[IF]魔道具師志望ですがゴーレム以外興味はありません

大前野 誠也

45話からのIFルート①

 「武器の持ち込みは自由なんですか?」


 「ああ、学園側が用意する物もあるのでそちらを使うのも自由らしい。ついでに防具や消費アイテム何かも持ち込み自由らしいよ」


 「ならテオも持ち込んで良いんですか?」


 「ん?ああ、ゴーレムの魔道具を持ち込んだ前例は聞かないが、問題は無い筈だ。まぁ玩具を持ち込むなと怒られる可能性はあるけどね」


 「じゃあちょっとテオを改良して良いですか?実戦で使えるように木剣を鉄剣に変えて、あと身体強化の応用で出力を上げる魔法陣を思いついたのでそちらも描き加えたいんですよね」


 「し、身体強化の応用で?そんな事が出来るのかい?」


 「魔法陣自体は完成しています。描き込むだけなので2時間もあれば出来ますね。ちなみにその遠征はいつからですか?」


 「出発は3日後の早朝だね」


 ならば鉄剣を魔道具化するのも十分に間に合いそうだ。

 

 早速テオの改良に取り掛かる。

 先ずはテオの本体に描かれているゴーレムの魔法陣に直接出力強化の魔法陣を描き込む。これで今までの2倍以上の膂力を獲得できる。代わりに消費魔力が上がるが、自身に身体強化を施すより少ない魔力で強化出来るので効率はかなり良いだろう。コーネリアの魔力ならば半日以上稼働し続ける事が可能だと思う。


 この日の作業はそれだけで切り上げた。

 

 翌日、授業を終えて部室に着いた俺は早速ゴーレム魔法で鉄剣を制作する。

 形、サイズ共に元々テオが装備していた木剣と同じになるように心掛けた。とはいえ重量が変わるのは仕方ない。まぁ元々、コーネリアは木剣は軽すぎると言っていたので問題ないだろう。


 鉄剣には斬撃力を向上する魔法陣を描いた。これは消費する魔法力を抑え稼働時間を延ばす目的がある。風の魔法を纏うよりかなり消費魔力を抑える事が出来る。 

魔法剣としての効果はただ切れ味が良くなるだけでとても地味だ。見た目にも魔力を纏っている事が分かる程度でこれと言った派手さもないが、風魔法と類似する効果なので、こちらの方が実践向きだろう。

 


 さらに翌日、学園は休校日だ。


 時間と材料が余ったのでテオの予備機を制作してみた。

 テオの色違いだ。名前は……テオ・ツーピーとでも呼ぼう。

 テオが蒼い鎧で、テオ・ツーピーが真紅の鎧を纏っている。

 宿泊先でツーピーを友達にレンタルして遊んで欲しい。そしてゴーレムの良さを布教して欲しい。勿論テオとの性能差をなくす為にこちらにも出力強化の魔法陣を組み込んでいる。

 騎士の姿をしたゴーレムはこの世界の人間に受け入れられやすいだろうし、入門編として悪くないだろう。そしてゆくゆくはロボットタイプのゴーレムの良さにのめり込んでいくことになるのだ!くっくっく、我ながら完璧な作戦である。


 ちなみにテオ・ツーピーの剣も魔法剣だが、こちらは雷属性と、この世界ではかなり珍しい属性の魔道具だ。焼き切るに近い使い勝手で、正直火属性の方が利便性は良いだろう。では何故雷属性なのか?当然カッコ良いからだ、青白く発光する魔法剣……うん、カッコ良い。

 ……と、思ったのだが、色的にはテオの方が似合うな。こちらをテオに持たせるか?いや、それだと最初に説明した消費魔力量の問題があんるんだよな。……換装させれば良いか。

 ツーピーには火属性の魔法剣が似合うので、それと斬撃強化の魔法剣をもう1本制作してツーピーに持たせた。

 最後にゴーレム同士で戦って遊ぶ用に硬化の魔法陣を描いた木剣を2本製作した。


 作業が終わる頃にはすっかり日が暮れていた。



 翌早朝、改良が完成したテオと、完成したテオ・ツーピーを、専用のリュック型次元収納の魔道具と一緒に、出発の準備をしていたコーネリアに手渡した。


 「お、おお~!!」


 先輩が一番喜んだのは雷の魔法剣だった。うんうん、コーネリアならそれが一番気に入るのは分かってましたとも……ツーピーも格好良いよ?もっと愛でて。



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