第三章 登場人物評価と登場魔術に関する資料

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今回現れた秘匿課及び違法術師の評価に関する南極卿財団秘匿資料。


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国連秘匿保障委員会(南極卿財団)アジアセクター日本特派員、日本魔界府秘匿一課課長 ベアトリーチェ・カントル(29)


・B評:≪特別指定級評価≫:『月の民』の中で伝説に残る『ジェヴォーダンの獣』の子孫であり、一族に伝わる強力な戦闘技法と身体強化術式を駆使し、近接戦を演じる。特派員の中でも頭一つ抜けた実力を有し、面制圧攻撃や狙撃にも対処可能である。

・I評:≪第1級評価≫:ヴィクトル・レガリア城のマグヌム・インサニア魔呪法大学人知理学部で身体呪術哲学を研究していたこともあり、『月の民』特有の身体呪術に対する研究に造詣が深い。

・M評:≪特別指定級評価≫:『月の民』に見られる最大魔力量の生来的な適応力の高さは彼女にも見られ、それをさらに修練により拡張している。

・S評:≪二級評価≫:魔力感知については、隠匿された魔術的結合程度ならば看破でき、半径100メートル程度の動物に対しての感知圏内を持つ。元より感知能力に関しても強い才能を持っていた。

・P評:≪三級評価≫:銃弾弾道や危機察知の予知能力は十分な訓練と実践により身についている。

・T評:≪第一級評価≫:年齢は若いながら経験と訓練から熟達した魔術技巧を持つ。その膨大な魔力を緻密に操作し防御や攻撃を効率的に行う。

総合評価:≪特別指定級評価≫

魔力最大量:1.30*10^4


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英国呪塔會特派員 日本魔界府秘匿一課員 春沙クラビス (36)第一級魔術師免許特例取得


・B評:≪特別指定級評価≫:二種類のカード、小アルカナ(所謂トランプカード)と大アルカナ(所謂タロットカード)の呪物を利用した変則的な呪術師のスタイル。外部の精霊(神霊)や怨霊、呪物と言った自身の魔力に縛られない魔術を利用した戦闘を行う。身体的な耐久力は通常の人間並みであるにもかかわらず、特別指定級との戦闘も、一級術師ながら可能である。

・I評:≪特別指定級評価≫:アフリカ方面の精霊呪術を始め、聖書術、カバラ秘術に長じ、深い知識を持つ。秘密主義団体『呪塔會』の特派員は総じて『呪術』と呼ばれる霊魂操作術や呪物の取り扱いに特別な知識を持つ。それ故に封印術などにも通じ、森水都と共に秘匿一課においては呪物や魔術物品の封印を行うことも多々ある。

・M評:≪三級評価≫:幼少から極めて最大魔力が低く、数十年の修行で呪物を利用した戦闘能力を高めているようであり、本人の魔力はあまり利用しない。また、熟達した使い手の最大魔力量の低さは自身の体外に自然放出される魔力を隠すことが容易であることも示している。

・S評:≪二級評価≫:把握可能距離は半径5メートル程度であるが、対象の魔力操作、魔術的結合の認識、身体内外の状態などの感知に長けている。呪医などに似た傾向の訓練によりそうした感知能力を獲得した。これにより的確に急所や防御の手薄な地点を把握することが可能である。

・P評:≪二級評価≫:弾道予知、危機察知能力に非常に長けており、未来視とまで考えられるほどに研ぎ澄まされている。はっきりとしたイメージは視ることはできないが気配や雰囲気、デジャヴなどで予知を見る。予知夢などは視ることはなく、占いなどの現状把握の能力・技術なども鋭敏ではない。一点に特化した修練により開花した能力である。

・T評:≪特別指定級評価≫:熟練した魔力操作により魔力消費は邪眼術師に比するほどに少ない。限られたリソースを常に利用しているために微細な魔力操作に慣れている。感知能力と合わさり、数時間にわたる戦闘も可能だが、身体的な耐久力には難がある。

総合:≪特別指定級評価≫

 魔力最大量:2.4*10g


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魔界府民主社会党同盟主席 魔界府互助組合会長 魔界府霊魂流留街支援孤児院『Dom Sierot  われらの家』院長 魔界府秘匿一課員 炉場 利斗(35)(金剛破戒居士)特別指定級魔術師


