第14話 担任がうざいんだが

 呆然としている暇ではない。れいも走って追いかけて行ってしまったし、俺も追いかけなければ。そう思い、俺は学校に向かって走り出した。


「サワと会うことだけには気をつけなきゃな」


 俺の担任である小澤おざわ先生は基本的には優しいのだが時々ウザくなることがある。特に生徒たちの恋愛話になると本当にウザイ。安藤あんどうと一緒に新しくできたカップルを辱めてきたのを何回見たことか。


「いつも朝は大体職員室か地学準備室にいることが多いから大丈夫だろう」


 ちなみに小澤おざわ先生は地学の教師だ。よく地理の劣化などと言われ煽られている。


「いやフラグを立てるのはやめておこう。ろくなことにならない」


 俺はそんなことを思いながら学校へ走って行った。






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「いやなんでサワが正門にいるんだよ...」


 俺が正門に着くと、そこには服装チェックをしている小澤おざわ先生がいた。


「いやおかしいだろ。サワって生徒指導担当じゃないよな...なんで今日に限ってサワが服装チェックをしてるんだよ」


 そんなことを考えている暇ではない。なんとかして小澤おざわ先生に見つからずに校舎に行かなければ。というか服装チェックを正門でしているということは安藤あんどうれいとも出会っているのではないか?あの口軽の安藤あんどうのことだ。絶対に小澤おざわ先生にも俺のことを話しているに違いない。今日は出来る限り小澤おざわ先生と関わるのは避けた方がよさそうだ。


「とりあえず北門に向かおう。そこならサワと出会わずに校舎に入れるはずだ」


 この学校には二つの門がある。それが正門と北門だ。ほとんどの生徒は正門から学校に入ることになる。最寄駅からだと正門から入るのが1番近いからだ。なので北門は結構穴場なのである。特に服装チェックの日とかだと人が少なくて早く校舎に入れることが多いのだ。


 俺が北門へと向かおうとしたその時、目の前に背の高い男が現れた。


「檜垣君、どこへ行こうとしているんだい?」


 なぜか俺の目の前に小澤おざわ先生が立っていた。


「いや先生仕事してくださいよ」


「なんか俺の知っている生徒が列から抜け出してどこかへ行こうとしていたからな。心配で見にきてしまったんだよ」


「本当になんでもないですって」


「なんか檜垣君、顔色悪くないかい?やっぱ担任が悪いと顔色も悪くなるのかな?」


 こういうところが小澤おざわ先生はウザいのだ。


「というか先生って生徒指導担当じゃないですよね?なんで服装チェックなんてやっているんですか?」


「まあ少しやらかしてな。やりたくもない服装チェックをやらされているんだよ」


「じゃあ真面目に仕事してくださいよ」


「そんな野暮なこと言わずに少し付き合えよ。まあ俺はそんなことを君に話に来たのではない。さっき安藤あんどうと会ってな。あいつが言うには君に彼女ができたそうじゃないか」


 よし、あとで安藤あんどうをぶん殴ろう。


「彼女じゃないですって、ただの友人です」


「いやいや、安藤あんどうが言うには彼女を家に泊めているらしいじゃないか。いやー、檜垣ひかきもやるな。俺よりも早く女の子を家に連れ込むなんて」


 これパワハラで教育委員会に訴えたら勝てるよな?


「そういえばさっきお前の彼女にもあったぞ。まさか年上だったとはな。そいつと話をしたかったが急いでいたので話せなかったんだ。後で紹介しろよな」


 そう言い小澤おざわ先生はウインクをする。俺はぶん殴りたい気持ちを必死に抑える。


「おっといけないいけない。そろそろ仕事に戻らないとな。じゃあ彼女にもよろしくなー」


 そう言い、小澤おざわ先生は走って行った。俺は今からでも家に帰りたかった。




——お願い——

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