第14話 研修7 片桐達の帰還、研修は続く
岡田は絵美里からその他こまごまとした装備の色々の説明を受けた。
成程便利なものが多い。
やはり危険極まりない捜査をするので一応警察の方でも色々と考えてはいるらしいことに岡田はホッとした。
最初は人間捜査員をY事案特捜部にまるで使い捨ての消耗品のようにどんどんつぎ込むような噂話が流れて岡田は恐怖していたが、一応は大事な人間と思われているように感じた。
絵美里がため息をついた。
「とりあえず今のところはこんな物ですかね~!
うちでも色々と新しい装備の研究開発していますからこれから追加で色々と出てくると思いますから…あ、拳銃と警棒は午後から説明します。
霞タンも熊夜叉タンもそろそろ帰って来るかな~?
岡田さん昼食休憩にしましょう。」
岡田は近くのコンビニに行き、弁当を買ってきたが、今まで加須の田舎のコンビニで食事を調達していたので県庁所在地の有る場所で裁判所なども近くにあり、凄い混雑でレジの列も長く並び、閉口した。
買ってきた弁当をデスクに置いて、食事を始め、岡田の食事が終わりそうな時、片桐と熊夜叉が戻って来た。
片桐達と共に今日勤務についているもう1班のメンバーも戻って来た。
カラス天狗系統の凄く似た姿の妖怪が2人、1人は
人間捜査員はいささか生活に疲れた感じの中年男の
岡田は早速紹介され、挨拶を交わしたが、もう1班の4人は挨拶の最中も笑顔でいながら無遠慮に岡田をじろじろと見つめ品定めをしているようだった。
挨拶が終わりもう
「岡田、新人は直ぐ死ぬか、大怪我をするか、精神をやられてしまうかの確率が高いからな。
配属されて直ぐのお前はああいう探る感じで見られるので気にするな。
まぁ、1か月も持てば少しは同僚扱いしてくれるからな。」
熊夜叉がぐふぐふと笑いを漏らして岡田の肩を叩いた。
「岡田、まぁ生き残れや。
ところで研修は進んでいるのか?」
「ええ、はい、色々と装備の使い方を教えてもらいました。
午後からは拳銃の使用法などを…ところで熊夜叉さん。
今日は人間の検挙に行ったんですよね?」
熊夜叉が鼻に皺を寄せて答えた。
「ああ、胸糞悪いガキどもだったな。
奴らのおかげでとても温厚で地域をひっそりと守護していた妖怪の屋根裏婆がな、とんでもない目にあって死にそうになったんだ。」
「え…。」
熊夜叉が冷蔵庫から新巻鮭の箱を持って来るとデスクに置いて昼食を始めた。
片桐は電話をかけて、大盛りカツ丼と天丼の特盛の出前を頼んでいた。
電話を切った片桐がため息をつき岡田に話した。
「岡田、今日の奴らは自分達がしでかした事がどんなに大事か判らんらしくてな、ただふざけただけだとほざきやがったんだ。
しかも怖いもの知らずで反抗的な態度をとってな…反省のはの字も無いな。
屋根裏婆の親族や知り合いが酷く怒り狂っているんだ。
屋根裏婆は人気者だったからな、妖怪の世界でかなりの大ニュースになっているんだ。
もしも屋根裏婆にもしもの事があれば、あいつらの身柄を妖怪に引き渡す可能性もあるな。」
熊夜叉が新巻鮭をバリバリと食べながら後を続けた。
「奴らはさびれていたとは言え一応管理された神社に入り込んでな神社の敷地にあった祠の屋根裏婆の寝床にしていた石像をぶっ壊したんだよ。
あいにくと屋根裏婆がその時石像に入って休んでいてな…。
スプレーであちこちに落書きもしていたな。
物を知らないバカは恐ろしい事を平気でやるな。
俺達妖怪の実在を正式に認められなかった頃だったら、あいつらはその日のうちに全員事故に見せかけて殺されてその魂は連れ去られて数百年は拷問を受けたな、そして地獄に直行だ。
もしも屋根裏婆が死ぬか重篤な後遺症を負ったら…あいつらの内の2人はまだ16のガキだが、そんな事は関係ない。
全員の身柄を引き渡す。
人間と妖怪の身柄引き渡し協定に従って奴ら全員妖怪側の警察に引き渡す。
まぁ、そうなれば人間世界の犯罪の刑罰とは段違いだ。
たとえ自殺をしても妖怪の刑罰からは逃げ切れんな。」
「…。」
「今は人間の小学校や中学校でもきちんと授業で妖怪に対するルールマナーエチケットの授業をしていてヤバい事をしでかしたらどんな目に遭うかを教えているが…まぁ、勉強は大事だと言う事さ。
お前も知り合いで変な事をしでかしそうな奴らには注意しておけよ。
シャレにならんぞ。」
「はぁ…、」
片桐がパソコンで報告書を作成しながら岡田に言った。
「岡田、午後から拳銃の講習だな?
私達も昼が済んだら付き合うぞ。
お前の腕前を一応実際に見ないとな。」
その後、頼んだ出前が来て片桐はワシワシと豪快に食べ始めた。
その勢いに呆気に取られてみている岡田に熊夜叉が笑いかけた。
「片桐の奴は背中の人面爺の分も食べなくちゃならんからな。
今日はいつもよりは控えめの方だぜ。」
岡田は豪快に食事をする片桐を見ながら、妖怪に身柄を引き渡された人間はどういう目にあうのか想像してブルっと震えた。
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