第6話 知り合いに会ったんだが
というわけで俺は、
「何か好きなものはあるか?」
「私あまり手料理を食べたことがなくて...いつもコンビニのおにぎりとか食べてたから...」
「そうなのか、じゃあ俺が1番美味しいと思ってる料理を作ろう」
俺はそう言ったものの、胸の中に引っかかるものがあった。
俺は元々、
「何を作ってくださるんですか?」
「それは秘密だ。ちなみにその料理は妹の大好物だ」
「妹さんも好きなんですか、それは期待できそうです」
「ちなみに
「一歳差の弟が一人います。家にいることが滅多にないのであんまり話しませんが」
ちゃっかり流石にお前呼びはやめた方がいいと思ったので、
「昔は仲良かったんですけどね、反抗期なのか最近はあっても無視されることの方が多いです。
「5年ぐらい二人で暮らしてるからな。嫌でも仲良くなるさ」
そんなことを話していると目的地が見えてきた。スーパーと言ってもそんなに大きいわけではなく、コンビニより少し大きい程度だ。いわゆる某ショッピングモール会社の○○ばすけっとみたいな感じだ。
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「
頭がショートしている。落ち着け俺。ここから打開する方法を考えなければ。
時間は少し巻き戻る。
俺は
「なんの食材が必要なんですか?」
「そうだな、卵と鶏肉と、玉ねぎと、あとそれから...」
俺は作ってきた買い物リストを見ながら
「じゃあ私鶏肉と卵持ってきますね」
「場所わかるか?」
「学校帰りに何回も来たことがあるので」
すごいな。めちゃくちゃ頼りになる。家の近くのスーパーといっても俺は数えれるくらいしか来たことがない。買い物当番は妹だからだ。ちなみに俺は今ケチャップを探しているがなかなか見つからない。狭いと逆に店内がごちゃごちゃしていて見つけづらいのである。そうだ、こういう時こそ店員に聞けばいいじゃないか。そう思い俺は荷出しをしている店員に声をかける。
「すみません、ケチャップでどこにありますか?」
「ケチャップですか、ケチャップなら向こうの棚の方に...」
俺は買い物リストから目を離し、店員の方を見た。まて、この店員の顔、見覚えがある。
「って
高身長にセンター分け、二重瞼に茶髪。間違いない。この店員は同じクラスのバスケ部、
「よくお前の妹にここで会うぜ。なんで今日はお前が買い物しにきてるんだ?」
なるほど、普段からここでバイトしていたのか。それは盲点だった。いっつも妹に買い出しに行かせている弊害が出たな。
「今妹が修学旅行でいなくてね、それで俺が買い出しに来てるんだよ」
「なるほどな、確かに今修学旅行の時期だもんな」
「ああ、そういうことだ、じゃあ俺はここで」
よし、なんとか撒けそうだ。
「
ああ、終わった。
俺の頭はショートした。
——お願い——
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