第四章 登場人物評価と登場魔術に関する資料

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今回現れた秘匿課及び違法術師の評価に関する南極卿財団秘匿資料。


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 四江奈里奈(9)特異指定存在


・B評:≪二級評価≫:魔力の単純出力は原子力発電所4基分に匹敵するエネルギーを発揮可能。しかしその出力のコントロールに関して幼い故の経験不足と知識不足から術を操ることは難しく、単純な出力を抑えることも護符などを利用している。身体能力に関しても年相応のものである。

・I評:≪魔界籍所有≫:魔界に住むものとしての一般的な知識に留まる。金剛破戒居士による訓練により出力コントロールへの知識と経験を日々積んでいるが魔術免許は取得していない。

・M評:≪特異指定存在評価≫:優れた出力を発揮する才能と共に膨大な最大魔力量を発揮する才能にも恵まれ、発生時、出産時、生育時の【儀式】により、より強大な魔力を有している。

・S評:≪三級評価≫:天性で鋭敏な感覚を有している。長期間の修練により第一級相当の感覚を得る可能性がある。

・P評:≪四級評価≫:普段の予知・予見能力は勘の良さ程度のものではあるが、予知夢に対しての適性が高い。訓練次第で予知能力の向上が期待できる。

・T評:≪魔界籍所有≫:一般的な魔界の同年代よりも一部、魔力制御においての技術が磨かれているが、その他においては同年代と同じ技術力であると言える。


・総合:≪特異指定存在≫:現在は保護管理責任者に特別指定級術師金剛破戒居士(炉場利戸)が就いており、児童養護施設【Dom Sierot 】にて養育されている。

 彼女は生まれつき『聖痕』が確認され(これは単なる痣であることが金剛破戒居士による調査報告書にて確認されている)、そのことから両親とそれを主導した神父、およびシモーネ・デ・メディチ大司教の策略により『聖遺物』とされる『聖釘』を【聖体拝領】儀式により埋め込まれ、身体に術式を刻まれている。この術式は術者がコントロールできない状態にあるうちは暴走状態として単純な魔力出力を向上させるのみにとどまるが、術者自身が術式を操る、もしくは、術者が何者かに操られている状態、あるいは、トランス状態にある場合に『あらゆる奇蹟』を実現する術として覚醒する。

 最大魔力量:5.9742*10^6g


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訓戒最高管理指揮者シモーネ・デ・メディチ大司教(34)


・B評:≪第一級評価≫:神聖術を効率化し、複数の術式形態を転用した術を操る。大司教として前線で戦闘を行うことは少ないが一度交戦記録が存在する。

・I評:≪二級評価≫:神聖術、聖書、神学に関する知識は大司教として広く学んでいる。また一部、魔界における魔術知識を保有していると考えられている。これは彼らにとって禁忌である。

・M評:≪三級評価≫:ある程度の訓練を受けている。

・S評:≪四級評価≫:訓戒において訓練を受けている。半径数メートル程度の認知範囲。

・P評:≪三級評価≫:弾道予測に特化している。予知能力は皆無。

・T評:≪三級評価≫:魔力の操作について訓戒での訓練を経てある程度の技術を持つ。


・総合:≪第一級相当神聖術師≫:大司教位の者としては異例の評価であり、歴代の訓戒最高管理指揮者の中でも最も強いと評されている。本来訓戒最高管理指揮者は前線に出ることはあり得ないが、彼は特務部隊任務に積極的に参加し、現地指揮を行うこともある。

 司教位に合った時代から魔術団体との関係が噂されるほか、各国にて魔術知識を利用した複数の工作が南極卿財団によって観測されている。


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訓戒第一特務部隊部隊長アレッサンドロ・アンドレア神父(48)


・B評:≪特別指定級評価≫:古代神聖術の研究知識と現代に適応し肉弾戦に応用した術式操作、格闘能力、身体の魔力適性、戦闘面全てにおいてバランスが完成されている。本人は銃よりも銃剣と拳、聖書による術式を好み、高い身体能力を以て機動力を生かした近接戦を主軸に置く。

・I評:≪第一級評価≫:死海文書研究および古代神聖術、神学に造詣が深く、教皇庁において管理されている書籍の全てはもちろん、高等批判の論文などにも目を通している。

・M評:≪二級評価≫:元来の最大魔力が低かったが訓戒による長年の研鑽により向上。

・S評:≪三級評価≫:半径十数メートル程度の感知範囲を持つ。大まかな魔力推移などを感知する程度にとどまる。

・P評:≪特別指定級評価≫:危機察知、弾道予測、攻撃予見などの研鑽が見られる。長期的な未来予知は難しいが数秒後の未来予測は可能であり、本人はこれを『主の恩寵』と考えている。

