episode #65

 瓦礫の山の上空に小型の飛行機が飛んでいる。

『デッドマン、そっちの様子はどうかしら?』

 通信機からはベッキーの声が聞こえてくる。相変わらずマスクで表情の分からないデッドマンは、抑揚の少ない声で答えた。

「異常無しだ。いや、元を考えれば全て異常とでも言うべきか」

『アナタにしては随分と気の利いた言い方ね』

 ベッキーの面白がるような皮肉めいた声に反応を返さず、デッドマンは空を見つめた。

『まぁ、いいわ。後でデータをもらうからよろしく』

「了解した」

 デッドマンは答えると、通信機のスイッチを切った。

 あの日、宇宙で起こった爆発の影響で、ルーデンスランドは灰燼に帰した。ヒーローの迅速な避難誘導により、一般人への被害はゼロ。また、ルーデンスランドで戦っていたヒーロー達への被害も、バリア能力と炎を操る能力を持つヒーローの力で最小限に抑えられた。

 ただし、敵性母艦撃退の立役者である新人ヒーロー、アストニッシュ・ベルとサイコキネシスを操るヒーローであるゴールデンアイの二人は依然行方不明のままだ。

「……絶対に見つけ出してやる。だから、無事でいてくれ」

 狭い飛行機の中でデッドマンの呟きは虚しく響いた。

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