・B評:≪特別指定級評価≫:世俗社会において破戒僧としてあらゆる宗教施設の門戸を叩き説教と暴力ですべてをねじ伏せた経験から、魔力による攻撃を幾度となく受け身体が異常な耐久性を得た。その耐久力を利用した、相手の攻撃を全く避けない戦闘スタイルは異常の一言である。だが、今までにその肉体を破壊しきった攻撃は存在しない。通常の火器、重火器、野戦砲、ロケット弾などは無力であり、ミサイル攻撃に耐えうる耐久力を有している。本人は核ミサイルを一発受けてみたいと冗談めかしてよく言っている。

・I評:≪特別指定級評価≫:仏教、聖書、コーラン、その他宗教学に精通し、そのすべてを公的に批判している。時に神聖の術師を屈服させることもある彼は、宗教について強い反発心から全ての宗教を知らなければならない使命感を持ち、それを実践している。

・M評:≪特別指定級評価≫:血みどろの神聖術師との戦闘を幾度となく経て、魔力量の拡張を自然と身に着けた。

・S評:≪特別指定級評価≫:感知能力に関しては集中することで半径30km圏内の全ての事象を電子単位で知覚することが可能である。また、細胞単位の感知を自身のみならず目の前の他者にも適応できる。彼の感知能力の特異性は彼の洞察力と神経細胞の状態の知覚とが合わさることで相手の心情などを精緻に想像することができる点にある。だが、彼自身にとってその想像はどこまで精密なものであっても予想に過ぎないと割り切っているようだ。

・P評:≪特別指定級評価≫:予知夢、広範囲把握型の占術、機運把握型の占術、弾道予知、イメージ型の数十秒間未来視の全てが可能。ただすべてがかなり大雑把で戦闘以外にはほとんど役立たない。未来視に関しては知覚能力に補助され割り出された『予測』であると本人は仮定している。

・T評:≪特別指定級評価≫:実戦で鍛え上げられた魔力操作と宗教系術式は、その術式を見るだけで再現することができるほどの知識力と熟達した術への理解が織りなす技巧は他の術師の追随を許さない。

・総合:≪特別指定級免許所有≫

・彼単独での【特異指定存在】と目される術師、事象、物品の回収・封印は成功率5分ながら可能であると考えられる。

 魔力最大量:9.99999*10^5g


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日本魔界府高天原区天岩戸市アレイスター・クロウリー記念魔術大学・魔道工学科客員教授 魔界魔導工学博士豪取得 日本魔界府秘匿一課員 琉鳥栖玲央(32) 第一級魔術師


・B評:≪二級評価≫:後方支援に長けている。複数の機器を利用することで自身の機動力面での弱点を補うが、高いレベルでの戦いにおいてはそうした補助でさえも不十分である。

・I評:≪特別指定級評価≫:ルーン文字、ラテン語、古代ギリシャ語は当然として各地域の象形文字、ケルト語オガム文字の研究、ヒエログリフ、インド古代諸言語など多岐にわたる。また、術式の最適化や魔術的結合の簡略化、複雑化、防護の研究などについてもある程度の知見を持つ。

・M評:≪三級評価≫:最大魔力量については物品作成のため、また、運用のためにある程度の拡張訓練は行っているようである。

・S評:≪五級評価≫:知覚能力の訓練は行われていないようである。

・P評:≪五級評価≫:弾道予知などの能力は低い。訓練もほとんどなく、実戦が数度ある。

・T評:≪第一級評価≫:魔術的結合の合理化と魔力効率の向上、工学的知見からの魔導機械の作成、呪物の研究・解析能力などから魔術に関する技術面は非常に巧である。一方魔力操作や身体能力の向上に関してはあまり得意とは言えない。

 総合:≪第一級免許≫

 魔力最大量:1.3*10^2g


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ドイツ第三帝国アーネンエルベ・SS特務警備隊・隊長 親衛隊特務曹長 ゴットロープ・マモン(115) 


