海です!水着です!前編
ザザーン、ザザーン、ザザーン……
「「「海だー!」」」
旅行二日目、待ちに待った水着回です! ――間違えました、待ちに待った海で遊ぶ日です。
「ねぇねぇー。久美ちゃん、早く水着見せてー!」
そう言いながらアヤメさんは私の上着を掴みました。
「ふぇ、アヤメさん?! ちょっ、まだ心の準備が……。あっ、無理やり引っぺがさないで下さーい!」
「むー」
「そんな不満そうな顔で見ないでください。せ、せめてアヤメさんも一緒に水着になってください。一番最初に水着になるのは、ちょっと恥ずかしいです」
「オッケー。それじゃあ、せーので見せ合おっか?」
「わ、分かりました。うぅ……恥ずかしいです」
はぁ。今日は魔法少女の水着姿を拝める日だというのに、どうして一番最初に見るのが私の水着姿なんでしょう……。今まで見た事あります?
私の水着はシンプルな白色のビキニです。昨日、皆さんに選んでもらう時は「もっと露出させるべき派」と「清楚な方が良いに決まっている派」に分かれてしまい、あーだこーだと話し合った末に、ビキニの中でも比較的布面積が大きい物を選ぶことになりました。
なお、私の「清楚が良いなら、やっぱりセパレートタイプは辞めた方が……。ほら、ワンピースタイプとかどうですかね?」という意見は却下されました。なんで?!
胸を覆っている布は白色ですが紐は黒色になっていて、そのコントラストがおしゃれです。側面から背中側へと回る紐とは別に真上へ伸びて首にかかっている紐もあり、うなじの部分でちょうちょ結びしています。
また、胸の間の部分には黒色のリボンが付いています。このリボンを外せば水着が脱げちゃう訳で、これは大事な大事な結び目となっています。はぁ、これを着ているのが可愛い魔法少女だったら、互いにこのリボンを外し合う所を妄想して楽しめたのにぃ……。
下は白色のスカートタイプになっています。海風になびいてひらひらとなるのが恥ずかしいです……!
「ふぅ。そ、それじゃあ行きますよ。せーのっ! ――っ!」
アヤメさんが着ているのは三角ビキニです。布面積は結構小さめで、お胸の下側とか谷間とか側面を拝むことが出来ます! 下は紐を腰で結ぶタイプのビキニでして、太ももから腰へかけてのラインがばっちり見えています。こ、これは……刺激が強すぎますぅ~!!
布部分は真夏の空のような深い青色で、布の端や紐部分は金色になっています。派手な色合いですがチャラくはなく、むしろ近づきがたいオーラすら感じます。言葉では言い表しにくいのですが……そうですね。青色部分はラピスラズリのような高級感があって金色部分は天使の装備のような格を感じる、とでも言えばいいでしょうか。
胸の布を上から支える糸は真上へと向かうのではなく、首の下でクロスしてから背中側へと回っています。平行かクロスしているかの違いだけなのに、こっちの方がおしゃれ度がグッと高い気がします。
これはもう、芸術と言っても差し支えないでしょう。
「おおー! 久美ちゃん可愛いじゃん!」
「ありがとうございます、アヤメさんもすっごく可愛いですよ!」
「えへへー。ありがとー」
「アヤメさんの魅惑的な肉体美がグッと引き立てられていて、思わず崇めたくなるような魅力があります。こんなの、ズルいです!」
「え?! あ、ありがと……そんなに褒められると照れるねー」
アヤメさんは顔を赤らめました。くうぅぅぅー!!! 可愛過ぎますぅ~!
「これは後世に伝えねばならない、芸術と言えるでしょう。はあ、はあ、はあ。写真を撮らせてください! いいですか? いいですよね?!」
この表情を永久保存したい、いや保存しなくてはいけないです! これを保存しないことは、人類の損失になると言っても過言ではありません!!
