第3話 アドベントカレンダー③

A「そろそろBちゃんも、アドベントカレンダーのアイデアいけそう?」

B「え? い、いえ……だから急に言われても……」

A「そーう? じゃあねー、私が考えた他のアドベントカレンダーはねー、」



A「やっぱり、『クリスマスまでを楽しみに過ごす』っていう目的のカレンダーだから、『ヒキ』がないといけないと思うんだよ」

B「ヒキ……週刊漫画じゃないんだから」

A「まず、なるべく早くクリスマスの登場人物の紹介と、最終目的とか設定を明らかにする必要があるよね? だから、1〜3日目くらいまでのカレンダーのポケットには、サンタとかケーキとかチキンのフィギュアを入れておくの」

B「サンタはともかく……クリスマスの最終目的って、ケーキとチキンなの?」

A「4〜6日目あたりで、ちょっと主人公が苦戦する展開が欲しいよねー?」

B「主人公とか言っちゃってるわよ? やっぱり、漫画の展開じゃないの」

A「最強のライバルキャラを登場させて……あとは一旦ここらへんで、最終日に復活するラスボスの存在を匂わせちゃってもいいかもー」

B「しかもバトル漫画? サンタが戦うの? あと、ラスボスって誰よ? ……まさかキリスト⁉」


A「そのあとは、順調に勝ち抜いていった主人公が、10日あたりでライバルを仲間にしたり、新しい能力に目覚めたりして……15日あたりで一旦、中ボスを倒して平和が訪れたと思わせたところに……ついに封印されていたラスボスが復活して……」

B「だから、もう普通にカレンダーのプレゼントじゃなくなっちゃってるわよ! そんなのやっぱり、よくあるバトル漫画の展開で…………いえ……というか、それじゃダメね」

A「え?」

B「そんなありきたりな展開じゃあ、とても24日まではもたないわ。10日を待たずに打ち切りを食らって、『俺たちのアドベントカレンダーは、まだ始まったばかりだ!』なんて言わされるのが目に見えてるわよ」

A「あ、そっちにツッコむんだ? っていうか、10日に打ち切りされたカレンダーって、11日から先の日付はないってこと? 普通に、カレンダーとして返品対象だね?」


B「テコ入れとして、ちょっとエッチな美少女キャラの存在は欠かせないでしょうね。1日目からメインヒロインを出しておくのは当然として、3日に1回は新ヒロインを登場させる。カレンダーのポケットにもレアリティをつけて、100分の1の確率でSSRの水着グラビアが出てくるように……」

A「もはやソシャゲのガチャになっちゃった⁉」

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