・B評:≪三級評価≫:身体義体化による大幅な運動能力の向上により戦闘能力は一般人異常に高いが一時間以上の高負荷運動は機械の故障の原因となるため推奨されていない。

・I評:≪二級評価≫:ドイツ第三帝国アーネンエルベの秘密研究部門において解明が急がれた魔術研究の一部を習得。また南極卿によるアーネンエルベ神秘研究部門破壊作戦を運良く生き残り、その作戦と南極卿の存在を知ることから全魔界での指名手配が行われている。表向きの手配理由は複数の条約違反と戦争犯罪からである。

・M評:≪一般評価≫:義体化による弊害として最大魔力量の低下が挙げられる。一般人以上に最大魔力が低い。

・S評:≪一般評価≫:全く訓練は行われていない。

・P評:≪一般評価≫:全く訓練は行われていない

・T評:≪五級評価≫:魔道具の扱いも下手。初歩的な魔術をかろうじて扱う。

・総合評価:≪五級相当違法術師・全魔界特別指名手配≫:国連成立以前の南極卿の秘密作戦の存在を知ることは、南極卿及び南極卿財団組織の情報漏洩につながる可能性があることから危険視されていた。90年近い年月、地下に潜伏し最初の50年程はほとんど足跡さえもつかめず、活動が確認されたのは1991年、傭兵業の一環で中華人民共和国の魔界秘匿課との交戦記録であり、死亡したSS隊員と思しき男は自爆し、証拠はほとんど残らなかった。以降の度々魔界の違法団体との共同作戦が見られた。1999年の南極卿特別管理地区侵入事件の際、約二名の『月の民』が誘拐された。以降は散発的な傭兵業の活動が見られたが2016年以降はその活動も見られなくなる。2019年以降数度の活動情報が日本周辺で見られた。

最大魔力量:1.1*10^-3g


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アーネンエルベ・SS特務警備隊 兵器人間分隊司令 親衛隊特務軍曹 アッツァツェル・ルシュト(31)


・B評:≪第一級評価≫:瞬間的な速度と破壊力は特別指定級に届きうる。持続力と機転に欠け、罠や持久戦に弱い。身体の耐久力は機械化も相まって高く、小銃程度では傷をつけることもできない。

・I評:≪三級評価≫:身体改造による魔術をメインに扱うため、魔術知識にかなりの偏りがあり、魔術的結合の合理化などは行われておらず、初歩的な魔術を知るにとどまる。

・M評:≪三級評価≫:身体改造により最大魔力が低くなっている。

・S評:≪四級評価≫:魔術感知能力が低い、隠匿された魔術的結合を見破る能力は低い。

・P評:≪三級評価≫:弾道予知が実戦により可能である他、危機察知能力もある程度は有しているが適切な訓練は行われていない。

・T評:≪三級評価≫:身体改造の補助により魔力操作能力が高い、が、一線級には届かない。

・総合評価:≪第一級相当特別違法術師≫:戦闘記録は少ないが、過去に3名の第一級魔術師が殺害されていることが記録に残る。呪物装填式兵器の扱いなどに加えジェット噴射機構を身体に内蔵したことにより音速へと到達しうる攻撃速度を実現しており、格上を倒しうる力を秘めている。特別指定級魔術師が一名以上いる状況でのみ秘匿課員に交戦が許される特別違法術師である。

最大魔力量:1.7*10^2g


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アーネンエルベ・SS特務警備隊 人狼分隊司令 親衛隊特務軍曹 モロク・ルニウス(28)


・B評:≪特別指定級評価≫:悪名高き『人狼部隊』の最新型。戦闘記録は一例のみ、ドイツ呪塔會特務派遣員(第一級)とドイツ魔術師協会秘匿課員(第一級二名)計三名と交戦、全員が死亡。死因は複数の鋭利な爪による裂傷、咬傷、魔術的結合の痕跡は秘匿課員と呪塔會派遣員の物だけが残り、相手のものは残っていなかった。モロク・ルニウスの犯行とされる証言は被害を受けた派遣員の治療中のものであり、戦闘から4時間後、治療から2時間後に死亡した。体を複数の衛星として分割し、自在に操る能力を有しており、これは『月の民』の古い術の一つに類似している。

