第5話

一方昨今の航空技術の発展の著しさから海軍及び陸軍では次期高角砲として研究を進めていたものを正式に開発することに決定したため開発が加速された。この高角砲は従来までの12.7糎高角砲より口径が小さいがそのぶん長砲身のため威力ではわずかに劣っていても、開発された装填補助装置と砲弾の小ささを活かし発射速度と射程および精度では勝っていた。そのため対戦車砲としても利用できるのでは?という話になり両用砲となった。この砲は1935年に九五式105mm両用砲として採用された。

九五式105mm両用砲

口径:105mm(10.5糎)

口径長:65口径(初期型は60口径)

初速:1100m/秒(初期型は970m/秒)

射程:18,500m(初期型は18,000m)

発射速度:20発/分(中期型以降)


https://kakuyomu.jp/my/works/16818093086201913730/episodes/16818093086202900333


そして航空機でも動きがあり九六式戦闘機および九六式陸攻の後継機の研究開始要請が1934年10月戦略合同航空局より各社に対して提示された。内容は以下の通り

新型艦上戦闘機

速度:高度4,000mで300kt以上

武装:12.7mm機銃を数基搭載すること

防弾性能:12.7mm機銃を防げるようにすること


新型陸上攻撃機

双発であること

速度:4,000mで270kt

航続距離:軽荷重時2,000km

兵器搭載量:500㎏爆弾×1発または250㎏爆弾×2発


艦船にも大きな動きがあり例えば駆逐艦では従来までの駆逐艦の役割を一度に持たせたようなものから水雷戦には水雷重視の駆逐艦、防空には対空重視の駆逐艦が建造されることになった。

なお建造は失業者などの救済として建設された中型ドックや小型のドックで建造されることとなったが艦政本部及び海軍上層部からの命令でかなり設計が簡素化されているため、身売りに出された子供でも技術を学べば時間は通常よりかかるものの建造できた。簡素化された設計のおかげで艦が被弾したときの対応が従来艦よりやりやすくなったり居住性が向上したりと思わぬ効果も生んだ。

なお巡洋艦については旧式の軽巡洋艦は廃艦となり防空に重きを置いた防空巡洋艦が大量に建造されたほか重巡洋艦についても「高雄」型をベースとした新型の艦が建造されることになったが防空巡や駆逐艦と同じく設計が直線を多用した簡素な設計となっている。なお巡洋艦であっても駆逐艦と同等の効果を受けることができたそうだ。

ちなみに巡洋艦のうち防空巡などといった軽巡洋艦に分類される艦は小型ドックで建造され重巡洋艦などの艦は中型ドックで建造された。

戦艦や空母などは増設された大型ドックやもとからあった大型ドックで建造された。

防空に特化した艦には九五式105mm両用砲をすべての艦に搭載する予定であったが、砲身の製造工場を増やしても増やしても数が足りないので一部の艦は、従来の12.7糎高角砲の改良型を搭載することでしのいでいる。

そして時は1935年4月この年初めて陸海軍の合同演習が行われた。主な内容としては模擬空戦の展示や戦艦同士の模擬砲撃戦、そして航空機と艦による模擬戦が行われた。そして海軍内ではこの航空機と艦による模擬戦の結果が原因で大変なことになっていた。


「戦艦などはもう時代遅れだ!戦艦につかうよさんがあるのであれば航空機やその支援設備に回すべきだ!」


「いいや戦艦などの船が対空砲を使えなかったから負けただけで使えたら確実に船が勝っていた!」


「なんだと!」


「やんのか?」


「そこまでだ、一回どちらも落ち着きなさい。そこまで言うのであれば実際にやってみればよい。だがそれで結果がでたらそのことは認めるように」


「失礼、取り乱してしまい申し訳ありませんでした。わかりました、やりましょう」


「こちらも異論はない。」


このようにして海軍内で戦艦対航空機の戦いの火ぶたが切って落とされた。










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あとがき

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