自殺しようとしている子を救ってあげたら懐かれたんだが
遠藤俊介
第1章 自殺しようとしている子がいるんだが
第1話 出会いがあったんだが
大雨の屋上で、君は言う。
『もう、ほっといてよ』
「お前さ、そろそろ
自分で言うのもなんだが、俺は本気を出せば進学ぐらい
ちなみに当の本人は気づいていないが、
「でも確かにそろそろ勉強し始めないとまずいよなぁ」
「そうだぞ、
「わかりましたよ、」
シャーペンを持ち、問題を解き始めた。
やっべぇ、ぜんぜんわかんねぇ、
だってさぁおかしいじゃん、何が
「ようやく気づいたか、
「先生、
「この遅れを埋めるには1年生から復習する必要がある、これから毎日補習な」
「マジっすか」
「大マジだ」
俺の
「実は今日歯医者に行く予定があってぇ、そろそろお
「お前さっきは今日はさっさと補習終わらして、家で映画見るんだーとかほざいていたよな、それはどういうことだ?」
「すみませんでした」
どうやら先生は本気で俺を補習させる気らしい。
「もう6時半か、あと
「よーやくおわったぁ」
先生よ、俺の貴重な
「明日は一応祝日だから補習はなしにしてやるよ、お前も今日は頑張ってたしな」
「先生っていい人ですよね」
「おだてても何も出ないぞ」
忘れていたが明日は祝日だった。なんの映画を見ようか、
「勉強は継続が大事なんだ。明日補習がないからと言ってサボるなよ。ちゃんと宿題用意しているからな」
「やっぱさっきの発言なしで」
「宿題増やしてやってもいいぞ」
「先生 is 神!天才!」
俺は自分の荷物を持って教室から逃げるように出て行った。
「こんなに雨が降っていたとは、補習中には気が付かなかったな」
学校から出てみると横殴りの大雨が降っていた。
「折り畳み傘を持ってきといてよかった」
俺は折り畳み傘をさし、校門へ向かう。
「よく見るとこの学校ってめっちゃいい学校だよな」
校門を出ると俺はふと思った。
「ほんとこの学校狭いけどマジで綺麗だよなぁ」
「先生も普通に優しい人も多いしこの学校入ったのは正解だったなー」
俺は校門前で振り返りながら校舎を見て、しみじみと思う。そうだ、今日は家に帰ったら学園ものの映画を見ることにしよう。補習によって奪われてしまった俺の
「なんだあれ、人か?でももうすぐ
大雨で視界が悪い中、俺は目をよく凝らして屋上を見た。
「マジかよ、やっぱ人じゃん、」
俺の目に映ったのは屋上の柵に手をかける女の子の姿だった。芝山高校は
「流石のこの俺も自殺しようとしている人を止めようとしない程冷たくないんでなぁ」
俺は死にたいと思ったことが今までほとんどない。だから今から死のうとしている人の気持ちなんてわからない。もしかしたら自殺しようとしていないのかもしれない。だけど俺は命より大切なものはないと思っている。止めたところで無駄かもしれない。だけど俺には止めて欲しそうに彼女は見えた。
俺はいつのまにか全速力で校舎の方に駆け出していた。
——お願い——
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