・I評:≪三級評価≫:『月の民』の秘術の呪文を一つ知っていること以外は通常の魔術知識に留まる。またその秘術の理論的背景や言葉の意味などは理解していないために魔術の改良などは出来ていない。

・M評:≪第一級評価≫:魔力的感性が高く、最大魔力量も生まれもって多い。魔力的な訓練はほとんど講じられていないが強大な魔力を有する。

・S評:≪三級評価≫:半径二十メートル程度の範囲を感知可能であり魔力感知能力も高く、隠匿された魔術的結合も集中により見抜くことが可能。

・P評:≪三級評価≫:戦闘面での予知・予見能力に秀でている。実戦経験が少ないため能力は覚醒しきってはいないが弾道予知、危機察知には長けている。

・T評:≪三級評価≫:天性の魔力操作センスで戦闘時は身体能力を補強する、魔術的結合に関しても隠匿などを行えるほか、身体能力強化の魔術は体内での操作となるため魔術的結合の残滓を残さない特徴を持つ。訓練の少なさと実戦経験の乏しさから三級程度の評価となる。

・総合評価:≪第一級相当特例違法術師≫:特別指定級術師が苦戦する可能性はあるが、実戦経験の乏しさと自身の魔術に対する不理解から介入術などの対策が可能。『月の民』である派遣員が負けることはないと考えられる。それ以外の第一級魔術師との交戦は回避する規定が作られている。

最大魔力量:6.66*10^4


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アーネンエルベ・SS特務警備隊 魔導兵分隊司令・兵教官 特務軍曹 ベリア・シュタイナー(132歳)


・B評:≪第一級評価≫:機動的な戦術に加えて集団戦に長け、数少ない交戦記録の中でも小~中部隊を指揮している。本人の身体能力については明確ではないが呪物装填式の火器により死亡したとの報告であるため、身体の耐久力は通常の火砲やロケット弾で破壊可能である程度と目される。

・I評:≪四級評価≫:魔術に使用される言語についてはある程度の理解はあるものの、他言語や他の魔術に対する知識はないことが証言から確認されている。

・M評:≪三級評価≫:身体の機械改造により魔力が低下している。80年近く魔術を扱ってきた者としては魔力量は低い。

・S評:≪五級評価≫:魔力感性の低下により感知能力も低下している。

・P評:≪一般評価≫:元々適性の低い能力であったようだ。

・T評:≪二級評価≫:死体を操る魔術は難易度が高く複合的な操作を求められる。また、簡易な術の習熟度も高い。

・総合評価:≪第一級相当違法術師≫:アーネンエルベ・SS特務警備隊の重要幹部であること、先の大戦での戦争犯罪の指令・指揮の責任から、魔界重要指名手配に指定されている。

最大魔力量:6.66*10^2


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アーネンエルベ神秘部門研究部長『悪魔博士』 ルーシアン・ゴットハルト・ルプス(32)


・B評:≪四級評価≫:数々の言語・魔術に通じ、介入術にたける。身体的な能力は一般的な魔術師と同じく、大口径小銃での制圧が可能。

・I評:≪第一級評価≫:複数の言語に通じ、チベット・インド地域の術式に詳しい。現在伝承されていない呪文や術式なども蒐集・保管している。魔導機械に関してもある程度の知識を有し、潜地艦『ラインハルト・ハイドリヒ』の保守などを行っているほか、兵器人間の改造手術の監修なども行っている。本人の専門は生物の生殖と遺伝学・逆遺伝学である。父は人間クローン生成の研究を成功させた先代の悪魔博士であり、母もまた研究者であった。彼女の功績は『月の民』の遺伝子構造の解析とクローン・キメラの生成である。

・M評:≪三級評価≫:魔力拡張の修練などは行っていないが生得的に魔力量が多い。

・S評:≪四級評価≫:修行などは行っていないため生得的な感知能力。

・P評:≪三級評価≫:生得的に予知能力に長ける。知能からくる予見能力も相まって高い予知能力を示している。

・T評:≪第一級評価≫:魔導機械に対しての魔術的結合の付与や管理、護符術やルーン魔術などの扱いの経験から魔術操作、術式操作の技術は高い。理論に関しても常に貪欲に蒐集しており新たな術式の開発や効率化などにも精通している。