・T評:≪特別指定級評価≫:宗教系術式に対する知識と研鑽もさることながら、魔力出力・適性に対して実戦と過酷な訓練を続けたことで、宗教系術師の中で数少ない、あの金剛破戒居士に対抗し得ると考えられている。


・総合:≪特別指定神聖術師≫:単純戦力で金剛破戒居士に勝るとも劣らない実力と目される神聖術師。各国の違法術師と魔界の術師を震え上がらせた実績を持つ。特別指定神聖術師の最高警戒対象として、金剛破戒居士以外は特別指定級術師二名以上の状態でのみ交戦が許されている。首切り判事、暴君、僕殺者、雷の恐怖などの異名を持つ。

最大魔力:7.77*10^3g


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訓戒第一特務部隊副隊長アマデーオ・ヴァッカレッツァ神父(73)


・B評:≪第一級評価≫:銃を主軸に、自身の『聖痕』を利用した術式を扱う。術式の反転は神聖術師には忌み嫌われ、『聖痕』にそれを適用することは冒涜と叫ばれることさえある。だが彼はそれを全て実力で黙らせてきた。

・I評:≪第一級評価≫:神聖術、神学に精通。異端の術に関しても広く知識を得ている。

・M評:≪三級評価≫:訓戒訓練施設は最大魔力量の訓練に関して合理的なノウハウがないために比較的魔力量は低い傾向にある。長期の訓練により第二級評価以下の魔力量は視られるがそれよりも大きい魔力量は確認されることは極めて少ない。

・S評:≪三級評価≫:半径数十メートル程度の感知範囲。精密な銃撃が可能である。

・P評:≪二級評価≫:弾道予測と危機察知能力から数手先を予見した銃撃、攻撃が可能であり、流麗な戦闘を行う。予知能力に関しても適性がある。

・T評:≪特別指定級評価≫:攻撃を悟らせない流麗な魔力操作や術式操作を可能にする、莫大な経験値と知識、技術力。神聖特務部隊の副長として実力は十分と言える。


・総合:≪特別指定神聖術師≫:アレッサンドロ神父以前の魔界に対抗しうる神聖術師の筆頭を担っていた老神父。過去に一度大司教への告発により告発者の仲間を失い、人事異動を受けた経験があり、それを長らく悔やんでいるようだ。魔弾の射手、病魔、白髪の死の手などの異名を持つ。

最大魔力量:8.67*10^2


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訓戒第一特務部隊ヨセフ・タロッツィ神父(26)


・B評:≪二級評価≫:20代にして第一特務部隊への大抜擢された実力は、訓戒の若年層の中でも指折りであるが実戦の少なさから身体の強度は他隊士と比べてやや弱い。

・I評:≪三級評価≫:基本的な神学の知識と神聖術の知識を有している。

・M評:≪四級評価≫:一般的な魔力量から訓練と修行により拡張され続けている。

・S評:≪四級評価≫:魔力操作が流麗な者に対しては魔力の移動・推移が認識し難い。

・P評:≪五級評価≫:危機察知能力が発展途上である。

・T評:≪三級評価≫:魔力操作、術式操作に関しても戦闘中に扱うことはできるが、一線級には及ばない。

・総合:≪二級相当神聖術師≫:組織内の調査能力に長け、煩雑な事務作業などを特務部隊において担っている。訓戒の術師としては戦闘能力の評価は高いが、発展途上にあると評価できる。実戦における実績はあるが、彼の抜擢にはアマデーオ神父によるところが大きい。事務作業に長けた隊士は実力主義の特務部隊には少なかったためであると考察される。

最大魔力量:1.1*10


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神祇寮祓魔部所属 蔵見和真(24)第一級魔術免許取得


・B評:≪第一級評価≫:霊験あらたかな神仙の宿る樹木を使用した魔道具の木片を利用する、無刀抜刀術を使う。刀としての利用ではなく喧嘩師としてのバットスイングに似た利用法であるが、不良時代に培った喧嘩能力で戦闘センスは高い。また精神力も強く、幾度となく攻撃を受け続ける耐久力も持ち合わせている。

