概要
優美はある日、妖精を呼び出そうとするが、現れたのはどこからどう見てもホステスさんで……。
妖精に会いたい人々の悩みをビールを飲みつつ聞いていく、あやかママとその相談者たちのお話。
※ 他サイトに掲載した作品を改稿したものです
※ カクヨムコン9参加作品
※ 一話の文字数にはバラつきがあります
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!このラストシーンは、まったく予想できませんでした
優美、絵里、健太、三人のエピソードからなる物語。
三者三様の人生模様が重なったとき、驚きと感動に包まれます。
そして一番の衝撃は、妖精(あやかママ)の正体が明かされた瞬間!誇張抜きに叫びます、驚きすぎて。
ヒントは出てたし、明かされてみれば確かにもうこの答えしかないはずなのに、なぜ読んでいる途中で気づけなかったのだろう。作者様の術中にすっかりはめられてしまいました。
優しく温かな面を見せながらも、同時に現実の辛さややるせなさも描かれた作品。それでも読んだ後は、希望が胸に宿ります。登場人物がみんな完璧じゃないところが、人間らしくて愛おしいです。特に健太のエピソードがスカッとしてかっこいい。おす…続きを読む - ★★★ Excellent!!!現実から逃げたくなったら、ここにおいで。話を聞いてくれるよ
物語の舞台は広島。広島弁での会話は、広島に馴染みがない読者にも心地良い。
そんな中、強烈な個性を放っているのが、妖精だという、あやかママ。
なぜにママ?
それは見た目がいかにもホステスだから。
このあやかママ。ビールがお好きなようで、実に美味しそうに飲みます。
私はビールが飲めないのですが、あやかママがビールを飲む描写が本当に美味しそうで、彼女と一緒ならビールの苦さが美味しく感じられそうです。
しかしそれにしても、なぜに妖精がホステスの外見をしているの?
それにどうしてビール?
おまけに名前があやかママって……。
不思議なことだらけ。
その謎は物語最後に明らかになるのですが、そこにいたるまで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!上質なヒューマンドラマ
現実世界であやかママのような人が周りにいる人は幸運だと思う。
善意のつもりなのだろう、苦しんでいる人に対して、苦しくても立ち向かわなきゃいけない、逃げずに戦えと、したり顔で口にする連中のなんと多いことか。
それで追い詰められて鬱になったり、果てには自ら命を断ってしまうような人が大勢いるにも関わらず、そういった風潮は無くならない。
「逃げちゃ駄目だ」では無い、「逃げなきゃ駄目だ」と言ってくれるあやかママのような人が、現実にもっと沢山いればと、そんな風に思ってしまう。
物語の中で、あやかママは相談に来た相手が何を望むのか、その望みを引き出し、ただそれを後押しする。
相手を否定することは無い。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「言いんちゃい、言いんちゃい。聞いたげるよ、なんぼでも」
決められた手順で「何か」をすると「何か」が起きる──都市伝説の定番ですが、本作においては「何か」とはビールを用意することであり、「何か」とは「妖精」が現れて悩み事を解決してくれる! というものです。ほど良い緩さと、「なんで?」感が組み合わさって気になる導入ではないでしょうか。しかも、この妖精さんは広島弁を操るどうみてもホステスな「ママさん」でもあるのですから。
本作は、妖精さんことあやかママに悩みを打ち明ける人たちの人生を描いたオムニバス形式のドラマです。登場する人たちの悩みはどれも等身大のもので、しかも必ずしも「正く」はないところに共感が持てます。
良くないのは分かっているけれど、…続きを読む