第五章 登場人物評価と登場魔術に関する資料

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 今回現れた秘匿課及び違法術師の評価に関する南極卿財団秘匿資料


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 日本魔界府府庁秘匿一課所属 専門呪医・封印担当・研究員 

 森水都(34) 第一級魔術師免許取得 国際呪医免許取得


・B評:≪特別指定級評価≫:瞬時に転換できる結界術の使い手。同時に複数簡易的な結界を展開し亜音速の移動を可能にしているほか、医療で培った人体の特性・構造の知識を利用し腱や神経を突く攻撃などを行う。暗殺能力に長ける。

・I評:≪特別指定級評価≫:呪医医療の研究者でもあり、言語学、文化人類学の知識も深い。医学的知識の更新も意欲的に行っており、専門医療と呪医医療の高度な次元での融合を目指している。彼の結界術式の簡易化と精密化によって外科呪医医療は利便性が向上したほか、多くの医学的知見を魔界へもたらした第一人者でもある。

・M評:≪二級評価≫:世俗において呪医医療を行っていた際に自身の限界を超える魔力運用が常態化していたため、修練なく魔力量の一部拡張が起きている。その分魔力の扱いが歪であり最大量が伸び悩んでいる。

・S評:≪二級評価≫:半径数メートル程度の感知範囲ながら精度が高く身体内の一部を知覚することなどが可能。

・P評:≪三級評価≫:違法術師時代に培われた戦闘能力から、危機察知能力や軌道予測などの能力はある。

・T評:≪特別指定級評価≫:結界術の専門家でもあるため、結界術の運用が秀逸。書き換えは勿論、簡易化、瞬時の展開、展開の簡便化、術式効果の制御、強度の制御なども精密に行われている。魔力操作などにやや難点がある。


・総合:≪第一級魔術師免許取得≫:呪医医療への貢献も多く。魔術に対する知識も深い。秘匿一課において封印術の専門家としても働いているため、魔術呪術物品の封印についてのノウハウも広く知っており、秘匿課において定期的にレクチャーを頼まれているようだ。特別指定級昇格を打診されているが多忙を理由に昇格は延期され続けている。

 最大魔力量:3.14*10^3


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隠者の薔薇 黄金の教示 

峻厳なるサイエイ(富嶽埼栄(32))


・B評:≪特別指定級評価≫:隠者の薔薇入団から2年で黄金の教示へと昇りつめた実力は、特別指定級術師二名の同時無力化によって示されている。呪医結界を応用した戦闘は知ってか知らずか、森水都のそれと似通っている。

・I評:≪特別指定級評価≫:隠者の薔薇、国境なき呪医団の団長として現代医療と呪医医療の知識を日々更新し続けている。魔界学会の刊行する論文雑誌なども余さず見ているようである。

・M評:≪第一級評価≫:魔力的な才覚に恵まれ、適切な環境での最大魔力拡張の修練を受けたことで大幅な魔力拡張に成功した。

・S評:≪三級評価≫:半径15メートル程度の感知範囲を持つが精度は高くない。

・P評:≪二級評価≫:危機察知能力、軌道予測は勿論のこと、予見能力、予知能力もある程度有している。

・T評:≪第一級評価≫:呪医結界の制度は高く、魔力操作も流麗であり、総合力が高い。


・総合:≪特別指定級相当違法術師≫:黄金の教示の一員として十分な実力を有している。特別指定級術師二名の同時無力化は彼が黄金の教示の一員となるキッカケであり、国境なき呪医団の急速な拡大は彼が黄金の教示の一員として呪医団団長に就任した時から始まっている。彼らの活動の活発化により多くの人命が救護されており、それと同時に隠者の薔薇の規模も急速な拡大を見せている。

 最大魔力量:4.31*10^4

 

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(章末資料2)今回使用された魔術について 南極卿財団資料・魔術事典より


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・C郡/強度:常用級/魔術言語媒体/力学操作術・境界術 使用者:鳥羽或人

『夜間飛行』【vol de nuit】

『翼もなく、空を舞い、信仰もなく、生きながらえ、それでも人だと嘯いた』

 古代ギリシャの伝承にルーツを持つ術。蜜蝋の翼で天空を舞った哀れな男の物語を実現する。ラテン語の呪文部分は古い時代に発生したとある詩の一節。強力な魔力を帯びた呪文となっている。術者を覆う境界の力場を操作し重力に対して思うままに反発し浮遊する術。神をも畏れぬ空への渇望は魔術師も世俗人も同じことだった。それは自らを縛る力への反発として表出する。