・I評:≪第一級評価≫:神道系術式を扱うが、飛騨山のコネクションにより他家系の秘伝術式の知識を持つ。

・M評:≪二級評価≫:神祇寮改革により宇美部家の訓練術が神祇寮公式訓練に取り入れられたことで効率的な魔力量の拡張が行われている。

・S評:≪四級評価≫:魔力感知は不得手。

・P評:≪四級評価≫:予知・予見・予測能力の訓練でも進展性が低く、不得手である。

・T評:≪二級評価≫:術式操作に長け、強力な出力と良好な効率性をもつ術を操る。


・総合:≪第一級魔術免許取得≫:一般家庭に近い貴族家出身であるが魔力の強い適性から神祇寮の祓魔部へ入る。宇美部来希に対して彼が18歳で異例の祓魔部編入となった際に対抗意識を燃やし始めたようだ。任務外でも飛騨山や桑野と交流がある。ことあるごとに宇美部に勝負を挑んでいたが覚えられるまでもなく敗北し156敗を喫している。

最大魔力量:1.56*10^3


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神祇寮祓魔部所属 飛騨山秀一(24)第一級魔術免許取得


・B評:≪第一級評価≫:植物を利用した特異な魔術を操る。植物の特性を変質させたり、魔界の特殊な植物の生態を利用した術が多い。魔力適性に関しても高く、幻獣の生まれ変わりとも評されるほどに身体の魔力適合が速い。

・I評:≪第一級評価≫:魔界植物の生態に詳しいほか、神道系術式にも精通しており、特殊なコネクションにより様々な他貴族家の秘伝術式の知識を得ている。

・M評:≪第一級評価≫:元来最大魔力量が多く、訓練によりさらに拡張された。

・S評:≪二級評価≫:数十メートル規模の半径を誇る感知範囲をもち、複雑な隠匿も見破ることが可能。

・P評:≪三級評価≫:戦闘面で利用できる予見能力に長けるが、予知夢などの適性はない。

・T評:≪第一級評価≫:優れた技巧と魔力操作・術式操作への順応の速さが特筆される。


・総合:≪第一級魔術免許取得≫:第一級魔術師としてバランスの取れた能力を有し、奇異な術を操り相手を翻弄することに長ける。任務成功率に関しても有穂歩、宇美部来希に続き桑野と共に三位に当たる。優秀な神祇寮祓魔師である。

最大魔力量:1.52*10^3g


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神祇寮祓魔部所属 桑野永(20)第一級魔術免許取得

・B評:≪第一級評価≫:黒い焔を操る特殊な術は失われた秘伝の術式である。本来は邪眼を操る家系の生まれではあったが飛騨山により術の知識を得て、邪眼術と黒い焔の術を掛け合わせた。戦闘面においては宇美部来希、有穂歩を除いた神祇寮トップと目されており、飛騨山との実力差は小さいながらも僅差で勝利すると考えられている。

・I評:≪二級評価≫:邪眼術の知識の他、特異な黒い焔の術を得ている。

・M評:≪第一級評価≫:最大魔力量の修練による拡張幅が大きく、みるみるうちに強力な魔力を有するに至った。

・S評:≪第一級評価≫:半径数十メートル規模ながら細胞レベルの鋭敏な感知を持つ、これは邪眼術によるところが大きい。

・P評:≪二級評価≫:数手先の予見、弾道予測、危機察知に長ける。反面予知能力に欠けている。

・T評:≪二級評価≫:術式を得てから日が浅く操作に慣れきっていない。魔力操作に関しても大雑把な点が一部あるが、感知能力によりカバーしている。


・総合:≪第一級魔術免許取得≫:神祇寮の術師の中でも飛騨山と実力を争う。特殊な術式により優位に戦闘を進めるほか、単純な戦闘能力でも刀を利用した戦闘に長け、時に自身の傷をもいとわない攻撃を行う。新進気鋭、実力派祓魔師だが、その言動や口調が問題視されることもしばしばある。蔵見、飛騨山と共に任務を行うことが多く、神祇寮の三犬との異名も持つ。

最大魔力量:8.95*10^3g


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今回使用された魔術について 南極卿財団資料・魔術事典より


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・A群/強度:メガトン級/魔術物理媒体・紋様媒体/力学操作術 使用者:蔵見和真

『紫電刀』

 神木を切り出した木材を利用した魔道具を媒体として草薙剣に見立てた力学操作術により刀を再現する。長短は出力により調節が可能なほか、通例の介入術では特殊な秘伝呪文を取り入れているために破壊しきれない。刀身の切断力は魔力強度が上回ればほとんどの物を両断できる。