・総合評価:≪第一級相当違法術師≫:魔界の違法回線から魔術的知識や論文の情報を交流・盗掘したこともあり、幾つかの条約違反から個人としても名称不明ながら危険視されていた違法術師の一人。潜地艦から出ることはほとんどなかったため実態や実力、本名などは不明であった。知的好奇心による愉快犯的な条約違反、違法行為などが数十例確認されている。

最大魔力量:3.3*10^2 


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アーネンエルベ・SS特務警備隊 親衛隊二等兵 アドルフ・ゴットハルト・ルプス(14)


・B評:≪第一級評価≫:本人の魔力は非常に少なく、本来ならば修練により身体的な魔力適性と最大魔力量が拡張される必要があるが、幼少期より魔術的な攻撃を受けてきた彼は身体にのみ強力な魔力適性が与えられ、通常の人間以上の身体能力と耐久力を有している。これは世俗にて魔力を覚醒させた者の一部や金剛破戒居士のように常に生身で魔術的攻撃を受けて生存できたものに見られる身体の魔力適化である。幼少期より臨死体験を幾度となく受けることにより彼の身体は魔力に異常に適合しているため、魔術的攻撃の多くが彼に与えるダメージは小さい。

・I評:≪二級評価≫:通常の教育を受けられていないが艦内で入手した書籍などから魔導機械などの作成のノウハウを手にし、自ら魔導兵器を作成する事などもある。

・M評:≪一般評価≫:元々魔力適性が低く、修練もないために一般の中でもかなり少ない魔力量である。

・S評:≪三級評価≫:魔力に対する感知能力のみが高く、気配として感じられる。

・P評:≪四級評価≫:訓練はなかったが、危機察知能力がかなり高い。

・T評:≪二級評価≫:魔導兵器の作成経験と理論から効率的な魔力操作能力を有する。

・総合評価:≪第一級相当特別術師≫:日本魔界府秘匿一課員琉鳥栖玲央による監察処分として特別術師と認可する。戦闘能力に関してはその身体能力から魔導機械や魔導兵器、呪物を利用した戦闘を行う場合、第一級術師相当の実力を有している。

最大魔力量:1.1*10^-3g


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今回使用された魔術について 南極卿財団資料・魔術事典より


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・A群/強度:メガトン級/身体媒体・魔術言語媒体/身体変容術 使用者:ベアトリーチェ・カントル(特別指定級魔術師免許保有) 

『小宇宙爆破』【プロメテウスの火】

人体内の筋肉での代謝に魔力を利用し爆発的な身体能力を発揮させる。体積以上の筋力を発生させるこの術は獣人族の基本機能を模倣したものが始まりだが、さらに効率化され、意図的に筋組織を破壊、それを急速に修復することで魔力を効率的に順応させる操作などが組み込まれている。ATPのみに依らない代謝は極限環境下での生存を可能にすることも。これによりベアトリーチェ・カントルは通常の『月の民』を超えた身体能力を有している。

使用言語:ヴィクトル・レガリア方言ラテン語(基本)、古代ギリシャ語、ヘブライ語、フランク語、ケルト語、ゲール語、古代チベット方言。

消費魔力量:最大瞬間出力・1000g/常時出力・0.5g毎秒


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・A群/強度:メガトン級/魔術言語媒体/身体変容術 使用者:ベアトリーチェ・カントル

『月の呼ぶ声』【ムーン・ビースト】

『月の民』の変身時に詠唱される呪歌。この術により『月の民』に類する人狼族は自らの『先祖返り』の術を制御し、他者の身体さえも操る。身体の一部から眷属として衛星を生成し利用することも可能。生物学的な理から外れた魔術的存在へと変貌する。完全に独立した言語体系を取るためにこの歌の解読は『月の民』以外にはほとんど不可能に近い。また、この術は『月の民』および、人狼族以外には効果はない。

使用言語:月の民の言葉(基本)、ヴィクトル・レガリア方言ラテン語。

消費魔力量:最大瞬間出力・666g/常時出力・0.0666g毎秒


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・A群/強度:キロトン級/物理媒体・魔術言語媒体/物理現象操作術など。使用者・作成者:春沙クラビス(第一級魔術師免許所有)

