計画
◆ Side アヤメ ◆
「ふう、そろそろ時間ですね。帰りますか」
「だねー。ふう、今日は大量だったね!」
もうすぐ夏休み! 夏休みと言えば、楽しいイベントが盛りだくさん! 思いっきり遊ぶぞー!
……だけど、遊ぶには何かにつけてお金がいる。事前にしっかりと金策しておかないと、夏休みを満喫できずに終わってしまう。
そんな訳で、私は瀬奈っちと桃っちと一緒に
特に今日は運が良くって、沢山の素材をゲットできた。これだと……1人当たり1万円以上行きそうだね! 1時間でこれだから、ホント魔法少女って職業は良いね!
ただ、MSUが発する熱が結構暑いんだよね、夏だと結構辛いんだよね。すっごく汗かいたよー。
「う~ん、早く帰ってシャワーを浴びたいね~」
「そうですね、汗で服がびしょびしょです……」
『ザザザ……ザ……、あ……』
ちょうどその時、無線に反応が入った。知り合いの機体がこちらに向かってきてるみたいだねー。
えーっとこれは……
『すまん、良かったら一緒に行動しようと思って声をかけたんだが……、その、邪魔だったかな?』
みどりんは気まずそうにそうにそう言ってきた。えーっと?
「いえ、邪魔ではないですよ」
「もう帰ろうかな~って所だったから、平気だよ」
『ほんとか? 「シャワーを浴びたい」とか「びしょびしょです」とか聞こえてきたからさ』
いやいや、そんな都合よく一部分だけ聞こえてるはずないでしょー。これは揶揄ってるだけだね。
「……? えっ?! ち、違いますよ! そうじゃないですから!!」
『ちょっと翠?! あんた何言ってるのよ!』
みどりんの冗談を聞いて、瀬奈っちは顔を真っ赤にしながら「そういう事じゃない」とツッコミを入れた。と同時に
うーん、こういうのを見てると、みかりんも実はむっつりなんじゃないかって思えてくるんだよねー。気のせいかな?
◆
こうして偶然合流した私たちは、一緒に帰ることになった。その道中、みかりんがこんな事を言い始めた。
「あのさ。昨日、久美さんと一緒にお昼ご飯を食べてたんだけどさ」
「ええ、見てました」
「大声で騒いでたよねー」
「あ、あはは。そ、その時にね、久美さんの過去について聞いたんだけど……」
みかりんが言うには、久美ちゃんの小中学校時代は勉強漬けで楽しい思い出が無いらしい。遠足でも教科書を開いて勉強、修学旅行は学会発表のため欠席。流石というかなんというか、久美ちゃんは昔から凄かったなって思い知らされた。
「本人はそれでも良いって思ってるのかもしれないけど……もったいないって私は思うの! 学生の頃の思い出って、後になって価値が分かるって言うし……。だ、だからさ! 久美さんの思い出作りを手伝いたいって思ってるの! 協力してくれない?」
「良いですね! とても素敵な試みだと思います」
「わあ~、おもしろそう! 思い出たっぷり夏休み計画だ~」
「いいね、それ! だけど、みかりんからそんな提案が出るってちょっと意外……。あ、いや。悪い意味じゃなくて。ほら、一時期バチバチしてたから」
「今でもバチバチだよ! だけど、その……」
「?」
「ううー、なんでもない! と、とにかく、まだ全然計画は完成してないから、何か案があったら教えて!」
ふーん? もう、久美ちゃんってば、みかりんとも何かがあったんだね。何があったんだろ?
うーん、席が前後って事以外で接点はなさそうだけど……。ちょっと気になるけど、深堀りはしない方が良いよね。
なにはともあれ、こうして『思い出たっぷり夏休み計画』が始動した。
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