第26話 アシスとの模擬戦

「早速だが、模擬戦を行おうと思う」


「模擬戦…ですか?」


「あぁ、ヤクモのスキルを見てみたいからな。真剣で構わんぞ」


「分かりました、ええっと…」


「ん?心配すんな。これでも頑丈さが取り柄なんでな、全力で来いッ!」


「分かりました、では行きます!」


ヤクモは拳を固く握りしめ、戦闘態勢に入る。


彼の瞳には決意の光が宿っていた。


周囲の空気が一瞬にして緊張感に包まれる。


アシスは、まるで鉄壁のように立ち構えていた。


ヤクモは瞬時に戦い方を考えていた。


―アシスさんと正面からぶつかり合うのは正直厳しい...

だったらまずは動きを封じてやる。


ヤクモは右手を前に伸ばし、「『磁力ネオジム』」と唱えた。


アシスの両足が地面に磁力で固定され、そのまま『磁力ネオジム』で加速させた短剣をアシスの方に投げた。


アシスは冷静に短剣の動きを見極め、身を捻ろうとするが足が動かない。


「――ッ!! 足が…成る程なッ。『鋼鐵化こうてつか』ッ」


短剣はアシスの腹に刺さったかと思いきや、鋭い音と共にその場で静止した。


――何だ…あのスキル…『鋼鐵化』…?


ヤクモはアシスのスキルに驚きながらも、すぐに次の行動を考える。


アシスの足が地面に固定されている間に、ヤクモは距離を詰めるチャンスと見て、さらに攻撃を続けることに決めた。


「今だッ!!」


ヤクモは右手を振り上げ、再び『磁力ネオジム』を使って別の短剣を放つ。


しかし、アシスは冷静にその短剣を見つめていた。


短剣が空を進む中、アレンはその場で留まり、鋼のように硬化した肌で短剣を受け止めた。


――対象固定系スキルか?

だが、それだと短剣の加速に説明がつかん…


アシスは冷静にヤクモのスキルを分析する。


ヤクモは『磁力ネオジム』でアシスの懐に一瞬で入りながら片手剣による横一閃を繰り出すが、『鋼鐵化』が難なく防ぐ。


――身体よりも武器の方が速く出ているな…

ヤクモのスキルは一体…


その時、ヤクモはアシスの『鋼鐵化』によって攻撃が全く通じないことを再確認し、即座に次の手を考えた。


ヤクモは冷静に、自分のスキルの使い方を再評価し始める。


「なるほど、アシスさんのスキルは確かに強力だ。でも、何とかして突破できないか…」


ヤクモは自分の戦略を立て直すために、少し距離を取ることにした。


アシスはヤクモの動きを見守りながらも、無言でその鋼のような体を維持していた。


その姿から、彼が持つ『鋼鐵化』の強大さを再認識させられる。


ヤクモは次の一手を考えるため、頭をフル回転させた。


「やってみるしかないッ…『磁力ネオジム』」


ヤクモは両手を広げ、広場にあった噴水の水を『磁力ネオジム』で操作し、長方形に整え、アシスの頭上に持ってくる。


アシスは水が頭上に降りかかるのを感じ、瞬時にその状況に対応しようとした。


アレンは少し笑みを浮かべ、目を閉じて深呼吸をする。


液体は固体よりも磁力じりょくのコントロールが難しく、ヤクモは全神経を集中させ、アシスに水を


水が彼の体を包み始めると、アシスは冷静さを失わず、対策を考え始めた。


――まさか『鋼鐵化』を突破するために窒息を使うとはな…


アシスは『鋼鐵化』を維持しながら、内側から水を押し出すための力を集中させた。


彼の体が硬化しているため、内圧を高めることで水を押し戻すことが可能だった。


アシスは意識を拳に集中させ、水圧に対抗する力を送り込んだ。


ヤクモはアシスが完全に水に包まれる様子を見ながら、「成功したのか?」と思いつつも、もう一歩踏み込む必要があると感じていた。


そしてヤクモはアシスの反応を見ながら、更なる手を打つことに決めた。


ヤクモは『磁力ネオジム』を使い、水の流れを調整してアシスの体に均等に圧力をかけ続けた。


その時、アシスが内側から水を強引に押し出そうとする様子を見て、ヤクモはすぐに反応した…が遅かった。


アシスの周りの水は全て勢いよく押し出され、消えていった。


「ふぅ…、ここまでとはな」


水が完全に排除された後、アシスは冷静にヤクモを見つめた。


「お前のスキルは確かに強力だ」


「いえ、まだまだです。アシスさんのスキルに対抗できるよう、もっと強くなります!!」


アシスは頷き、戦いの場に静寂が戻った。


「おうよ、そこまで俺が鍛えてやる」


アシスはヤクモの挑戦に感心し、その成長を期待するようにそう言った。


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(リメイク日:1/4)

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