第18話
A(それからも。私は彼女には会うことが出来ないまま、気づけば日付はクリスマスイブになっていた。
そして……)
B(イン・ザ・KFC)「え、えと……。あ、あの、クリスマスの……これを、ください」
A(イン・ザ・KFC)「……来ると思った」
B(イン・ザ・KFC)「え⁉」
A(イン・ザ・KFC)「私たちの場所は、ここじゃないでしょ? ほら、いつものとこ行くよ?」
B(イン・ザ・KFC)「ちょ、ちょっと⁉ 今、注文してるところなのに、そんな勝手に――!」
B「……なんなの?」
A「ごめんごめん。でもやっぱり私たちが話をするなら、ケンタよりマックかなー、って思ってさ」
B「どうして私が、あそこにいるって……」
A「え? だって、Bちゃんってああいう限定メニューとか好きだったでしょ? 初めて会ったときも、クリスマスバーレル食べたがってたし。だから、イブかクリスマスの当日には、ケンタに来るんじゃないかなって思ってたんだよねー」
B「……私には、話すことなんてないわ」
A「どうして?」
B「え?」
A「私、なにかしちゃった? 気づかないうちに、Bちゃんに嫌われるようなことしちゃってたかな?」
B「……」
A「この前言ってたこと……。ここで最後に会ったときに、急にBちゃんが怒って帰っちゃったときのこと……あれは多分、Bちゃんの本心じゃなかったんじゃないかな、って思ってる。ホントは、なにか別の理由があったんじゃないかなって」
B「そ、そんなことは……」
A「だってさ……」
A「Bちゃんは、すっごい優しい人だもん……。ここで、一人ぼっちで寂しそうにしてた私に、頼んでもないのに勝手に絡んでくるような……。突然、訳のわかんないバカみたいな話を始めて、私の寂しさを紛らわせようとしてくれるような……そんな、優しい人だもんね?」
B「バ、バカにしてるの⁉ だ、だから私は、あなたのそういうところが耐えられなくて…………えっ⁉」
A「ご、ごめん……。わ、私、あんまり、人前で涙とか流すタイプじゃないと、思ってたんだけど…………。やっぱり、久しぶりにBちゃんと会えたことが嬉しくて……ちょっと、耐えられんかった……」
B「……」
A「Bちゃんはさ、すごい変な人で……。結構自分勝手だし……。付き合ってると、色々めんどくさいことばっかで……」
B「ちょ、ちょっと?」
A「でも……でも……でも…………そういうところは、Bちゃんの優しさから来ているんだって、知ってるから」
B「……」
A「そういう全部が……自分以外の誰かのことを思いやれるBちゃんだからなんだ、って……。Bちゃんの変さは、本当は全部優しさで……それが、ときどき空回りするだけなんだ、って……知ってるから……」
B「もう……」
B「空回りとか、言わないでよ……。それじゃやっぱり私、バカみたいじゃないの……」
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