使用言語:中世日本語(基本)、近世日本語、近世東北方言。

消費魔力量:最大瞬間出力(切断時最大)500g/常時出力5.5g毎秒


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・A群/強度:トン級/魔術言語媒体・魔術生物媒体/身体変容術・力学操作術 作成者・使用者:飛騨山秀一

『薔薇のつぼみ』【ローズ・ウィップ】

 薔薇を強制的に成長・拡張し、鞭のような武器を作成する。魔力操作により身体の一部の様に自在に操ることが可能。鋼鉄すらも斬る鋭い鞭である。棘に強力な神経毒などを分泌させる改造を施すことも可能。

使用言語:中世日本語(基本)、近世日本語、近世関西方言。

消費魔力量:最大瞬間出力(成長時)10g/常時出力0.002g毎秒


・A群/強度:トン級/魔術言語媒体・魔術生物媒体/身体変容術 作成者・使用者:飛騨山秀一

 『発芽・アメリカスナオドラデク』【気がかりな野草】

 オドラデクと呼ばれる魔力に対して惹かれる性質を持つ魔界野草の一種を種から発芽させる。アメリカスナオドラデクは特に種子が爆発し時速200キロ以上で飛散する特性を持ち、その性質を生かし、強い魔力の力場を破壊する目的で利用している。

使用言語:中世日本語(基本)、近世日本語、カリナゴ語。

消費魔力量:最大瞬間出力(発芽時)20g/常時出力0.0003g毎秒


 『発芽・フロリダヒトクイオドラデク』【うろんな客】

フロリダヒトクイオドラデクは北アメリカ、フロリダ方面原産の魔力に反応する人食い植物であり、それを発芽させ攻撃する術式。植物の行動・機能を操作し、魔力操作により強化することも行う。基本的にアメリカスナオドラデクと同じ術式。


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・A群/強度:キロトン級/魔術言語媒体・身体媒体・魔術紋様媒体/力学操作術・情報操作術・霊魂操作術 作成者・使用者:桑野永

『呪殺久遠衣壊波(じゅさつくおんえこうは)』

 黒い焔の渦を発生させる。黒い焔は呪いの力の触媒であり、世界に渦巻く怨念や情念、魔力を吸い取り、力として発揮する。完全な呪術であるが、大祓詞の呪文を取り入れることにより霊魂などに対する特攻性を高めた。黒い焔には仮想された質量が付与されており溶岩のような性質を持つ。

使用言語:中世日本語(基本)、近世日本語、近世東北方言、近世中国地方方言。

消費魔力量:最大瞬間出力(焔発現時)200g/常時出力0.02g毎秒


・A群/強度:メガトン級/魔術言語媒体・魔術紋様媒体/力学操作術・情報操作術・霊魂操作術 作成者・使用者:桑野永

『呪殺大兄剣(じゅさつおおえのつるぎ)』

 刀の刀身に黒い焔を付与し仮想質量による重い攻撃と熱による攻撃のふたつを実現する。

使用言語:中世日本語(基本)、近世日本語、近世東北方言、近世中国地方方言。

消費魔力量:最大瞬間出力(焔発現時)260g/常時出力0.03g毎秒


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・C群/強度:トン級/魔術言語媒体・魔術紋様媒体/力学操作術 使用者:ベアトリーチェ・カントル

『汎用浮遊術』

 魔界において媒体を利用した浮遊術は一般的だが、呪文による浮遊術はコストの高さからあまり利用されることはない。利用者は『浮遊屋』と呼ばれ、尊敬と羨望と一抹の侮蔑を周囲から集める。訓練されていない魔界の住人は、媒体なしで浮遊し続けることは少々疲れるほか、煩わしいのだ。

使用言語:古代ギリシャ語

消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)6g/常時出力0.003g毎秒


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・A群/強度:メガトン級/魔術言語媒体/力学操作術 使用者:金剛破戒居士

『不空羂索観音(アモーガパーシャ)呪縛術』

 金剛破戒居士の再現術。彼が以前に拘束された呪縛術を呪文ひとつ、仏教知識から逆算し術式を再現した術。魔力の羂索を放ち相手を拘束する。

使用言語:現代日本語(基本)、近世日本語、中世日本語、中世漢語、古代漢語、サンスクリット語

消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)156g/常時出力0.02g毎秒


・A群/強度:メガトン級/魔術言語媒体・魔術紋様媒体/力学操作術 使用者:金剛破戒居士

『九字十字法・御罰切断術』

人間に対する物理的な攻撃としての九字十字の術。九字十字は日蓮宗系の術の中でも使うのを避けられる強力な呪詛法である。金剛はその術式メカニズムを術を受けることで理解し、発展させた。切断能力のある斬撃を複数飛ばす。

