第13話 VSツルギ 決勝戦①
『
そうして気付けば、次はいよいよ優勝の座を懸けた決勝戦、というところまで来ていた。
正直、ここまで行けるとは
決勝戦の準備が整ったのか、実況者の女性がアナウンスを開始した。
「お待たせしましたっ! それではこれより決勝戦を開始いたします! 組み合わせは――ツルギ=ビャクレン選手VSヤクモ選手ですっ! 両選手、舞台へお上がりくださいっ!」
”王都の剣豪”、ツルギ=ビャクレン。
その名前には聞き覚えがある。
俺と同い年の天才剣士だ。
この祭りで毎回優勝していると耳にすることがよくあった。
彼は王都に出た犯罪者を見つけては、捕縛して王都の騎士に突き出していたり、凶悪な犯罪グループをとっ捕まえているらしい。
とにかく腕が立つと評判の剣士だ。
俺とツルギは、二人して舞台へ上がった。
彼は黄色い瞳が特徴的な凛とした顔立ちで、サラッとした
白を基調とした
彼の戦いは、ずっと観客席で見ていた。
彼の剣技はまさに圧巻の一言だった。
彼は大男たちを次々と倒し、決勝まで上り詰めた。
二人が舞台に上がったことを確認した実況者は、決勝戦の簡単な説明を始める。
「ツルギ選手は王都では剣豪と呼ばれている屈指の冒険者!さらに何度もこの祭りの王者に輝いている
そこまで口にした実況者は、一度大きく息を吸い込み、こう続けた。
「――しかし、彼は今日の戦いの中で大いに
実況の女性の話が一段落つき、俺はいつも通りペコリと頭を下げた。
「よろしくお願いします。」
すると、
「こちらこそ、よろしく。」
鈴の鳴るような澄んだ声で返事が返ってきた。
「両者、準備はよろしいですか? それでは運命の決勝戦――開始っ!」
実況者が試合の開始を宣言した。
同時にツルギは刀を抜き、正眼の構えをとった。
俺は短剣をアウトスローの構えで持ち、ツルギに向かってそれを投げる。
「『
初速度を持つ短剣が風を
が、ツルギはそれを素早い刀の横薙ぎで弾き飛ばした。
今までだったら皆、この攻撃を避けられる者はいなかったので俺は純粋に驚いた。
早く次の一手を出さないと、と俺が次にとる手を決めた次の瞬間。
「っ!?」
目と鼻の先にツルギの姿があった。
―まじかっ!!
俺が焦り、彼から目を背けたほんのわずかな空白を突いた接近。
凄まじく高度な
彼は重心をしっかりと下げ、体重が十分に乗った突きを放ってきた。
だが、不意の接近で崩されるほど俺も弱くない。
たくさんのモンスターと対峙して培った力がある。
「――『
胴体を狙ったツルギの突きに対して、俺は右足を下げ、同じく突きで迎え撃った。
もちろん剣先と剣先を引き合いの関係にして。
その結果、剣先と剣先が――先端の一ミリでぴったりとぶつかり合って
鉄と鉄が激しく衝突し、キーンという高音が会場内に響き渡る。
「――!?」
予想だにしなかったのか、思わず目を見開いたツルギに僅かな隙が生まれた。
俺はこのチャンスを見逃さなかった。
俺は『
「――シッ!」
「っ!?」
完璧なタイミングで放った俺の突きは、彼の脇腹をかすめた。
彼は強引に身を
「く……っ。面白いっ!」
そんなことを呟いた彼は次の瞬間にはもう斬り掛かってきていた。
それから俺とツルギは何度も何度も斬り合った。
その間、会場はこれまでとは打って変わって静かなものだった。
歓声や
全員がこの戦いに
時々感想をこぼしながら、ただただ見ていた。
「す、すごい……」
「王都の剣豪と
「次元が違う……」
それから何回か剣を重ねるたびにツルギと俺の身体に傷が増えていった。
「はぁはぁ……。ハハハ、面白くなってきた。こんなに僕と戦える人がいるなんて。でもこの勝負勝たせてもらうよ。」
「――望むところだ。来いっ!!」
そしてツルギは刀を鞘にしまい、右手を
その瞬間、ツルギの
自然と俺は鳥肌が立った。
「
雷を纏った目にも止まらぬ
「――ッ!?」
雷神を思わせるその技に、一瞬だが目を奪われてしまった。
その間にも猛然と襲い掛かる斬撃。
だが、俺はコレを待っていた。
実は町の人や俺と戦い惜しくも負けてしまった冒険者たちに戦いが始まる前に彼についてを聞き、彼が2スキル持ち…通称【
さらにその能力は『身体強化』と『
『身体強化』は名の如く己の基礎能力を大幅に底上げすることができ、『
今までの戦いでツルギがこの技を使ったのはたしか3年前が最後だったと街のおばちゃんは言っていた。
俺はその話を聞いてとある方法ならそれを防ぐことができるかもしれないと考えていた。
――今がそれを試す時だ。
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リメイク日(2024 12/8)
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