャージャーを搭載し高高度性能を改善している。プロペラは試作機は8枚プロペラを使用していたが量産機では6枚プロペラに変更された。

諸元はこちらから

https://kakuyomu.jp/my/works/16818093086201913730/episodes/16818093086618470055


また中島は長い航続距離を持った早期警戒機や爆撃機の護衛戦闘機の開発を軍より要求されたため開発を行っており、この機体は1941年5月に一式護衛戦闘機「隼」として制式化された。エンジンには愛知航空がDB601をライセンス生産した「アツタ21型」ベースに出力向上させた「アツタ32型」を採用し、武装にはホ5を4門搭載した。肝心の航続距離は増槽込みで3,200kmとかなり長くなっている。しかしこれほど航続距離が長いとパイロットにかかる負荷は想像以上になるためコックピットは陸海軍のパイロットに協力してもらいながら開発した。また日本初の三胴設計の双発単座戦闘機である。ちなみに21型からターボチャージャー付の「アツタ32ル」にエンジンを変更している。

以下は主要諸元である

一式護衛戦闘機「隼」11型

全長:11.0m

全幅:15.0m

最高速度:600km/h(高度6,000m)

兵装:ホ5機銃4門(装弾数各300発)

航続距離:増槽あり3,200km

     増槽なし2,700km

エンジン:アツタ32型×2基(2段2速過給機搭載)

          離昇1,550馬力

          一速1,470馬力

          二速1,420馬力

防弾装備:主翼は燃料タンクのみ20mmそれ以外は12.7mmに対応

     胴体はパイロット防護区画のみ20mm対応それ以外は12.7mm

消火装備:胴体燃料タンク及び主翼燃料タンクに装備

電子機器:九九式射爆照準器、九九式敵味方識別装置、九九式機上無線機


一方陸上兵器では九八式戦車の後継となる新型の戦車の開発が進んでいたほか九八式の車体をベースとした駆逐戦車および自走砲の開発が進んでいた。このうち新型戦車については今回は割愛する。駆逐戦車の主砲には九五式両用砲を流用しており自動装てん装置は小型化したものを搭載した。自走砲は155mmの砲を搭載した車両となっており戦車や歩兵部隊の援護を主任務とする。歩兵装備だが九七式歩兵銃は一式半自動小銃に置き換えられており、九七式歩兵銃は狙撃用のみとして残っている。

一式半自動小銃は戦略共同研究所が開発したセミオートマチック式のアサルトライフルで20発の箱型弾倉を使用する。もとにしたのはソ連のSVT-40だ。この小銃は九九式軽機関銃で採用されたプレス加工をふんだんに活用しており、軽量化や整備性の向上に一役買っている。

歩兵の足となる車は新型の自動車やバイクが次々と配備されている。トラックに関しては新型ディーゼルエンジンの採用でなんと最大積載量12tを誇っている。自動車のエンジンに関しても新型のガソリンエンジンが開発されたため軍に納入されたタイプは不整地であっても45km/hで走行可能だ。バイクは不整地でも60km/hで走行できるがそんなに速度を出すと普通にこけるらしい。

また戦略共同研究所ではいすゞなどの自動車メーカーと協力して新型の自動車を1939年より開発していた。その自動車はエンジンで発電し、その発電した電力をモーターに使用することガソリン車に比べ燃費に優れるハイブリット車を開発していた。(ここで採用しているのはシリーズ・ハイブリット方式である)モーターに関しては九五式両用砲や零戦、一式艦攻の開発でかなり実績が蓄積していたためそこまで問題にならなかった。こうして1941年6月世界初のハイブリット車が誕生した。この車両はすぐに日本の民間自動車市場で爆発的に売れた。理由はガソリン車に比べ静かなこと、加速が優れており燃費が良いことがあげられる。こうして爆発的に売れたハイブリット車は軍に納入されることはなかったものの自動車だけにとどまらずバスや小型トラックにも波及した。しかしバスやトラックにはシリーズ式ではなくパラレル式が主に採用された。モーターの材料となるレアアースは輸入しているが、産出国の多くが植民地となっているため市場価格より割高で購入している。中国から輸入しようにも関係が悪く中国以外より高い価格で購入しなけばならない。しかしレアアースを使用しないモーターの開発を戦略共同研究所と自動車メーカーや国土交通省で行っているが開発はかなり難航しているようだ。


そして一部の政府関係者が「戦車にハイブリッドシステムは搭載できないのか?」という失敗する匂いしかしない発言をしたため実験が始まった。実験に使われたのは九八式中戦車の試作4号車でディーゼルエンジンはそのままにトランスミッションをモーターに入れ替えた。様々な試験の結果変速の必要がなく比較的自由に動かすことが可能ということだ。しかし整備が煩雑になる可能性や被弾した際の危険性などが示唆されたが、結果的に良好ととらえられた。このため新型戦車はディーゼルハイブリッドに変更するようだ。(シリーズハイブリッド方式の予定で砲塔には九八式に続き砲塔バスケット方式を採用する予定だ)

これを聞いた私の感想はアメリカのエイブラムスXとドイツのポルシェティーガーかと思った。


そしてハイブリッドシステムに目を付けた国土交通省鉄道課がディーゼル機関車やディーゼル気動車に採用することを決定し、開発に入った。このため日本全国で急激にレアアースの需要が増えたため政府は各国に対しての自動車や蒸気機関車、電気機関車の輸出量を増やし、その売り上げをレアアース確保にすべてつぎ込んだ。こうして輸出された自動車や機関車は多少雑に扱っても壊れない信頼性から特にドイツと戦争を行っているヨーロッパ諸国から好まれた。この時期になるとMade in Japanは壊れやすい、不良品しかない、使い物にならないの三拍子から壊れにくい、信頼性が高い、使いやすいの三拍子になっていた。これも軍と政府が率先して主導した国内工業基盤の整備などのおかげだろう。

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