第8話 研修

岡田は今度は自分の中古で購入したヤリス1・0Xに乗るかボルボに乗るか少しだけ迷ったが結局ボルボのキーを取り部屋を出た。


そして〒335-0004埼玉県蕨市中央一丁目23‐1のJR蕨駅近辺の駐車場に停め、JRにのって〒167-0043東京都杉並区上荻1丁目7-1JR荻窪駅に行き、マニアでは有名な模型店に行き、中々高価で購入をためらっていた戦車の模型に連結式キャタピラやエッチングパーツを買い込み、今までのより一段レベルが高い塗装用のエアブラシコンプレッサを買い込み、アパートまで帰って来た。


夕食を作るのも面倒で出前館でピザを頼んだ。

給料が上がるので気が大きくなり、Lサイズピザとサラダや他のサイドメニュー迄頼み、食べ過ぎて少し胸やけがした。


食後にプラモデルの箱を開け、説明図を読んでいると、腕に巻いたベルトの照明が付いた。

軽く振動していてディスプレイの端の部分にグリーンのランプがついた。


岡田は何だろうと思って支給された専用スマホを手に取ったが、着信もメールも来ていなかった。

暫くするとベルトのランプが消え、振動も止んだ。


何だろうか?と思いながら岡田はスマホを置いた。

そして私用のスマホを手に取ったが、あい変わらずメールがかなり来ている。

全てがY事案特捜部の様子はどうか?という問い合わせだった。


岡田は詳しく昨日の事を説明する気も無く、まぁまぁの所だと適当に返信した。

昨日の事を全て説明すると大変だ。

御影三里奈みかげみりな巡査長から今度軽くお酒でも飲んで話を聞かせてと言うメールが来ていて、岡田はガッツポーズをとったが、しばらく考えた上に、その内特捜部に慣れたら飲みに行きましょうとだけ返信した。


まだまだ目が冴えていたが、明日は午前5時起きなので午後10時には就寝する事にした。


ベッドに入った岡田は御影三里奈みかげみりなとの飲み会に心を弾ませ、給料が手取りで9万円も上がる事に心を弾ませ、しかし、片桐警部からお前が半年生きていればな、という言葉に恐れを感じながら眠りについた。


翌朝、起床した岡田はボルボに乗り出勤した。


詰め所はがらんとして、片桐警部も熊夜叉警部補もいなかった。

別の班のメンバーも出払っているようだ。

竜宮絵美里りゅうぐうえみりが片桐警部のデスクに座っていて、岡田を見ると笑顔を浮かべた。


「あら、岡田さんお早うございます!」

「絵美里…タン、おはようございます。

 あの、片桐警部たちは…。」

「ああ、かすみタンたちは所沢の特捜部の応援に出動しているわ。

 今日は岡田さんの研修で装備の使い方を一通り私が教えますからね!

 命を預ける物だからきちんと覚えてくださいね~!」


笑顔の竜宮絵美里りゅうぐうえみりの背中で竜のしっぽが出て左右に振られた。


(一体どういうタイミングで竜のしっぽが出るんだろう…)


岡田は不思議に思いながら尋ねた。


「はい、よろしくお願いします。

 …ところでかすみタンて…。」

「あら、片桐警部は片桐霞かたぎりかすみという名前なんですよ~!

 それではさっそく、研修を始めますよ、付いて来てください。」


笑顔の竜宮絵美里りゅうぐうえみりが立ち上がり廊下に出た。

竜のしっぽは引っ込んでいた。


「あの…ところで絵美里…タン、昨日の夜、支給された腕のバンドが光って振動したんですけど…一緒に支給されたスマホ連動と言うから着信かメールが来たのかな?と思ったんですけどなにも来ていないんですよね。」


絵美里タンが振り返って少し驚いた顔をした。


「ええ~!

 岡田さん、何色で光りました?」

「あ、グリーンですが。

 すぐに振動も止まって光も消えたんですけど…。」


絵美里タンが笑顔になった。


「ああ、それなら大丈夫ですね!

 そのバンドは…なんて言うかな?

 一種の妖気探知機と言うか、妖気レーダーの機能も持っているんですよ。

 自分に害意を向けた妖怪が近くにいると反応するんですけど、グリーンの光ですぐ消えたと言う事は大した力がない浮遊霊か地縛霊がそばを通っただけですよ。

 心配無い心配無いですから~!

 あはは!」

「それって…。」

「大丈夫大丈夫、よく霊感があるとか言う人で敏感な人だと少しだけ気分が悪くなるけど、まぁ、普通の人は何も感じないですから~!

 岡田さん、顔色ちょっち悪いな~!

 気にしない気にしない!」

「…。」

「後でバンドの事は説明するけど、まずはカプセル狼の事を覚えないとね~!霞タンや熊夜叉さんとはぐれて岡田さん1人になってピンチの時でも頼りになるから使い方をしっかり覚えないとね!」

「カプセル…狼…?」

「ああ、そうですね~、まぁ、ミクラスとかウィンダムとかアギラみたいなものと思って頂ければ…もっと頼りになる子達ですけど~!」

「…ミクラス…ウィンダム…アギ…アギラ…?」


絵美里タンが俺の腕を叩いて笑った。


「あら~岡田さん、ウルトラセブンきちんと見た事無いんですか~?

 あれは名作ですよ~!」


絵美里タンが笑いながらドアを開けると広い空間があった。


 




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