生徒会長と副会長IF
「彼らを買いかぶってはイケないと言ったけど……まさか此処までとはね」
第4王子派閥に所属していた貴族が生き残るには目に見えた成果が必要だ。そこで多くの貴族が目を付けるのが、今や時の人となっているアーバン=グランシェルドだろう。彼の存在は表向きには公表していないが、知らない貴族の方が少ないだろう。
こちらもそう考えて罠を張り、態と隙を見せて職員室から鍵束を盗みやすいようにしていたのだが……
「そうですね。まさかゴーレム大会に参加していたとは。優勝してその賞品であるゴーレムを手土産に何処かの貴族に取り入ろうとしたのでしょうか?」
「強奪して逃げようとしたことから考えて、他国に持って…………いや、もしかしたらその通りかもね。彼らの行動を予測するのは中々難しい様だ」
「どのみち助かりましたね。まさか操縦者に火球を放つなど」
「それまでの言動からして、それもルール違反じゃないとでも言い訳するつもりだったんだろうね」
「普通に犯罪ですが」
「決闘中ならば犯罪に当たらないから、それを言い訳に使うつもりだったんじゃない?まぁ、彼らの言い分なんて考えるだけ無駄だよ。それより、せっかく彼らが馬鹿な行動をしてくれたんだ。これを利用しない手はない」
「そうですね。むしろ盗みに入った2家がまだマシな方だったとは」
「今回の方は間違いなく爵位は剥奪、家は取り潰され、残された血縁者も監視対象になるね」
「今回の方は、というと先に盗みに入った2家は?」
「多分殺人未遂犯と同じ罰なのは納得できないと騒ぎ出すだろうね」
「それは……まぁそうですね」
「ということで、先の2家については扱いを少し変えようと思うんだ」
「どういった風にですか?」
「第4王子派閥の情報と引き換えに、降爵でだけ済ませてると持ち掛ける。父上からは今回の件で裁量権を貰っているからね」
「取引ですか?」
「4にぃ……第4王子の家庭教師だった男の足取りも未だ掴めていない。余計な事はさっさと終わらせたいじゃない?」
「恐らく既に国境を越えているでしょうね」
「まったく父上も甘い。泳がせるなんて悠長な事を言うからこんな事になる」
「明日には盗みに入った生徒の両親が学園に出頭する事になっております。それまでに必要な書類を揃えておきます」
「よろしくね」
さて、急がなくては。
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