アーバン=グランシェルドに関する報告書
・アーバン=グランシェルド(以降対象と記す)の卒業後の進路について。
対象はコーエンリア=ネフィスと婚約を結んでおり、順調にいけば結婚は間違いないだろう。
仕事に関しては、ネフィス家の御家柄の騎士は関係なく、対象が5分の1スケールHMGシリーズと呼称する魔道具タイプのゴーレムを貴族の令息相手に販売する事を考えている様だ。現在既にそのために動いていると思われる。
対象が事業立ち上げの人員としてチラズ=ノートに目を付けた様だ。
卒業後、チラズが実家を手伝わずアーバンの元にいく可能性は高いだろう。
なお、自分をはじめとする他の部員には声を掛けていない模様。もし対象の元に諜報員を潜り込ませるのならば魔道具師としての派遣は諦めるべきだ。
・対象の発明した魔道具について。(既に特許の申請をしている物は除くものとする)
ビームガン。
雷魔法を応用した魔法銃の一種らしい。直線的な軌道の攻撃が特徴的。また射程、威力ともに既存の雷魔法の魔道具とは比べ物にならない程優れている。
また、各属性の魔道具も改良している様だ。どうも対象は新しく作り上げた魔法陣ではなく、既存の魔法陣を改造したモノは特許の申請が必要ないという独自ルールを持っている気がする。
火、風、水、土の魔道具を確認している。
また耐火以外にも属性耐性を持つ魔道具の制作にも成功している様だ。
フライトユニット。
ゴーレムの背部に装着して空を飛ばせる事が可能な魔道具。
この目で見ても未だ信じられないが、アーバン専用機として本人が作り上げた巨大なゴーレムがこれを装着して空を飛んでいた。
・アーバンの行動や正確について。
一言で言ってしまえばゴーレムバカだ。
多少機嫌が悪くともゴーレムの話を振ると凄い勢いで話に乗ってくる。
また、女性に弱いように見える。ハニートラップが効果的な可能性あり。
以上。
「う~ん、25点かな」
「相変わらず手厳しいですね。会長」
「キミの報告書は主観が入り過ぎてる。~と思われる。とか、~と考える。の部分は殆ど要らないかな。あと勝手に報告する魔道具を絞らないで全部報告してね。ついでにアーバン先輩が作った物は魔道具以外にも報告して欲しいかな」
「はいはい。それで、俺はアーバンが卒業した後も魔道具研究部に残るんですか?」
「お願い出来るかい?卒業後も部活の後輩と繋がりを持つ場合が多いし、実際チラズ君はアーバン先輩の所で働くんでしょ?」
「聞き耳立ててた限りじゃそうですね」
「というかキミが頑張ってアーバン先輩の目に留まるほどの魔道具師になってくれるのが一番ありがたいんだけど」
「無理ですね。これでも他の5人を正規の部員にする為に相当勉強したんですよ?アーバンは当然として、俺から言わせて貰えばチラズもノーザンも化け物ですよ」
「そういえば、報告書によると声を掛けられたのはチラズ君だけと書いてあったね。ノーザン君はアーバン先輩の事業に誘われて無いの?」
「そうみたいですね。正直アイツ、部員の心象があまり良くないですから」
「そうなの?かなり扱いやすそうだけど」
「……アーバンは扱いやすさで従業員を選ばないと思いますよ」
「そうか。そうだね」
「それじゃ、俺はもう戻りますね」
「ああ、ありがとう。今後ともよろしくね。モルダン=イーグス君」
「了解っす」
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