『不幸は知性を呼び覚ます』

春沙クラビスの所有する大アルカナタロットカードの呪物に刻まれた術式を起動することで発動する。呪術師は物品に刻まれた魔術や怨念、執念を利用したり、霊魂の集合体や集団の信仰心が作り出した神の幻である神霊を操ったり利用する術師を指す。消費魔力量は全術式【0.愚者】の消費魔力量として扱われる。


・A群/強度:キロトン級/物理媒体・魔術言語媒体/力学操作術 使用者:春沙クラビス

『1魔術師(ヘルメスのベール)』(異教徒、賢者、背蟲、導師、香具師)

意志、手腕、外交、水星:すべてのカード(大小アルカナ双方)の超硬化(玉鋼の刀のように鋭く硬質化する)。および自在浮遊。他カードと併用不可。効果時間は最大20時間と0をのぞき最長。術式・魔力は呪物であるタロットカードに依存。呪文はルーマニア・トランシルヴァニア地方ロマ語で『ヘルメスよ秘匿を抱え駆けろ』

使用言語:トランシルヴァニア地方ロマ語(基本)、古代ギリシャ語、ラテン語。


・A群/強度:キロトン級/物理媒体・魔術言語媒体/介入術・電荷・磁性誘導術 使用者:春沙クラビス

『9隠者』(賢者、反逆者、老人)

深慮、忠告を受ける、崩壊 宝瓶宮:朽ちる(カードの触れている者の魔力を吸収するほか、物体の水分を吸収する)。呪文はトランシルヴァニア地方ロマ語で『反逆の隠者よ、その罪により枯れて朽ち果てよ』

使用言語:トランシルヴァニア地方ロマ語(基本)、古代ギリシャ語、ラテン語。

消費魔力量:常時-0.5g/毎秒(魔力吸収により術者に一部が還元される)


・A群/強度:キロトン級/物理媒体・魔術言語媒体/電化・磁性誘導術 使用者:春沙クラビス

『16塔』(稲妻、神の家、神罰、バベルの塔、脆さ、落雷の塔)

悲嘆、災難、不名誉、転落、白羊宮:自身の身体を媒介として電気が走る。心臓マッサージとして利用可能だが本来は非常に体に負荷がかかる。相手が聖職者の場合、相互に「介入」できる(この術にはヘブライ語聖書のバベルの塔の話が組み込まれているため)。

呪文はトランシルヴァニア地方ロマ語で『奢れる者に天からの罰を』

使用言語:トランシルヴァニア地方ロマ語(基本)、古代ギリシャ語、ラテン語、ヘブライ語。


・A群/強度:キロトン級/物理媒体・魔術言語媒体/霊魂操作術 使用者・作成者:春沙クラビス

『ズマヴィエナー(なぞなぞクイズ)』

トランプに刻まれた術式を起動することで、各地域の神霊や封印した怨霊を召喚し、その権能を発動させる。霊魂は完全に操作されている者はごく一部であり、基本的にその能力の効果は術者を含め無差別で対象となる。

・ハートのエース『ジン・キバル』 使用者:春沙クラビス

 アフリカ、ニジェール川流域の部族、主にソンガイ族に伝わる神話の登場人物。ギターを持った姿で現れ、河と魚を操る。出現時に大量の水と魚の霊魂を出現させ押し出す。また多くの幻覚を操ることも可能で、モノの量を偽る。神霊を中心に半径10メートル以内は幻覚の効果範囲である。

 使用言語:トランシルヴァニア地方ロマ語(基本)、ソンガイ語、マリンケ語、ソンニケ語、ハウサ語、トゥアレグ語。

 消費魔力量:最大瞬間出力(起動時)0.2g


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 ・A群/強度:メガトン級/物理媒体・魔術言語媒体/精神操作術 使用者・作成者:金剛破戒居士(炉場利斗)

【懐疑主義的科学思想(ピュロニズム)】

 実存主義やデカルトのように懐疑主義的に理論を検証し続け、根本を揺るがし続ける姿勢に対する哲学論考を媒体とした精神操作術。幾つもの宗教術式と哲学思想によって構成されたこの術は周囲に魔術的結合を飛散し、効果対象となった者は自身の中にあるアイデンティティについての本質的疑念からアイデンティティ・クライシスを発生させやすくなる。

