炸裂!便乗ベースボール!
バシィ!
「ボール!」
投球は、真ん中高めに外れるフォーシームのストレート。98マイル。クリスタンテは、バッティンググローブのテープを直しながら、少しニヤニヤ。
そんなボールじゃ、簡単に打っちゃうぜぇ?とでもいいたげ。
そんな雰囲気を醸し出しながら、実際に具現化するのがメジャーで4番を張れる選手。初球より若干真ん中よりにきた、高めの球。同じく速いボールだったが、それを上から被せるような打ち方で、快音が響く。
打球はライナーになって左中間へ。背を向けながら走ったレフトの選手が、腕をいっぱいに伸ばしてその打球を掴み取った。
惜しい。
惜しすぎる!
俺はそう叫びながら、3塁へタッチアップをした。
「クリスタンテの打球はレフトがファインプレーです!しかし犠牲フライになります!ヒラヤナギが返ってきまして、2ー1!勝ち越しに成功しました!」
「アライが3塁に行ったのも大きいですよ。ハーフウェイで待ちたくなるところでしたが、レフトのポジショニングと守備力がしっかり頭に入っていたんでしょう。非常にクレバーなプレーです。チームメイトは見習うべきですね」
「ナイスラン、アライサン!」
3塁のベースコーチおじさんとグータッチ。
1アウト1、3塁。もう1点取れるチャンスだ。
「1度、ピッチングコーチがマウンドに向かって、カステージョを落ち着かせます」
「昨日もデッドボールなどはありましたが、結果抑えてくれましたんでね。ピッチャーの台所事情が苦しいチームですから、なんとかこの辺りで凌いで欲しいところでしょう」
「コーチがベンチに戻りまして、試合再開です。1点のリードを奪ったシャーロットは、5番DHのブラッドリーから。打率は2割8分。
このカードはまだヒットがありませんが、先日はレフト後方のバナー広告直撃のホームランがありました、ブラッドリーです。賞金1万ドルと、1年分のクラッカーを受け取ったみたいですよ」
「クラッカー1年分ですか。私ならご近所に配りますかね。ブラッドリーは大のクラッカー好きですからね。そのホームランのおかげで、そのメーカーのイメージキャラクター
なりましたからね」
「そのブラッドリー。さらなる追加点。試合を優位に進める1本というのが、欲しいところです。………カステージョがセットポジションから、投げました!またバントだ!!」
バットを大きく揺らしていたブラッドリーが俺を真似したかのようなプッシュバントを試みた。
しかし、ボールはピッチャーの真正面に飛び、そのままキャッチされてしまった。
ホーム突入を狙った俺が挟まれてしまう。
戻るか進むか、2度フェイントをかけた後に、俺が背中を見せると、ピッチャーはランニングスローの格好で3塁に投げた。
「「ワアァーッ!!」」
それが大暴投になった。
「ボールはとんでもないところにいってしまった!!アライは労せずして生還します!!1塁ランナーのバーンズは足が速い!!2塁を回って、一気に3塁を蹴る!!ボールはちょっとレフトがもたついている!
バーンズもホームイーン!!シャーロットはさらに2点を追加!!セーフティスクイズを狙った結果、ピッチャーカステージョのエラーを誘いました!」
「シャーロットにしてみれば、幸運ですねえ。カステージョは、ボールを捕るところまでは良かったんですが、アライの動きを見て送球を迷ってしまったんでしょうか。
すぐに3塁へ投げれば良かったんですが、下手に自分で追いかけようとしたのが失敗でした。これは痛すぎますよ。若さが出てしまいましたね」
「あー、そして、ピッチャーが代わります。なんとかシャーロットの勢いを止めて欲しい場面のリリーフでしたが、カステージョは自滅の形。無念の降板です」
続くアンドリュースが代わったピッチャーからタイムリーを放ち、さらに加点したシャーロットは、このカードも勝ち越しを決め、いよいよ東アメリカンリーグ、中地区の首位に踊り出ることとなった。
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