8月 夏休み
第1話
A「もう、大丈夫そ?」
B「……え、ええ」
A「下駄とか、履き慣れてないと痛くなっちゃうよねー? ごめんねー、全然気づけなくてー?」
B「……」
B「……ごめん、なさい」
A「えー?」
B「せっかく誘ってくれたのに……こんなことになって……。私に、付き合わせてしまって……。あなたの友だちにも、迷惑をかけて……」
A「いやいや、全然いいってー。もともと、『浴衣でお祭り行こう』って言い出したのはうちらだしー? むしろ、そのせいで慣れない下駄で足痛めちゃったんだから、うちらのせいだよー」
B「やっぱり……今からでも、あなたはみんなのところに戻ったほうが……」
A「えー、でもなー。私、もともと人が多いのあんまり好きじゃないしー? 単純に浴衣着たかっただけだから、今それが出来てる時点でオールオッケーな感じなんだよねー。むしろ、このマックでまったりしてるほうが楽なくらい」
B「でも、友だちは……」
A「あの子らだって、全然気にしてないってー。どうせ今も、お祭りの雰囲気に浮かれてナンパ待ちしてるだけだしねー」
B「……本当に、ごめんなさい」
A「もおーう……」
A「じゃあさあー……『こんな夏祭りは嫌だ、どんな夏祭り?』」
B「え?」
A「『こんな夏祭りは嫌だ、どんな夏祭り?』」
B「……急に、何?」
A「大喜利、大喜利」
B「は、はあ?」
A「いやあー。Bちゃんならきっと、今日みんなでお祭り行くのに備えて、そういうこと考えてきてるかなーって思ってさー。なんか、ずっと大人しかったしー?」
B「あ、あなたね……。私のこと、どんなやつだと思ってるのよ……」
A「えへへー」
A「で、いけそう? 『こんな夏祭りは嫌だ、どんな夏祭り?』」
B「……はあ、まったく」
B「屋台で……」
A「お?」
B「屋台で売ってるお面がプリキュアのみ。しかも、全シリーズ揃ってる」
A「ほほーう?」
B「カステーラみたいな感じで、屋台のメニューが全部、焼きそーば、タコヤーキになってる」
A「なるほどなるほど」
B「もちろん、かき氷もかきごーりになってる」
A「って、それだと元とほとんど変わってないね?」
B「盆踊りに、命かけてるくらい本気の人が混じってる」
A「いや、なくはない……それは、なくはないよ? うっかり見かけて、気まずい気持ちになるやつだよ?」
B「夏祭りを倒すと、秋祭り、冬祭り、春祭りから『あいつは祭りの中でも最弱……』、『祭り界の面汚しが……』とか言われる」
A「夏祭りを倒す、って何⁉ つーか、どっちかっつうと夏祭りが最強だろ⁉」
B「いいえ。最強のラスボスは、山崎のパン祭りだから……」
A「一見無害なキャラが実は全ての黒幕のラスボスだった、のパターンだ⁉ 一番熱い展開だ!」
B「……ふふ」
A「さ、最初渋ってた割には、随分いっぱい出てきたね……?」
B「じゃあ、せっかくだし……他の夏のイベントについても色々と考えてきたことがあるから、この機会に聞いてもらおうかしら?」
A「おうっ! ばっち来いだよ!」
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