 使用言語:現代日本語(基本)、ラテン語、ヘブライ語、サンスクリット語、古代中国語、中世日本語、近代日本語、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語。

 消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)・777g/常時出力7.77g毎秒


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 ・A群/強度:トン級/身体媒体・魔術言語媒体/神経操作術・力学操作術 使用者・作成者:アッツァツエル・ルシュト

【マッハ!!!!!!!!】

 四肢に搭載されたジェット機構を作動させ音速に近しい攻撃速度を再現する攻撃的な魔術。マッハの速度は自身の認識能力を完全に超えているため、事前にどのような攻撃軌道を取るか設定されているものを神経信号として動作させる。最大5分間の連続攻撃が可能。

 使用言語:アーリア語(古代インド北部地域言語音写)(基本)、ドイツ語。

 消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)・41.5g/常時出力・0.415g毎秒


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・A群/強度:メガトン級/魔術言語媒体/身体変容術 使用者:モロク・ルニウス

『月の呼ぶ声』【ムーン・ビースト】

『月の民』の変身時に詠唱される呪歌。この術により『月の民』に類する人狼族は自らの『先祖返り』の術を制御し、他者の身体さえも操る。身体の一部から眷属として衛星を生成し利用することも可能。生物学的な理から外れた魔術的存在へと変貌する。完全に独立した言語体系を取るためにこの歌の解読は『月の民』以外にはほとんど不可能に近い。また、この術は『月の民』および、人狼族以外には効果はない。モロク・ルニウスの使うこの術は不完全かつ制御が成されていないものであるために『月の民』には簡単に介入を許してしまう。

使用言語:月の民の言葉(基本)。

消費魔力量:最大瞬間出力・999g/常時出力・6.66g毎秒


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 ・A群/強度:キロトン級/物理媒体・魔術言語媒体/神経操作術・身体変容術・霊魂操作術 使用者・作成者:ベリア・シュタイナー

【死霊の盆踊り(Der Untergang)】

 死体の神経細胞を無理矢理繋ぎ、幾つかの霊魂をそこに押し込むことで死体を動かす術。かなり雑な術であり簡易に行う事ができる上に、言語の特性から介入は難しい。指令できる命令と動作の精密性はとても悪く、まっすぐ進むことも難しい場合がある。

 使用言語:アーリア語(基本)。

 消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)98g/常時出力0.6g毎秒


 ・A群/強度:キロトン級/魔術紋様媒体・魔術言語媒体/結界術・介入術・封印術 使用者・作成者:ベリア・シュタイナ―

『アーリア式結界術』【千年帝国(Mefo-Wechsel)】

 結界を展開する。結界内での魔術結合はこの結界の結合によって妨害され、無力化される。魔力による力学操作などもこの妨害の対象となるために実弾以外の魔術的攻撃は数段上の強度を持つ術でない限り突破できない。複数人の魔力により起動することが可能。ローマ式敬礼を術者と同時に行ったものから魔力を拝借する。

 使用言語:アーリア語(基本)、ドイツ語。

 消費魔力量:最大瞬間出力(起動時)・200g/常時出力・0.5g毎秒


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 今回登場した呪物・魔術物品・魔導機械についての南極卿財団秘匿資料


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 ルーデンス・装甲駆動車椅子【ロボZ《ズィー》型・くれない】作成者・使用者:琉鳥栖玲央

 搭乗者を完全に防護する装甲が搭載された魔導車椅子。琉鳥栖玲央による特製の品であり独自のOSを搭載。360度の視点を認識し、装甲内側に映写できるほか、複数のロボット・アームによる武装の装着も可能。これもΣドライブにより、半永久的な動力を有している。

 使用言語:古代日本語・ルーン文字・ノルマン語・ケルト語・ゲール語・ラテン語・古代ギリシャ語・ヘブライ語・他紋様媒体(アメリカ諸原住部族、アフリカ部族、アラベスクなど)

 

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 ルーデンス・Σドライブ式不発機関銃 作成者・使用者:琉鳥栖玲央