「ちょっ、久美ちゃん?! 写真は、ちょっと……」
「はっ! ごめんなさい、私ったらつい! すみません、気持ち悪いですよね……」
しまった、何をやっているんですか私はー?! お、思わず息を荒げて迫ってしまいました。ま、ま、ま、不味いです、ドン引きされました。
「ううん、そんなことないよ! 久美ちゃんが気に入ってくれたみたいで、私、とってもうれしい! あのさ、一緒に並んで写真撮らない? 私も久美ちゃんのその可愛い姿を写真に収めたいから」
そう言ってアヤメさんは私のすぐ隣に近づいてきて、腕をぎゅっと握ってきました。そしてほっぺがくっつくまで顔を近づけてきて、写真をパシャリ。
「ふぇ?」
「うん、可愛く撮れた! はい、久美ちゃんのスマホに送信するね」
「あ、ありがとうございます」
アヤメさんはこんな私も赦して下さりました。天使だ、天使に違いありません。とはいえ、アヤメさんが赦してくれたとしても、見ていた他の5人が赦してはくれないでしょう――ってあれ?
アヤメさんが私から離れていくと、入れ替わるように皆さんが私の傍へと近づいて来ました。魔法少女の水着姿が私の視界を覆ってますぅ~!?
「久美さん、わ、私はどうでしょうか?」
「せんせ~♪ 私はどうかな?」
「わ、私達は」「どう……かなぁ? ふああぁぁぁ……」
「私はどうだ? 似合ってるか?」
なんででしょう? 何故かみんな私の所に集まって来ました。なんで? ほわい?
ひ、ひとまずこんな風に囲まれたら私の心臓が持ちそうにないです! せめて一人ずつにして下さい~!
◆
えーまずは一人目。瀬奈さんの水着です。
瀬奈さんが着ているのは、黒色の三角ビキニです。アヤメさんと比べるとやや控えめなお胸は、布の中にしっかりと隠れてしまっているので、ぱっと見は煽情的ではありません。
しかしですね、よく見るとそれは間違いだと気づかされます。彼女の水着の紐が赤色で、それが胸の前と腰の横でちょうちょ結びを作っています。その様がプレゼントボックスを彷彿とさせるんです。
「どう、です、か?」
顔を赤らめながら近付いてくる瀬奈さん。それはまるで私に届けられたプレゼントのようで……。ふへへへ、とってもイイです! 最高です、素晴らしいです……。
っていけません! こんな劣情を抱いてはいけません!
「えっと、すっごく似合っています。瀬奈さんの為に作られたのかと錯覚してしまうくらいにあっています」
一見すると健全なのに、よく見ると煽情的。それがまさに瀬奈さんの性格を表していて……。はあぁぁぁ~、とってもいいです。
「ありがと。久美さんもすっごく似合っていますよ。可愛いです」
「ありがとうございます。その、一緒に写真を撮って頂けます?」
「もちろんです。そ、それじゃあ失礼します……」
◆
二人目は桃さん。彼女も黒色のビキニを着ています。しかし、今までの二人(+私)とは違って、フリルが付いています。そして布面積がかなり大きめです。
しかし、布面積を広くしてなお、溢れんばかりのボリュームがあり、もうなんていうか凄いとしか言いようがありません。
紐についてですが、色は布と同じく黒色で大人な雰囲気があります。形状はアヤメさんの水着と同じく紐が首の下でクロスしていますね。可愛いです。
こうして見ると、お胸だけではなく太ももも柔らかそうで、とっても魅力的ですね。ああ、膝枕されたいなあ……。そんな風に思いました。
「先生、すっごく可愛いよ~。思わず抱きしめたくなるくらい♪」
「桃さんもとても似合っています。大人な雰囲気があって凄く魅力的です」
「えへへ~。ありがとね! ねえ、写真撮る時、抱きしめていい? 嫌かな?」
「い、嫌じゃあないですけど、はずかし……」
「嫌じゃないんだね、よかった~♪ それじゃあ、はい、ぎゅ~♪」
「っー!!!」
ふぅ、溺れてしまうかと思いました。……いえ、もうとっくに溺れてしまっているかもしれません、桃さんの魅力に。
なーんて、私ったら何を言ってるんでしょう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます