海です!水着です!後編

「おいおい、桃にばっかデレデレしてないで、ちゃんと私のことも見てくれよ!」


「翠さん?! いえ、デレデレしていたわけでは……。いえ、否定できませんね。でも、あれは仕方がないと思うんです」


「あはは、まあなあ。かく言う私も、桃が目の前に来たときは心臓が高鳴ったし。それであの距離感だから、ほんとあれは反則だよ」


「ですね。もちろん、翠さんもとっても可愛いですよ! 緑と白のワンピース、凄く似合っています」


 翠さんが着ているのはワンピースのような水着です。胸の部分は白色で、そこからエメラルドグリーンの布が垂れ下がっている、と言えば伝わるでしょうか?


 スカート部分は短く、角度によっては下に穿いた紐パンがチラッと見えます。それはスカートで隠れる事が前提となっているので他の皆さんの水着よりも布面積が小さく、とても煽情的です。


「ありがとな。だけど、桃の後だとどうしてもインパクトに欠けるだろ? だから私もインパクトを出そうと思う。そこに座ってくれるか?」


「ええ、いいですけど……?」


「そして……こうだ!」


 座った私の前に立った翠さんは、水着のスカート部分を持ってそれを軽く持ち上げました。ぬなぁ?! にゃ、にゃにをしてるんですか?!


「あ、久美さん顔真っ赤になった! やっぱりこういうの好きなんだな!」


「くっ、私の負けです! 今とてつもなくドキッとしました。ですが、そういう事を軽々しくするのは良くないと思います!」


「軽々しく? そんな訳ないだろ、相手が久美さんだからこうやってアピールしたんだよ」


 そう言って翠さんは私に顔をぐっと近づけてきました。突然の事にびっくりして何も出来ない私の顎を翠さんはくいッと持ち上げて……。

 えっ、まさかキスされる? 今、翠さんは私にキスしようとしてる?! はわわわわ……


 ――パシャ


「良い写真が撮れたな!」


 へ? あ、なーんだ。ツーショット写真を撮るために近づいてきただけだったみたいです。

 よ、よくも私の心を弄んでくれましたね……! これは反撃するしかありません。


「すっごい照れてるな。久美さん、何を期待してたん――痛だだだだだ!」


「最近、私もツボ押しマッサージを勉強中なんです。どうですか、気持ちいいですか?」


「久美さん、笑顔が怖いぞ……。ギャーッ!」


 悪い子にはお仕置きですっ!



 最後に私の前に手を繋いでやってきたのは文香さんと美香さん。こ、これは今までとは違う破壊力がありますね。てぇてぇです、てぇてぇ過ぎます。私の心は二人の尊さにズッキューンと撃ち抜かれました。


「あの! まずはお二人の写真を撮っていいですか?」


「え? 別に良いケド」

「いいよ~。あとで共有してね」


「あ、待ってください。お二人は手は繋いだまま……そうです。あ、もうちょっと体を近づけてもらって……。はいチーズ」


「どう? わ、いい写真じゃない!」

「ふわぁ……よく撮れてるね~。だけどなんだかデジャヴを感じるね」

「確かに、なんでかしら?」


「ふふふ、これは『奇しくも昔取った時と同じ構図になった写真』とテーマに撮影したんです!」


 もう10年もずっと一緒にいるんだね、関係性は友人から恋人に変わったケド――みたいな! 分かります? 凄く尊いと思いません?!


「次行きますよ! 次は二人でこう、両手を繋いでいただいて……。尊い、とっても尊いです! 次は抱き合ってもらって……。最っ高ーです!」



 文香さんはセパレートタイプのワンピース水着です。あれ、セパレートならワンピースとは呼ばないんですかね? えーっと、まあ伝われば何でもいいでしょう。

 文香さんは小柄ですから、子供向けの水着がとてもよく似合っています。ぽけっとした顔とした顔も相まって、もう可愛くって可愛くって。

 彼女の幼さが今こうして輝いているのは、きっと美香さんとずっと一緒にいたからでしょう。「美香が一緒なら安心」という思いが彼女の根幹にあるではないかと私は思います。


 幼い様が魅力的な彼女ですが、大人の女性の魅力もほんのりと感じ取れるのがとてもグッドです。例えば、おなか! セパレーツタイプなのでおなかが見えているのですが、そこがもうなんていうかとってもエッな感じなんです!

 スベスベなお肌、可愛らしいおへそ。はあ、愛おしいです……。



 美香さんは赤と白のビキニをきています。成熟しつつあるお胸をすっぽりと覆い隠しているのは赤色の布。そこに白色のフリルがついています。下にはいているのは白色のスカートで、赤色のラインが入っています。


 美香さんの魅力は何と言ってもその成熟途中にある肉体カラダ。幼くはないのですが、大人でもない。そんな曖昧な危うさのようなものが美香さんからは感じ取れます。

 しかし、それと同時に母親がもつ慈愛のようなものも微かに感じ取れます。それはきっと文香さんとずっと一緒にいるから生まれたものでしょう。「文香ちゃんを守ってあげなきゃ」という思いが彼女の根幹にあるではないかと私は思います。



 お互いがお互いの魅力を高め合ってきた二人。そう考えると、二人が出会ったのは運命だったのではないかと思ってしまいます。



「って、私たち二人の写真も良いけど、久美さんも一緒に撮ろうよ!」

「そうだよ~。カメラマンは翠にしてもらって、次は三人で撮ろ?」


「あ、すみません。お二人の姿が尊くてつい。そうですね、三人でも撮影しましょうか」

「いいぞ、カメラマンは任せろ。なんとか立てるくらいにまで復活したから」




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