第7話 あの日の場所へ

「ふわぁぁ、よく寝たぁ。」


俺は心地の良い朝を迎えた。


ベッドからむくりと起き上がり、俺は出かける準備をする。


どこに出かけるかだって?もちろんダンジョンにだ。レベルを上げるどうこうの話じゃなくて、昨日あの後何があったのかを実際に見に行くんだ。アシスさんの話でしか聞いていないからな。


準備が終わった俺は部屋を出て一階の食堂に向かった。


そこには朝ごはんの準備をしているミシェルさんの姿があった。


「おはようございます」


「おう、おはようさん。疲れは取れたか?」


「はい。もうばっちりと」


「それはよかった。さあ、朝ご飯が冷めないうちに早くお食べ」


「ありがとうございます」


そして俺は席につき朝食を食べ始めた。


―――――――――――――――


それから数分で俺は朝食を食べ終わった。


いや~叔母さんが作る料理、いつも美味しくてあっという間になくなっちゃうんだよなぁ。


そして俺は両てのひらをつける。


「ごちそうさまでした。今日も美味しかったです」


「あいよ。ところで、今日もダンジョンに向かうのか?」


「ええ。その予定ですね」


「それじゃあ気を付けるんだよ。死んだら元も子もないんだから」


そう言った彼女はどこか物寂しそうな顔をしていた。


「心配してくれてありがとうございます」


そんな会話をした後に俺は部屋に戻った。


―――――――――――――――


部屋に戻った俺はダンジョンに向かうため短剣や、飲み水の準備をしていた。


っ! そうだった……


今回は忘れずに回復薬、ポーションを持っていかないと。さすがに前みたいなイレギュラーは起きないとは思うけど、備えあれば憂いなしっていうからな。


よし、準備は整った。武器もOK、飲み物も、食べ物もOK。


「さてと、じゃあ行くか!」


そうして俺は再びダンジョンへと向かった。


―――――――――――――――


10分間くらい歩いて俺は目的地に着いた。それは昨日イレギュラーが起こったダンジョンだった。


今回はレベル上げとかそんなんじゃなく、昨日の真相を知りたくてここに来ていた。


俺は昨日の2人との会話から2が思い浮かんでいた。


1つ目に、もしアシスさん以外の人がレッサーフェンリルを倒したのなら、烏滸おこがましいかもしれないけど何故俺を放置したのか。


少しくらい傷の手当てとかしてくれてもよくね?と感じた自分がいた。本当に烏滸おこがましいけれどね。


2つ目に、としたら。


その場にいたと考えられるのは俺とレッサーフェンリルだけ。


この場に何か隠されたトリックがあるのかもしれない。


俺はその疑問を解消するために現場に足を運ばせたわけだ。


「ここだな。」


そう呟いた場所の床には血痕や獣に切り裂かれたようなあとが残っていた。


恐らく、いや確実にこれは俺の血痕だろう。この位置で襲われたのは俺だけだ。他の人たちはもうダンジョンから出ていたと聞く。


朝の新聞の記事で「今回のイレギュラーでの死亡者、行方不明者はいなかった。」と書いてあったからな。


俺は壁のほうにも目を向けた。


確かに、何らかの血痕が残っている。


アシスさんの言っていたことは正しかったのか。


別に信じていなかったとかそういうわけではなかったが、明らかにだったのだ。


探索者は大抵の場合、剣や銃を使ってモンスターを倒す。


が、アシスさんの話とこの血痕から考えると、何らかの方法でレッサーフェンリルが壁に打ち付けられていたことが安易に想像できる。


果たして剣で敵を切った場合、もしくは銃などで撃たれた場合、壁に相手は打ち付けられるのか。


さすがに付かないだろう、というのが俺が出した答えだ。


勿論、魔法を使った場合だってあるが、一旦は得物を使った場合のみを考えた。


そして俺はあたりを調べ始めた。


だが、見つかったのは奴と俺の血痕、そして折れた短剣くらいだった。


「なんの手掛かりもなしか……。――そういえば俺のステータスだけはチェックをしていなかったな」


とはいっても何も変わっていないとは思うけど。まぁ、念のため確認していくか。


何か糸口を見つけるかもしれないし。


「ステータス・オープン」


そう呟いた俺はいつも通り、上から順にステータスを見ていった。



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リメイク日(2024 12/4)

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