 全長90センチ、重さ100kg。Σドライブを搭載した魔導兵器。その名の通り実弾ではなく力学操作術による力学的エネルギーをもつ魔術的結合を発射する。最大10分間の連続使用が可能であり、最大まで回復するのには約1時間のクールダウンが必要となる。

 使用言語:ルーン文字・ケルト語・ラテン語・古代ギリシャ語・ヘブライ語・他紋様媒体(アメリカ諸原住部族、アフリカ部族、アラベスクなど)


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 ルーデンス・Σドライブ式不発ライフル 作成者・使用者:琉鳥栖玲央

 全長144センチ、重さ24kg。こちらも力学的エネルギーを持つ魔術結合を発射する。対物ライフルを元としており貫通力が機関銃よりもずっと優れているが五発ごとに5分近いクールダウンが必要。

 使用言語:ルーン文字・ケルト語・ラテン語・古代ギリシャ語・ヘブライ語・他紋様媒体(アメリカ諸原住部族、アフリカ部族、アラベスクなど)


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 ルーデンス・Σドライブ式魔導レーザーライフル 作成者・使用者:琉鳥栖玲央

 全長100センチ、重さ50kg。高出力レーザーを発射しすべてを焼き払うが一発の発射ごとに10分間のクールダウンが必要。琉鳥栖玲央の兵器の中で最も高出力である。

 使用言語:ルーン文字・ケルト語・ラテン語・古代ギリシャ語・ヘブライ語・他紋様媒体(アメリカ諸原住部族、アフリカ部族、アラベスクなど)


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 ルーデンス・小型潜地艇

 全長20メートル高さ最大5メートル、最大深度約200メートルの小型舟艇。アーネンエルベの潜地艦に利用された特殊な魔術が利用されている。大型での再現は難しく、琉鳥栖は小型艦での再現にとどまっている。自動航行機能が複数の霊魂操作術により可能となっており、操縦室の操作盤も非常に簡易になっている。仮眠室、治療室、ロッカールーム、給湯室などが完備されており、ちょっとした基地としての運用も想定されている。どちらかと言うとキャンピングカーとしての利用を琉鳥栖は考えていた。前面が入り口として開く形となっており、車椅子でも船内に入れる。

使用言語:特殊不明言語・紋様


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 Stg44/M 魔導銃弾式歩兵突撃銃

 アーネンエルベ・SS特務警備隊特製弾薬7.92mm×33mmクルツ弾をベースとし、弾頭に特殊魔術刻印がなされているモノを利用する突撃銃。通常の小銃火力に加え、魔力による攻撃により倍近い破壊力、貫通力を実現した。

 使用言語:アーリア語特殊紋様


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 アーネンエルベ・SS特務警備隊保有潜地艦『ラインハルト・ハイドリヒ』

 地中200メートル付近まで潜航可能、全長122メートル、最大高さ18メートル、対地上魚雷を6門搭載。1944年にアーネンエルベ神秘部門により開発された特殊潜水艦。物質に干渉する特殊な術式効果により実現されたこの『潜地艦』はある一定の密度の場所、主に地面を潜航する能力を持つ。これはチベット調査の過程で現地のカトリック神父のような恰好をした浅黒い肌の男『ナイ神父』が保有していた魔術書『死霊術大儀書(ネクロノミコン)』に記載されていた術式により実現した。『ナイ神父』は調査隊に協力的な唯一の現地人としてアーネンエルベ神秘部門の幾つかの魔術に関しての知識を提供した。この術式の特異性は単一の言語によるものでありながら、周辺の言語との同一性・共通性が見られないどころか、セム語・ハム語いずれの語族にも見られない特徴を有する点にある。

 武装は本来ならば魚雷を20門搭載できるが現在『ラインハルト・ハイドリヒ』においては6門のみの搭載である。前方の発射口は一つであり、脱出用の小型舟艇も同じ口から発射される。

この『潜地艦』は一番艦『ハインリヒ・ヒムラー』二番艦『アドルフ・ヒトラー』三番艦『ラインハルト・ハイドリヒ』の三隻が建造されたが、一番艦、二番艦は南極卿の襲撃により破壊された。

使用言語:特殊不明言語・紋様


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