第16話 親友は最高だと思ったんだが

 まあそのあとは大変だった。普段おとなしい女子にまで問い詰められたからな。俺が誤魔化している最中に小澤先生がロングホームルームをするために教室に入ってきた時は地獄かと思ったほどだ。


「で、結局あの女は誰なんだよ?」


「だからただの友達だって」


「いいや、友達とは思えない距離だったぞ、俺たちに隠し事なんてやめろよ〜」


「だから違うんだって...あいつはただの友達なんだよ」


 これの繰り返しだ。俺は朝あまり早くくる方ではないから、朝の自由時間は5分ほどしかないはずなんだが...今日に限っては30分ぐらいあるように感じた。


「そうかぁ、檜垣ひかきも成長したんだよなぁ」


 小澤おざわ先生に関してはもうロングホームルームの時間が始まっているのに、ずっとそう独り言を呟いていたからな。本当に先生失格だと思う。どうやって教員免許取れたのか問いただしたいほどだ。


「お前ら、男女の関係にそう口を挟むなよ。それは野暮ってもんだぜ。先生、そろそろホームルーム始めましょうよ」


 俺が誤魔化していると、そう救いの声が聞こえてきた。


「そうだな、今日も怒られたから服装チェックやらされたわけだし...そろそろ真面目にやるかぁ。お前ら、自分の席座れ〜」


 声の聞こえたほうを見るとそこには俺の親友であるあきら二階堂明にかいどうあきらがいた。やっぱこういう時に明は頼れるんだよなぁ。あきらは俺の方を見てウインクしている。後で何か奢ってやるか。






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 1時間目の授業(まあホームルームなので授業とは言えないが)が終わった後、俺はあきらと共にグリプラに来ていた。グリプラというのはうちの学校の学食みたいなものだ。うちの学校は敷地面積が狭いので食べ物が食べれる学食みたいなものはなく、グリプラに自動販売機や食べ物が買える自動販売機がある。正式名称はグリーンプラザだか、長いしなんでその名前なのかも誰もわからないのでみんな略してグリプラと呼んでいる。


「なんでわざわざグリプラで話すんだよ。同じクラスなんだから教室で話せばいいだろ」


「よく考えろよ悠真ゆうま、お前教室にいたらまた質問攻めに会うぞ」


「確かに、お前ってやっぱ賢いよな」


「普通考えればわかるだろ」


 ちなみにあきらは本当に賢く、期末や模試でもいつも学年1位を取っている。俺とは対極的な存在だ。こういうやつが旧帝大とかに行くんだろうなぁと思いながらいつも見ている。


「それで結局さ、朝の女は誰なんだよ」


 やっぱりその話だったか。そんな気はしていた。


「やっぱり気になるか?」


「当たり前だろ、あんなん誰でも気になるわ」


「そうだよなぁ」


 でも正直明あきらなら全部話していい気がする。


「しょうがねぇな、口外厳禁だぞ」


「わかったよ、その代わりさっきのも含めてなんか奢って」


「わかったよ...コーラでいいか?」


「正味なんでもいいけどな」


「じゃあ飲むカレーにするぞ」


「それだけはやめてくれ」


 そんなたわいもない会話をしつつ、買ったコーラをあきらに投げる


「さんきゅー」


「まあさっき救ってもらったしな」


「そんな勿体ぶらずに早く話せよぉ」


「わかったよ」


「まずあの子と会ったのは一昨日のことなんだ」


「は?」


「は?」


 あきらは若干引いた目で俺の方を見ていた。




——お願い——

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