第1章

第1話 追放された荷物持ち

「ヤクモ。お前との契約は打ち切りだ──。本日をもってパーティーを追放する」


「…は? ん?」


突然の一言。

俺はパーティーリーダーのカルマが言った言葉の意味をすぐには理解できなかった。


「え? えっと、聞き間違いか? 追放って聞こえたが、」


俺は戸惑いながらもそういうとカルマがニヤニヤとしながら俺に言った。


「聞こえなかったのか? 俺らのパーティーに、お前みたいなゴミはいらねーっって言ったんだよ」


「ゴ、ゴミ? 俺の…事か?」


「お前以外にだれがいんだよ。お前はもういらねぇ、クビだよ、クビ。」


他のパーティーメンバーもそうだと言わんばかりにニヤニヤとしながら頷いていた。 


再びその言葉を突き付けられた俺は頭が真っ白になった。


「じょ、冗談だよな?」


「本気だよ、お前みたいな自分のスキルも碌に使えない荷物持ちなんぞ、俺らのパーティーにはいらねぇんだよ。」


「──……ッ! ちょ、ちょっと待てよ! 急に言われても何が何だか…!」


「急だあ?お前…何で自分がクビになるのかをわかっていないのか?」


 「な、何で?」


そんなこと、心当たりなんて……。


 ヤクモは必死に頭を働かせて原因を考えようとパーティーに所属したばかりのころを思い返す。


霊神の怒り。

それが2年ほど前から俺が所属するパーティー名だ。

元から彼らは皆Aランクで最低ランクの俺は荷物持ちとして所属していた。


しかし、


「はぁ…。本当にわからないのか。お前の鈍さには本ッ当に呆れるぜ。」


カルマはうんざりした様子だった。


「はぁ、この際だから言っておくが、お前のスキルである『磁力ネオジム』はなぁ弱すぎんだよ。いつも俺らがダンジョンで戦っているとき、お前は何をしていた? ただ見ていただけだろう?俺らが求めている荷物持ちはそうじゃなかったッ。最低限のサポートまですんのが荷物持ちの役目だろうが。だが、お前にできることといえば砂の中から砂鉄を集めるか、鉄の壁に俺らの防具をくっつけて保管するぐらいしかないだろうが。」


鉄の壁に防具をつけるという俺の画期的なアイデアはカルマ達には不評だったみたいだ。


「おまえのできることは俺達にはいらないザコ能力ばっかりなんだよ。だからお前はいつまでたっても最低ランクのままなんだよッ。」


カルマは吐き捨てるようにそう言った。これまでずっとやってきたパーティーメンバーにそんな風に思われていたことを知り、おれはショックを受けた。確かに俺のスキルは使えないけど頑張って荷物持ちとして貢献してきたと思ってた。目に見えないところでも戦いの後の装備の汚れ取り、倒したモンスターの素材集め、朝昼晩の料理、装備の手入れなどをしてきた。


どうやら、ヤクモの努力を誰も気づいておらず、俺は貢献していると思っていたのは、どうにも自分だけだったようだ。


「分かった。俺は出ていく。」


悔しい気持ちでいっぱいになった俺は苦し紛れにそう言った。


するとカルマはニコニコしていた。


「ああ、そうしたほうがいい。お前のためにやったんだ。」


「―――世話になった。」


俺はそう言って部屋から出ていこうと荷物をまとめた。


「ああ、そうだ。装備は置いて行けよ。」


「えっ…」

そう言われ俺は困惑した。


「それは俺達が倒した魔物が落とした素材を売って得た装備だ。何もしてねぇお前に上げるわけにはいかねぇ。」


カルマが言う通りモンスターを倒していたのは彼らだったため、彼らの指示に従った。


装備を置いた俺はすぐに彼らのいる部屋から出ていった。




――――――――――――――――――――――――――


「はぁ、これからどうしよう…」


そう呟いたヤクモはトボトボと自分のとまっている宿屋に帰っていった。






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