外れスキル『磁力』持ちの俺は追放された後覚醒する
朧月アーク
第1章 覚醒
第1話 追放という名の解放
「ヤクモ。お前との契約は打ち切りだ──。本日をもってパーティーを追放する」
「…は? ん?」
突然の一言。
俺はパーティーリーダーのカルマが言った言葉の意味をすぐには理解できなかった。
「え? えっと、聞き間違いか? 追放って聞こえたが」
俺は戸惑いながらもそういうとカルマがニヤニヤとしながら口を開く。
「聞こえなかったのか? 俺らのパーティーに、お前みたいなゴミはいらねーっって言ったんだよ」
「ゴ、ゴミ? 俺の…事か?」
「お前以外に誰がいんだよ。お前はもういらねぇ、クビだよ、クビ。」
他のパーティーメンバーもそうだと言わんばかりにニヤニヤとしながら頷いていた。
再びその言葉を突き付けられた俺は頭が真っ白になった。
「じょ、冗談……だよな?」
「
「──……ッ! ちょ、ちょっと待てよ! 急に言われても何が何だか…!」
「急だあ?お前…何で自分がクビになるのかを分かってねぇのか?」
「な、何で?」
そんなこと、心当たりなんて……。
俺は必死に頭を働かせて原因を考えようとパーティーに所属したばかりのころを思い返す。
霊神の怒り。
それが2年ほど前から俺が所属するパーティー名だ。元から彼らは皆Aランクで最低ランクの俺は荷物持ちとして所属していた。
しかし、
「はぁ…。本当に分かんねぇのか。お前の鈍さには本ッ当に呆れるなぁッ」
カルマはうんざりした様子だった。
「はぁ、この際だから言っておくが、お前のスキル『
全て事実だった。
「おまえのできることは俺達にはいらないザコ能力ばっかりなんだよ。だからお前はいつまでたっても最低ランクのままだ、無様だなぁオイっ」
カルマは吐き捨てるようにそう言った。
これまでずっとやってきたパーティーにそんな風に思われていたことを知り、俺はショックを受けた。
確かに俺のスキルは使えないけど頑張って荷物持ちとして貢献してきたと思ってた。目に見えないところでも戦いの後の装備の汚れ取り、倒したモンスターの素材集め、朝昼晩の料理、装備の手入れなどをしてきた。
どうやら、彼の努力を誰も気づいておらず、「俺は貢献している」と思っていたのは、どうにも自分だけだったようだ。
「分かった。俺は出ていく」
悔しい気持ちでいっぱいになった俺は苦し紛れにそう言った。
するとカルマはニコニコしていた。
「ああ、そうしたほうがいい。お前のためにもなる」
「―――世話になった」
俺はそう言って部屋から出ていこうと荷物をまとめ始めた。
「ああ、そうだ。装備は置いて行けよ」
「えっ…」
そう言われ俺は困惑した。
「それは俺達が倒した魔物が落とした素材を売って得た
カルマが言う通りモンスターを倒していたのは彼らだったため、彼らの指示に従った。装備を置いた俺はすぐに彼らのいる部屋から出ていった。
―――――――――――――――
「はぁ、これからどうしようか…」
俺はトボトボと自分のとまっている宿屋に帰っていった。
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