使用言語:ラテン語、古代ギリシャ語、フランス語。

消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)66.6g・常時出力0.666g


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・C群/強度:常用級(呪医医学会資格必須)/魔術言語媒体/精神操作術・力学操作術・電子操作術・結界術 使用者:森水都(第一級魔術師・日本魔界府秘匿一課所属・呪医医学会資格・元隠者の薔薇違法呪医)

『百式祈祷医術法』【ヒポクラテスの誓い】

 ヒポクラテスの誓いを詠唱することで施術を開始する。無菌空間を半径5メートル以内の規模の結界内に創り出す。触診・邪眼診察により病巣などを特定し百種の祈祷を複雑に利用することで内科医療ならば儀式で、外科医療ならば仮想メスなどを扱い施術を行う。万能ではない。利用には医療知識が不可欠であるほか内科医療の場合薬学知識が必須。

使用言語:古代ギリシャ語、英語、フランス語、ラテン語、ドイツ語、日本語

消費魔力量:最大瞬間出力(設置時)10g・常時出力0.002g毎秒


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・A群『真・十式祈祷医術法』【Good medical practis】

 ジュネーブ宣言の詠唱により発現する。複数の効果が発生し条件分岐も多い。

1 相手が医療者の場合:対象が医療者と術者に認識される場合ジュネーブ宣言が厳格に守られているか否かの【尋問】が発生し

2 相手が【患者】の場合:【問診】【施術(カウンセリング)】【処方】を行う。百式祈祷法には存在しなかった精神医療法が5種追加されている。

3 相手が【魔術・呪術物品】の場合:安全な形での封印式の構成のための施術を百式祈祷法を応用して施術する。

4 相手が【霊魂】の場合:精神医療法五種を施せるほか霊魂体の魔術的拘束などが可能。

5 相手が【遺体】の場合:百式祈祷法を応用したエンバーミングが可能。エンバーミングの際に効力を失う呪医医療術が多いためこれが存在する。

使用言語:古代ギリシャ語、英語、フランス語、ドイツ語、日本語

消費魔力量:最大瞬間出力(設置時)5g・常時出力0.001g毎秒(百式祈祷医術の結界に追加して付与するため常時出力は百式に可算される)


『ゼロ式=祈祷医術法』【羊たちの沈黙】

百式祈祷法の結界をルーン結界に転用。複数地点での展開と空間内での応用ルーン魔術により百式祈祷法が変化する。呪医医療術を戦闘用に転化した変則的な動きと攻撃が組み合わされた異常な術式。加速移動なども可能になるほか、医術に使わないために結界が簡易化され、簡単に複数設置が可能。

使用言語:古代ギリシャ語、ラテン語、ルーン文字、日本語

消費魔力量:最大瞬間出力(設置時)0.1g・常時出力0.001g毎秒


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・C郡/強度:トン級/魔術言語媒体・魔術紋様媒体/結界術 使用者:森水都

『密閉ルーン結界』

 ルーン文字を利用した閉じ込めるためだけの結界。最大半径1.5キロメートル。最近の感染を抑止するための結界であるが結果的に封じ込めや拘束にも利用可能。術式を付与することで様々な効果を発揮することができるが、壁としての役割は効果が付与されるほど弱くなっていく。

使用言語:ルーン文字(基本)

消費魔力量:最大瞬間出力(設置時)10g・常時出力0.0002g


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・B郡/強度:トン級/魔術言語媒体/神経操作術・精神操作術 使用者:富嶽埼栄

『魔術記憶操作術』【秘匿】

 『魔の夢は醒め、魔の現は消え、夢無き世には石だけが残る。現無き夢には魂だけが揺らぐ。』

 秘匿課において最も使用される術。世俗渡航時に魔術師が必ず習得もしくは携帯する魔術でもある。魔術に関する記憶を自動的に消去する。この術自体はかなり高度であるが渡航時には使い捨ての魔道具にこの術が納められていることも。魔術に関する記憶の自動選択は強力な魔力を認知した際の記憶野の特殊な影響を感知して消去する術式構造となっている。呪文は古くから、あらゆる魔界に伝わる詩である。

使用言語:ラテン語(基本)、古代ギリシャ語、フランク語、古英語、ケルト語、ゲール語、ルーン文字。

消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)2g


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