使用言語:現代日本語(基本)、近世日本語、中世日本語、中世漢語、古代漢語、サンスクリット語

消費魔力量:最大瞬間出力:(発動時)200g/常時出力1g毎秒


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 ・A群/強度:キロトン級/魔術言語媒体・物理媒体/力学操作術・霊魂操作術 使用者:アレッサンドロ・アンドレア神父

 『我すでに世に勝てり』

 聖書より引用した呪文を唱えることで発揮される神聖術。神聖術は神聖側は認めることはないが基本的に魔術と異なる点は存在せず、彼らが神より与えられるものと信じている効能は科学的に解明可能な事象である。神聖の側にある人々はこの前提を共有できないため術式の拡張に大きな制限があり、それも手伝って術の多くは古くに作られた構造を脱することは少ない。この術式は聖書のページ一つ一つを操作する古い形式の術式であり、拘束と言う目的もまた古くからあるものである。その分術式自体が強力な魔力を帯びており、これ以降も信者の居る限り年月とともに術式の強度は微弱に増してゆき、消費魔力が極めて少なく済む。また、彼らの術式は人々の信仰から疑似的に発生する霊魂『神霊』を利用することから複雑な指令や動きを高い精度で行うことができる。

 使用言語:古代ギリシャ語、ラテン語、中世ラテン語、フランク語、ヘブライ語

 消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)7g/常時出力0.0007g毎秒


・A群/強度:キロトン級/魔術言語媒体・物理媒体/力学操作術・霊魂操作術 使用者:アレッサンドロ・アンドレア神父

『イスラエルの幼かりしとき我これを愛しぬ我わが子をエジプトより呼びいだしたり』

旧約聖書の一節を唱えることで聖書を操作し、複数人の移動を速やかに行う術。特定地点から特定地点までの移動設定から、距離による設定、移動地点の条件設定など複雑な指令を行える。信徒を救助することを目的として造られた術。

使用言語:古代ギリシャ語、ラテン語、中世ラテン語、フランク語、ヘブライ語

消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)7g/常時出力0.0007g毎秒


・A群/強度:メガトン級/魔術言語媒体・物理媒体/力学操作術・霊魂操作術 使用者:アレッサンドロ・アンドレア神父

『これらの日の患難ののち直ちに日は暗く、月は光を放たず、星は空より隕ち、天の万象、ふるひ動かん。』

聖書を操作し、弾く衝撃と雷電の力を付与する。作動する対象を識別する複雑な指令を行うことが可能。

使用言語:古代ギリシャ語、ラテン語、中世ラテン語、フランク語、ヘブライ語

消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)7g/常時出力0.0007g毎秒


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・A群/強度:メガトン級/魔術紋様媒体・身体媒体/情報操作術・霊魂操作術 作成者・使用者:アマデーオ・ヴァッカレッツァ神父

『闇の奥』【ロイヤル・タッチ】

本来は触れた者の傷や病による苦痛を和らげる術であるが、これを反転させたうえで、苦痛を和らげる行為を苦難の吸収ととらえ、【聖痕】を相手に押し付けることで相手の祝福である魔力を吸い取る効能へと変化させた。

使用言語:使用言語:ラテン語、中世ラテン語、ヘブライ語

消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)21g/常時出力0.007g毎秒


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・A群/強度:メガトン級/魔術言語媒体・物理媒体・結界術/神経操作術・精神操作術・霊魂操作術 使用者:シモーネ・デ・メディチ大司教

『ウヅの地にヨブと名くる人あり其人と為完全かつ正しくして神を畏れ悪に遠ざかる』

旧約聖書ヨブ記を基に造られた術。理不尽な苦難の幻影を見せ、苦痛に陥れることで神の全能性や不可知であることに気づかせ、服従を迫る術式。恐怖、苦痛、失明、飢餓の後、弱った心を服従させる。ヨブ記を利用した術は他にもあるがこの術は禁忌とされ、慣習的に避けられている。

使用言語:ラテン語、中世ラテン語、ヘブライ語

消費魔力量:最大瞬間出力(発動時)14g/常時出力0.0007g


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