第21話 サンタクロース①
A「じゃ、気を取り直して……。なんか、クリスマスに関する面白い話してよ?」
B「はあ⁉ と、唐突過ぎよ⁉ さっきまでの雰囲気と全然違う! あなたの情緒、どうなってるのよ⁉」
A「いいじゃん、いいじゃん。どうせBちゃんのことだから、この前のリベンジとか言って、なにか考えてきてるんでしょー?」
B「相変わらず、私のことを変人扱いしてるし……」
A「でー?」
B「だ、だから、そんなに急に言われても、私はアドリブに弱いから……」
A「かーらーのー?」
B「……」
B「……サンタクロースって、いるじゃない?」
A「お、来た来た!」
B「毎年、年末近くになるとやってきて、みんなが寝静まったころに家に侵入して靴下の中に物を詰めていく、奇抜な格好の太った老人」
A「サンタのことを、えげつない変態みたいに言うのはやめて⁉」
B「いろいろと物騒になっている今の時代、いくらなんでも他人の家に勝手に侵入するっていうのは、さすがに受け入れ難いわ」
A「そこはまあ、大昔に決めた設定が、今も残ってる感じだから……」
B「そうよね。暖炉とか煙突が普通にあった時代に海外で生まれた存在だから、今の日本にはそぐわないのよね。だって、煙突のない普通の日本の集合住宅だと、サンタは窓から入ってくるってことでしょう? 侵入経路が、泥棒と一緒よ?」
A「物を盗ってくわけじゃなく、逆にプレゼントを置いてくからギリ許されている、ってところはあるかもねー」
B「だから……令和の日本のサンタには、もっと別のふさわしいプレゼントの送り方があると思ったの。家に侵入しなくてもいい方法が、あると思ったのよ」
A「ふーん、なるほどー」
B「例えば……」
B「プレゼントを家の玄関の前に置いていく、っていうのはどうかしら?」
A「まあ、それなら確かに家には入らなくてもいいだろうけど……でも、それだと普通の『置き配』みたいじゃない?」
B「ただ玄関の前に置くだけだと盗難の心配とかもあるから、そこは家主にも協力してもらって。玄関に、靴下の代わりに、鍵のかかるロッカーとかボックスを置いてもらって……」
A「やっぱ『置き配』じゃん。もう、あるからそれ。宅配ボックスだから」
B「あと、『プレゼントした』『されてない』とかでのちのち揉めるのは嫌だから、その証拠として、サンタは玄関に置いたプレゼントの写真を撮ってメールで送ったりして……」
A「だからそれ、まんま『置き配』だから! 配達完了しましたメールだから!」
B「ネーミングは、そうねぇ……。サンタはおじいさんだから、古い日本語だと
A「惜っしい! そこまで来たら、もう『置き配』でいいでしょ⁉」
B「ただ、担当したのが慣れない新人サンタだったりすると、『おきな配』の設定してても普通にチャイム鳴らしたりして……あれ、ちょっと焦るわよね?」
A「もう、ただの『置き配あるある』になっちゃってるからーっ!」
A「もおー、変なことばっか言ってー! 代わって! 次は、私が話すから!」
B「聞きましょう」
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