捕れればそれでオッケーですの。
送球エラーあり、ダブルプレーかと思ったら後逸し、バッテリーエラー2つに、フェンス際の落球。
極めつけは、3者連続の押し出しフォアボール。
こっちの先発は今シーズン7勝のジェイクというピッチャー。
6回4失点という言葉にするには難しいピッチングでしたが、なにもせずに7点も貰いまして、結果2位アトランタを3タテ。
シャーロット・ウイングスが創設30年目にして初となる、優勝マジックナンバー15が点灯したのであった。
マジック点灯イコール、優勝へのカウントダウンですから。
正直、地区優勝は頂きよ。
3位ミルウォーキーに7ゲーム差。2位アトランタに5ゲーム差ですから。
しかもその2チームは主力に故障者が出たと報じられ、しかも3週間の間に6試合の直接対決がある。
つまりは2位3位で潰し合ってくれるだろう見込み話である。
おまけにシャーロットはチーム状態が上がって来ている中、勝ち頭であるウェブもそろそろ戻ってこられる。
それに油断するわけではないが、これから残りの試合は、交流戦も含めて勝率が5割以下のチームとの対戦が多い。
マジックが点灯した以上、優勝の逃すことは許されない。
念のため、もう1度言っておく。
マジックが点灯してから優勝を逃すことなんて、あってはならないのだ。
そうですわよね?
翌週の頭。
エースの復帰。
ビシュッ!!
ズバンッ!!
「ストラックアウーッ!!」
ビシュッ!
スカンッ!!
ピュー……。
「ガリ、ガリッ!」
バシッ!
「オッケー、新井さん、ナイスキャッチ!」
「あたぼうよ」
「とか言ってるわりには危なっかしい足取りなんすよ」
「うるちゃい!」
ウェブの見事なコントロール打ち取った感じになった打球。
レフト線に上がったフライ。ちょっといやらしいところに落ちそうだった。
直前にバーンズからの指示で若干レフト線に寄っていましたのでね。背走して追っかけてきていた平柳君を制して俺が余裕のランニングキャッチ。
平柳君におケツを叩かれた勢いで近くのスタンドまで走り、そこで観戦していた辺り1番の幼女にキスしたボールをプレゼントと。
これをやっている時が1番メジャーリーガーであることを実感しますわね。
マジで。
とはいえ、同点である。
前回登板でカバーに入った際に1塁ベースを踏み損ねて負傷したウェブ。
診断の結果、骨や靭帯には異常が見られず、軽い捻挫で済んでいた。
5日程安静にしたところで軽いトレーニングを行える状況になり、今日がその復帰登板。
ポストシーズンのことを考えると、いきなりの無理はさせられないですからぬか。
どんなにいいピッチングでも、6回または90球までというところだろうと俺は予測していた。
その6回を87球で投げきり、2失点ピッチング。
現在18勝というところにいるウェブは、今日も入れてレギュラーシーズンの登板はあと2回。
それを考えると、この攻撃で勝ち越し点を取らなくてはいけない。
それを1番に考えている選手が先頭バッター。キャッチャーのロンギーである。
3回にヒックスの2ランホームラン以降当たりのないシャーロット打線。相手左腕の出来はよかった。
ロンギーも3球で追い込まれる。
そこから粘る。
ワンバウンドしそうな変化球。高めのストレート。チェンジアップにスライダーなんかも。
なにふり構わないスイングで食いついていったが、7球目のインコースに詰まらされた。
ピッチャーの足元を抜ける打球になったが、セカンドがベース際に回り込み、ノンステップスロー。懸命に走った子だくさんおヒゲだ
ったが、僅かに間に合わずアウトとなった。
9番、ザム君。
初球にセーフティバントを試みるなど、策を講じる。それでもバントファウルの後。高めの速いボールに空振りし、あっという間に追い込まれた。
そこから粘った。
少しバットを短く持ち、気持ちコンパクトに構えて、軽打に切り替える。
3球、4球とまたファウルボールが転がる場面が続き、チェンジアップが来た。
ガキッ!!
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